00040 : 暇なんです、だから、ねっ☆
フェンリル様とトイプードル様…もといエンシェントドラゴン様を亜空間へ迎えて数日。
俺は平穏無事に自宅にて過ごしていた。
っても、近所へ建てられた道場へ引っ張られて連れて行かれて稽古を受けたりするのは日課となってしまってるんだけどね。
親父さんは日々自家用車にて通勤してます。
車のグレードが常にアップしているので、通勤の度に目立ってるようですが害は無いので放置で。
お袋さんなんだけどね、家事はしなくて良いのに料理を習って一緒に作ったりしてるんだ。
掃除は苦手みたいだから手を出さないんだけど…それって、どうなのよ。
趣味で木彫りに園芸などなど、色々と手を出してんよ。
まぁ、多趣味なのは良いことです。
俺の小学校入学式も近付いているけど、用意は既に終わっている。
制服は無いので私服での登校となるんだが、入学式に合わせて余所行きの正装が届いたよ。
っかさぁ、ビシッとしたスーツなんですけど…しかも胸元ポケット部分へワッペンが付いている。
このワッペンが曲者でな、なんでぇっ、帝族家紋なんだよっ!
俺、帝族、違うわっ!
嫌っても、天帝様より下賜された品にて着ない訳にもねぇ。
正装に対しては頭が痛いところではあるが、それ以外は準備完了ってことで…することが、ない。
だからさ、以前から考えていたことに着手することにさ。
今は昭和中期近い時代と思って良いだろう。
この時代は高度成長期時代と呼ばれる時代であり、公害が蔓延する時代でもあった。
パワハラ、アルハラ、セクハラなどとい言った言葉は無く、それらが当然のように罷り通る時代でもな。
人々の意識が低いとも言える時代でモラルが低い時代でもある。
ポイゴミが普通で、ゴミの分別などの考えなどは考える者さえ居ないかんな。
まぁ、逆に人の情的には良い時代ではあったし、人が人に優しい時代でもあったのだが…
表へ晒されてない闇の部分が濃い時代とも言えるだろう。
何が言いたいのかと言うとだ、公害により川などの汚染が酷く、ヘドロが溜まり、悪臭漂ってたんだわ。
それが、転生前世界の昭和ね。
そして、こちらの世界でも工場排水や家庭からの汚水が川へと垂れ流しとなっているのが現状だ。
だがけど…元の世界とは違い、河川汚染が緩やかなんだよ。
これは町へ遊びに行った際に気付いたんだけど、その原因を調べて判明したのは…スライム、だった。
いやスライムって…ある意味ファンタジーだけどさぁ、危険生物じゃね?
慌ててスライムを捕獲して確認したところ、非常に有用な生物と判明したんだわ。
このスライム君、自我などは存在しない。
どこぞのゲームキャラみたいな涙滴型ではないし、とうぜん目や口は無い。
スライムって言うか、アメーバーみたいな存在だな。
生き物を取り込んで溶かして吸収するような凶悪な存在ではない。
素手で掴んでもジェルが詰まったビニール袋を掴んでいる感じでな、生き物への害は無いんだよ。
けど…生きていない場合は体内へと取り込み分解して排出を。
光合成も行いつつ、汚染物質を浄化しているんだ。
凄く有用な生き物なんだけど、非常に弱い生き物でもある。
子供が遊んで投げ付けるだけで潰れて死んでしまうんだよ。
それ以外にも、邪魔だと除去している輩も…
そのため、以前よりも河川汚染が進みつつことが判明。
待った無しって状態だったよ。
ここからは未来の話しとなるんだけど…
俺は明日には天帝様へ上申するつもりだ。
その前に時間干渉して未来を確認してみることにしたんだよ。
俺が事態を天帝様へ報告すると、これを受けた天帝様が陽元国民へスライムの有用性を下知されていた。
最近の技術発展は天帝様の手柄とされており、天帝様の発言力は強い。
だからか、アッっと言う間に世論へと浸透して行き、スライムを無暗に駆除することが禁じられることにね。
下手をしたら捕まるし罰金どころか刑務所行きとなるそうな。
俺の動向を確認すると、研究所で研究させてスライムを培養させるていたよ。
どうやら成功したようだな。
このスライムを廃水を垂れ流している工業へ配り、汚染が浄化されるかを実地にて確認させている。
結果は…汚水が真水レベルに浄化されていたよ。
まぁ、多少は時間が掛かるようだけど、自然破壊を促進されるよりはマシだろうね。
お陰で、昭和時代には汚染されてドブ川となり悪臭を放っていた筈の河川は人が泳げるレベルの川へと。
このスライムを使った浄化技術が国に認められ、排水を行う工場へは設置が義務化されたんだ。
更には家庭用も開発し売り出したんだが、これも認可が下りた後に設置が義務付けられることに。
むろん、時間干渉にて見た未来の話で、未来は移ろい易いため違う結果となる可能性はあるんだが、時間干渉で見た未来では、そうなっていたよ。
で、なっ、この商品はドル箱扱いの商品となって行くようなんだが…そうなれば、良いなぁ。
で、なっ、今、俺はスライムを研究所へ持ち込んでんだが、そんな俺を見てが研究所が大騒ぎってね。
いやね、苦手な人は苦手でねぇ。
ジェル状でヌラヌラと動く単細胞生物、そら、気持ちが良い生き物では、ねぇ。
なので、大半の者はスライムを害虫だと思い込んでおり、素手で掴むなど正気の沙汰では無いとまで。
いや、可愛いとは言わないけどさ、有用な生物なのよ、ほんとのことさ。
何とか説得して培養実験して貰うことにさ。
時間干渉して見た未来と同じになると、良いなぁ~




