00024 : 手作り感満載なお茶会れす
美樹ちゃんの天然萌え萌えテレテレダンスにノックアウトされそうな慶です。
世の中に、こんな強敵が居るとは…思っても見なかったよ、真顔。
「じゃ、じぁ…いただくね」っと1枚摘まむ。
意識替えないと鼻血が出そうれす。
この年で大量出血は命に係わるかんな。
知ってっか、鼻血でも人は死ねるんだぜ、本当の話さ。
前世で1度死に掛けたかんな。
まぁ、狭心症病の血をサラサラにする薬を飲んでいたことが原因でもあるんだが、血が止まらないんだよ。
鼻血が出過ぎて気絶でブッ倒れかんな。
血が出過ぎるとな、血液検査で分かるんだよ。
糖尿通院で血液検査するんだがな、先生がさ「何か大量に血を失いましたか?」ってね。
ビックリして「どうしてですか?」っと。
「いえ、血液検査に出ていますので」そう返された訳よ。
いや…血液検査、スゲッ!
そんな前世の記憶から鼻血の出血も油断できないと、俺は知っている。
この年で鼻血出血死は御免ですたいっ!
そんな他愛のないことを思い出しつつ、摘まんだクッキーを口へと。
形は既製品クッキーみたいな綺麗な形ではないが、手作り感溢れる感じさ、ほっこりさせられるんだが…
その手作り感的な形からか、口へ入れるとホロホロと、ほどけるように崩れて口内へ広がるんだ。
んっだぁ、これ?
サクサクって言うよりも、まさにホロホロって感じで淡々と雪の如く溶けるが如く…
しかも上品な甘さが、くどくない品の良い甘みを舌上をサラリと流れるみたいにさ。
…これって…和三盆?
いやいや、さまかね。
高級砂糖の和三盆を家庭使い扱いでさ、料理に普段使いしているはずが…
「この上品な甘さは…もしかして、和三盆を使用したり…ははは、そんな訳が…」
「あらあら、慶君って凄いのね。
良く和三盆を使用しているって分かったわねぇ~」って、娘さんが、あらあらって感じで…
おっとり天然系さんなのでしょうか?
「えっ!
もしかして…和三盆を調理に普段使いしているんですかっ!」
驚いて尋ねるとだ。
「そんなこと無いですわ。
だってぇ、作る料理によっては和三盆では合わないですもの。
お料理に合わせて適したお砂糖を使わないと、美味しい料理は作れないのよ」
って、一指し指を立て、チチチッって感じで左右に振っている。
いやさぁ、娘さん?あなた、何歳なんです?あざと過ぎませんかねぇ?
左手の甲を腰へ添え、少し前屈みで右手でチチチッってさ。
それがヤケに似合ってるから手に負えない。
若い頃は萌え萌えパワーで、さぞ周りを振り回したことだろう。
脳裏に浮かんでくるよ、そんな光景がさ。
しかし和三盆を普段から、ふんだんに使用していることが、これで確定だね。
恐るべし、伊井家っ!
「そ、そうなんですね…ははは」
自分の頬が引き攣るのが分かるよ。
それは、それとして、だ。
「しかし美味しいクッキーですねぇ。
僕、気に入りましたよ」
そう告げると美樹ちゃんがね。
「ほんとぅ?」っと不安げにさ。
俺は頷いてから告げる。
「本当だよ。
形が変って言ってたけどさ、家庭的な手作り感が出ていて、僕は好きかな。
それにね、この形がクッキーの味を上げているんだと思うんだ。
口へ入れるとね、ほろほろっと解けるように、溶けるように口に広がるんだよ。
これって、今まで食べたことの無い触感で驚いたんだ。
そしてね、上品で甘過ぎないから、口の中へ爽やかな甘さが広がって…最高だったよ」
そう言って親指を上げて微笑んであげた。
したらね、ボンッって音が出そうな勢いで、美樹ちゃんが真っ赤に。
あらら、どうしたんだろね?
「あらあら、美樹ったらぁ、おませさんなんだから」って、ふふふふふっって感じで娘さんがね。
いやいや、美樹ちゃんが益々真っ赤になってんだけど。
今にもキューって感じで倒れそうでハラハラしてしまったよ。
そんな美樹ちゃんを夫人は微笑ましそうに見ていたんだけど…
「美樹を誑かすかっ!
絶対にぃっ!やらぬぞっ!」っと、幕僚長殿が。
いやいや、何を言ってんの、この人?
夫人が呆れたようにさ。
「貴方は幼子相手に、何を言っておられるのです?
ご自重なされてくださいまし」って、ピシャリと。
ホンワカ穏やかに告げているんだけど…幕僚長殿がビシッと背筋を伸ばして固まる。
顔が蒼くなり、冷や汗ダラダラなんだけど…な、なんだぁっ!
したらさ、婆ちゃんが呟くのが聞こえた。
「これは、これは。
私も、まだまだと知れました。
精進せねばなりませぬわね」っと。
それが聞こえたのか、爺ちゃんが顔を蒼くしてね。
「勘弁してくれ。
くれぐれも自重してくれぬかや」ってね。
「あら、それは貴方しだいですわ」ってから、ホホホホホッっと。
う~んむぅ、なかなかに深い会話過ぎて理解できなかったよ。
なんのことだろね、遠い目。
その後は蒼い顔の爺ちゃんと幕僚長殿を放置して和やかに歓談を。
美樹ちゃんがさ、僕の隣へ座ってペタペタと、お触りして来たり。
それを見て幕僚長殿が蒼い顔の侭で眉間に皺を寄せつつ、こめかみに血管を浮かべたりね。
その様子を夫人と婆ちゃんは微笑ましく見つつ、あらあらしている娘さん交えてお喋りを。
爺ちゃんは幕僚長殿を見て爆笑を堪えて苦しそうだ。
なかなかにカオス空間でしたよ、ええ。
なんで、こうなったし?




