00041 : だからぁ、有用なんですってばっ!
こんには、スライム騒ぎを起こした慶です。
うん、ねっ、あの後でお袋様にしこたま叱られましたっとさ。
いやな、ヌラヌラでヌタヌタな生き物を持って研究所へ行ったと知られてねぇ。
いたずらでは無いっ!悪戯では、ないぞぉぉぉっ!
納得が行きません!
まぁ、後で理由を納得して貰えたんだけど、スライムってさぁ生理的に受け入れられない形容だから…しかたないかな。
せめてバケツか何かへ入れて運びなさいっ!って叱られて…ポンっと手を1つ叩いたものだ。
叩かれたけどさ、酷しっ!
でもね、直接持ってみると、結構気持ちが良かったするんだよなぁ。
しかもね、触れている所の汚れが取れるだけでなく、保湿効果や老廃物除去などの副次効果がね。
スライムを風呂へ入れてスライム風呂なんてやれば、全身清潔になるだけでなくデトックス効果やアンチエイジング効果も望まれると思われる。
まぁ、絵面は相当酷いことに成りそうだが…
ただね、そのことを女性研究員へ告げたらさ、メガネがキラッと光った気が…
まさか、遣らない、よね?
ま、スライム風呂っても温める訳にはいかない。
スライムは温度に弱いから全滅してしまうから当然だ。
ただ温めの温水ならば可能な訳で…大丈夫かなぁ…
そんなスライム騒ぎがあった次の日、帝都で天帝様へスライムの有用性と、スライムの絶滅危惧について言上したんだ。
天帝様は大変面白く思われたようで、直ぐに対応するように下知なされてたよ。
時間干渉して見た未来通りだけど、同じようになる保証はない。
まぁ、研究所で培養研究中だから大丈夫だとは思うが、念のため亜空間の精霊町でも培養実験して貰うことにしたよ。
『スライムを培養して有用利用しようとはのぅ。
また面白きことを考えるものじゃて』っとエンシェントドラゴン様に呆れたけどさ。
そして数日して精霊町へ行くと、スライムが増殖していた。
いや、この数日で、何があったし?
したら精霊さんがね。
「慶様、スライム…良いわぁ~」って。
いや精霊さん?髪も肌もツヤッツヤになってません?
赤ちゃんの肌っていった感じになってますし、髪のキューティクルが整ったのか光り輝いてる。
美人度がマシマシって感じなんですけど、なにがあったしっ!
聞くと…遣ってたよ…何をって?いやね、スライム風呂をらだよっ!
エステ効果が凄まじく、老廃物除去以外にも全身マッサージが施され、確実に依り代が若返ったのだとか。
究極の美容生物だと絶賛!
家畜にスライムが纏わり付き綺麗に浄化するため家畜の機嫌が良くなったらしく、牛乳や卵の質が向上しているそうな。
肉にする家畜の肉質も以前とは比べ物にならないほどに。
それ以外にも汚物などの廃棄物をスライムが分解排出するのだが、排出された物質が肥料として最良なのだとか。
更に土壌改善に農作物の品質向上などなど…
超有用生物やんねっ!
餌代は全く掛からなく維持費0円なのに恩恵が凄まじい。
こんなにも有用な生物なのに見た目で害虫扱いされ駆除され続けていたとは…なんたる損失!
これは、絶対に国民の意識改革が必要であろう。
っても、スライム風呂は…流石に、ねぇ。
精霊町においてスライムの有用性が確認され、絶賛の嵐だった訳なのだが…
流石に精霊村での成果を世に広める訳にはいかない。
だってさ、俺の亜空間も精霊さんの依り代による実体化も秘匿事項だかんな、知られる訳にはいかないっしょ。
だから研究所の研究員達には、是非とも頑張って欲しいところです。
ってもね、精霊町での研究成果をレポートにして渡しているから、そのレポートを参考にしての研究だ。
無から手探りで研究するのとは違い指針があるから研究が進んむっとね。
だけど…
「名誉所長。
管理所長としてお尋ねしたい。
この資料は、何処から調達されたのかな?
この分野を研究観察を行ったり、培養実験している研究機関は、ここしか存在しない。
それなのに、完成に近い研究レポートが現れた訳だ。
納得ができないのだがね」
そんなことを尋ねてきたからさ、シレッとね。
「ここの名誉所長へ打診された時に告げたと思いますが?」
そう告げて、ニッコリってね。
所長の額に青筋がピキリっと。
だが、深呼吸してからさ。
「確かに、名誉所長の研究や成果に対しては干渉してはならない。
問い質してもならない、でした、かな?
ですが、ここまでの成果を上げることができるのであれば、独自に世へ出されては?」っと。
まぁ、成果が分かった事象を復習するかの如く研究するように言われれば、ねぇ。
「私には私の都合がありましてね。
世には知られたくないこともあるんです。
このことに対しては天帝様からの認可も得ておりますので、どうかご容赦を」
そう告げたら諦めたように溜息を。
「天帝様からの下知であれば従うしかありませんね。
しかし…本当に君は6歳かね?」
そんなことを尋ねてくるんだよ、なんでだろね?
「そうですよ、明後日、小学1年生として入学式へ出るんです。
ピカピカの一年生なんです!」
胸を張って告げるとさ、呆れたように首を振られたんですけど…なんじぇ?
「その思考と話し方は、既に6歳の域ではありませんな。
さらに、体格が小学高学年…いや、中学生でも通るでしょう。
そんな君が小学1年生として入学ですか?」
その光景を想像しているのか、遠い目に。
酷くね?




