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世界を救う勇者様はどうやら狂人のようです!!  作者: 真夜中のルーズソックス
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無限煉獄2『勇者の実力」

私たちは王都から3日をかけカルノス大地へ行き、半日をかけ、無限煉獄の入り口まで来ていた。


「ケケッ。ここが無限煉獄の入り口カァ。魔力の流れが汚ねぇなぁ。カカッ」


彼はそう言ってこの禍々しい洞窟の入り口を見る。

無限煉獄はダンジョン形式になっており、地下100階まであり多くの魔物がそこで生まれては喰い喰われを繰り返し、その死体の魔力がこの洞窟に吸い込まれ、また魔物が誕生するという生態系を作っている。魔物を殺しても殺しても生み出すことや洞窟内の地獄のような様から無限煉獄と呼ばれている。


そしてここには【三槍】ジュネヴァ意外にも、【無限煉獄の主】サーヴァントがいる。

恐らくサーヴァントは王都騎士団と互角程度の力を持っているとされているのだ。


「ユリウス、ここは100階層まであります。最下層には【無限煉獄の主】サーヴァントがいて、恐らく【三槍】ジュネヴァ、それ以外にもジュネヴァの手下が各階層にあると思われます。ここは1度休憩をしてから‥」


彼は私の言葉を遮るように私の横にいたリンを指差し、ただ一言だけ呟く。


「おい、やれ。」


「も〜、人使いが本当に荒いんだから。」


彼女はそう言うとなんのモーションもなく聖魔法を私たちに向けて発動させた。


これが無詠唱魔法‥

みるみるうちに身体にあった疲れが消えていった。


「リン、ありがとう。」


「いいのよ!これくらい任せて!ほら、ユリウスもお礼は?」


「ウッセェ、ババァ。行くぞケケッ。狩りの時間だ。ガフル暴れんぞ」


「今回はあれがぁぁぁぁ勝って最強を証明してやる!行くぜぇ、よーいドン!」


そのガフルの掛け声とともに彼らは無限煉獄の中に一直線に入っていった。

呆然としている私にリンが私たちも行こっか!と言って私の手を引っ張る。


この緊張感のなさは‥と思いつつも彼らの負けるところが想像もできず、私もあまり緊張せずに無限煉獄へと入った。


◇◇◇


彼らーユリウスとガフルの動きを目で終える様になっていた。

なってはいたものの、あまりの動きに私は芸術すら覚える。


「ね?あの2人に比べたら私は戦闘系じゃないって言ったでしょ?」


まさにその通りだ。

隙がないどころではない。無駄がないのだ。

しかも加護なしで。


「ガフルの魔法は金属性‥接近戦に長けたまさにガフルにお似合いの魔法だね。」


私がそう言うとリンは頷いて付け加える。


「あの金属性は彼の持つ【闘神の加護】を使う事で最大限に生かされるわ。恐らく彼は金属性を持つ中でも最強の部類に入る。まぁそれでもユリウスには敵わないけどね。」


そう。そうなのだ。

個の強化を主とする身体強化系の金属性を使っているのにもかかわらず圧倒的な力で魔物に範囲攻撃を与えているガフルよりも圧倒的に芸術的に敵を一撃で倒していくユリウスの方に驚きを隠せない。


「あら、ガフルもそろそろあったまってきたようね。」


リンのその言葉に反応したかのようにガフルが飛び上がり、呪文の詠唱を始める。


「我に星にも劣らぬ輝きを与えよ。そして我を満たし続けろ。【特級金魔法・アイアンメイデン】」


特級?!

と私が驚いている間にも彼の身体は見る見るうちに光に包まれていき、まさしく全身がダイヤモンドのような輝きを発した瞬間、彼の身体に触れた生物が粉々に崩れていく。


そして彼が地面に着地しようとした瞬間に私の中で嫌な予感がした。

これガフルが地面に触れたら地面崩れるんじゃ‥


そう思っていたが彼は悠々と地面に着地した。


「大丈夫よ、あの魔法がガフルが対象としたものを壊す魔法だから。まぁ原理は最高硬度である自分に魔法で磁気的なモノを発生させ無理やり対象をぶつからせる。そして、最高硬度とぶつかったモノは徐々に崩れていくっていう原理なんだけどね。」


「あはは‥簡単に言うね‥」


私は特級というチート魔法やらこれくらい当たり前と言わんばかりのリンの態度に少し嫌気がさした。

そんな中、ありとあらゆる魔物が彼に吸い込まれては消滅を繰り返していく。


「ケケッ。やっぱやりやがるな。飽きたぜ、6階層まではガフル!貴様に譲ってやる。ケケッ。だから先に15階層で待ってるぜ。ハハッ」


「おい!待てユリウス、せこいぞ!」


ガフルの言葉を見向きもせず、ユリウスは奥に消えていった。


「ユリウス大丈夫なの?」


「あはっ、エライザは面白いこと言うね。まさかユリウスが負けると思ってるの?」


「いや、それはないと思うけど、あの人狂ってるから‥」


「あぁ、確かに狂ってはいるわね」


リンは笑いながら続ける。


「でも、彼はああ見えて全世界の人類の最高到達点なのよ。」


彼女はそう言って笑った。

私はこの言葉の意味を今は本当の意味で理解はしていなかった。


「ガフル、私も手伝おうかー?」


「リンはそこで体力温存しといてくれ!」


「は〜いよ〜」


私たちはガフルが魔物を殲滅して行くのを見て、徐々に徐々に洞窟を進んでいった。


◇◇◇


「ジュネヴァ様、何者かが侵入したようです。進行方向的に無限煉獄を攻略しようとしているかと。」


「そうか。では、そいつらを殺せ。魔刀の使用も許可しよう。」


「御意」


「サーヴァントよ、久々に面白そうなのが来たな。」


「そうだねジュネヴァ。僕はそれより君と遊びたいんだけどね。」


「それはこの仕事が終わってからにしようか」


「ほんとー?絶対だよー?」


「あぁ、貴様とはそういう契約だからな。」


「うん!」


マハラバによる勇英召喚が行われたという噂があったが、タイミング的にも本当だったと思って良いな。

さて、勇者とはどれほどのものなのか。

【魔刀士】レンとどれほどの実力差があるのか、みものだな。

さぁ勇者。楽しませてくれよ。。。。


不気味な笑い声が無限煉獄最下層に響いた。

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