プロローグ
信忠様。
あれから、何年の月日が流れたでしょうか。
信忠様は、あの世で元気に暮らしていますか。
もうすぐ、私はあなた様に会えそうですよ。
今私は、病にかかっております。
医者に診てもらいましたが、治る見込みはなし、との事だそうです。
武蔵のみなさんは悲しむかもしれませんが、私にはその方が良かったのかもしれません。
あなた様に、ようやく会う事が叶うのですから。
今、行きます。
松姫 死去 享年 56歳
花が咲き乱れています。
ここはあの世でしょうか。
「武田松だな。」
久しぶりにその名を呼ばれた気がします。
「はい。」
振り向くと、怖い顔をした男の方が立っていました。
「お前は純粋な心を持ち続けたゆえ、本来なら天国行きだ。ただ、お前は信忠とやらを愛しているのであろう。
現世でも一緒に暮らしたかったのであろう。そなたの純愛は地獄の官僚たちの心を突き動かしたぞ。もう一度やり直す事を許す。信忠も後で現世に戻す。」
男の方は、右手を振り下ろしました。
すると、私の意識は一瞬にして途絶えました。
松姫の物語、始まります。
主に、後書きには、歴史豆知識と次回予告を書かせて頂きます。
歴史豆知識
松姫が晩年滞在していた場所は、東京都八王子市です。
松姫は、八王子市の信松院の開祖となり、八王子の人々に慕われました。
信松院は、JR東日本・中央線・西八王子駅から徒歩30分の場所にあります。
ちなみに、私は信松院の反対の道にある小学校に通学していたので、信松院はほぼ毎日見ていました。
今は、京都に引っ越して、新しい学校へ通う準備をしています。