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00012 : 餅は背負いました、だから祝宴っしょ。

「本当に背負うておるのぅ。

 まぁ、出来ると思うておったで、当然ではあるのじゃが…軽々かえ?」

何が言いたいんだろね?


俺が首を傾げると爺ちゃんが呆れたようにさ。

「いやいや、流石にギリギリ背負えるとは思うておったのじゃがの、そがぁに軽々と背負うとは…

 いやはや、底が知れぬわい」って呆れたようにさ。


「おや、本当に軽々と背負ってしまいましのね。

 ですが…それとこれは別でございます。

 お話は行いますゆえ、そのお積りで」穏やかに婆ちゃんが告げる。


「いや、な、その…勘弁して貰えぬかのぅ…」

「ダメです」


何やら揉めてますけど…まっ、良いか。


俺が10升餅を背負って歩き回っているのを見て驚いていた面々なんだがね、今は爺ちゃんと婆ちゃんを見てるよ。

俺は放置ですか、そうですか…

俺の誕生日で10升餅祝いなんですがねぇ…拗ねるぞ。


仕方ないからさ、道場を色々と探索れす。

脳内検知にて既に知ってはいるんだけどさ、実際に肉体を伴って現地へ赴いたのとは違う訳ですよ、うん。


で、ね。

道場には木刀が置いてあったりする。

前世では剣道とか行ったことは無かったんだよね。

体育授業で剣道や柔道などもなかったしさぁ、ちょっと興味がね。


誰も見てないから木刀を持ってみる。

結構な重さだけど、チャクラ鍛錬のお陰か十分に振れる程度は行えそうだ。

軽く素振りを行い、安芸領に存在する剣道道場で教えられている型を何通りか。

それ以外に剣術道場や表に出ていない各一族伝承の剣術型などをさ。


それぞれが特徴が有り欠点があるようだ。

これは実際に型を行ってみて初めて感じられたよ。

やはり見聞きした事柄よりもさ、実際に行ってみるのは違うってことだね。


何度か行いつつ、それぞれの型から似た部分を統合、有用不要を取捨選択しつつ型を統合していく。

適合化しスッキリした型を何度か行っていたんだが…皆が見てた!恥じゅかちぃでちゅうぅ。


「慶よ…今の剣術の型は…誰に教わったのじゃ?

 我が升田流とも、明らかに違う…いや、似通った部分は見受けられるのじゃが…

 明らかに升田流よりも優れておるように見えたわえ」


「ううむぅ、儂が修めた豪絶(ごうだ)流の片鱗も(うかが)えたが…我が流派よりも優れておるわい」っと伊井幕僚長が。

って、何時から居たんだよっ!

俺に感知されずに近付くなんぞ、たいしたもんたい!


「これ?」っと、皆が必死に頷いてる。

ばらす訳にもいかないのでね。

「近所でお爺さんがしてたの真似してみたんだぁ~

 恰好良いよねぇ~」ってみた。


「ううむぅぅっ、世には知られぬ達人が、まだまだ隠れておるのじゃな。

 一度会ってみたいものじゃて」

いや、実在しないから無理だけどね。


「そんなことよりもです、慶」っとお婆ちゃんがさ。

どしたんだろ?

「何故、餅を背負った侭で行っておるのですか?

 体を壊したらどうするのです。

 直ぐに餅を下ろしなさい」って、穏やかに。

けど…有無を言わさぬ迫力がさ。

逆らえませんって。


直ぐに「はいっ!」って返事してから、餅が置いてあった場所へと走り…

「走らない!」

「はぃぃぃぃっ!」

歩いて移動して餅を下ろしましたよ、ええ。


まぁ餅も下ろしたことだし、これで10升餅祝いは終わりだよね。

ってもさ、今日はここへ泊るんだけどね。

祝い膳が用意されているそうなので、俺達親子と親戚一同は座敷へと。

伊井幕僚長も一緒だよ。


流石に狩人一同様方が入る広さは無いので、皆さんは道場にて振舞われる祝い膳をいただくとのこと。

つまり一緒に食さないっということで…狩人さん達に捕まって質問攻めにね。


婆ちゃんとお袋は俺へ告げた後は祝い膳を用意するために母屋へと。

だからさ、俺が皆に捕まってんのを知らなかったんだけど…


「これ、慶。

 何時までも道場に居らず、母屋へ行きなさい。

 それと…貴方方にも後程お話がありますので」

婆ちゃんが告げると、狩人さん達が真っ青になってたよ。

お話って…何するんだろね。

脳内知覚を使えば知れるだろうけど…人間知らないことが幸せな場合もある。

だからさ、これに対しては探らないことにしよう、そうしよう。


俺はお婆ちゃんに連れられて母屋へ。

うん、尾頭付きの鯛を塩焼きにした物がデデーンっと。

でけぇなぁをいっ!


刺身もだけどさ、鯛めしがさぁ…鯛の塩焼きはお頭部分が最高っす。

刺身に何かの肝が、何だろね。

聞いたらウマズラハギの肝だとか、肝醤油にするのかと思ったらさ、そのまま醤油を付けて食べてるよ、あれぇ~?


「肝醤油にしないの?」って聞いたらさ、爺ちゃんに呆れられた。

何だろね?

「何処から聞き及んで来るのか知らぬが、良く肝醤油にを知っておるものじゃ。

 じゃがのぅ、ありゃぁ食い方を知らぬ味音痴が遣る食い方じゃて。

 新鮮なウマズラハギの肝は刺身で食うのが一番じゃ。

 食べてみるが良いて」


本当かなぁ?


恐る恐る、肝を箸で取って醤油を入れた小皿へと。

むろんワサビ抜きですよ、僕、1(ちゃい)でちゅからね。


醤油を付けたウマズラハギの肝を口へ…なんや、これ…う、美味い…

生前に肝醤油を付けて刺身を食ったことはあった。

最高だと思ってましたよ、はい。


それがどうだね、君。

この刺身で食べるウマズラハギの肝の濃厚な旨味ときたら…人生を損していた気分だよ。

肝醤油?誰が行いはじめたのかね?人類の損失だよ、君ぃぃぃっ!

俺は、そんなん言いたい気分になりましたとさ。

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