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不思議な絨毯

作者: 五月病

昔々、あるところに不思議な絨毯を売る男が居ました。


その男は市場の片隅にボロ絨毯を広げ、「これは不思議な絨毯だ」と言って異様に高い値段をつけて、かと言ってどこが不思議なのか、全く説明しないので、みんなに不思議がられていました。


とある富豪がその絨毯に興味を持ち、大枚をはたいてその絨毯を購入しました。


富豪「さて。で、どこが不思議なんだい。」


男「座ってみればわかります。ああ、靴はちゃんと脱いでくださいよ。その絨毯は汚れるのを嫌いますからね。で、そこに、そそ、あぐらをかくような感じで座ってください。・・・どうです。わかったでしょう。」


富豪「・・・何もわからないのだが、もっと座っていればわかるのかね。」


男「いえ、もう十分わかったはずですよ。もっとよく考えてみてください。」


富豪「もう十分わかったはずだ、と言われてもなあ。まだ全くわからないのだが。・・・おい、まだ私は理解できていないぞ。なぜ帰りの支度を始めるのだ。」


男「いえ、特に意味はないのです。売り物はその一品だけだったので。・・・さて、まだわかりませんか。不思議な絨毯なのですよ。わかるはずですよ。ああ、靴はここに揃えておきます。」


富豪「降参だ。さあ、どこが不思議なのか教えろ。」


簡単なことです。と言って男はズボンの埃を払い、上着の裾を引っ張って揃え、帽子をかぶると、にっこり笑って、不思議なところがないのが不思議なのです。そして、それにお金を払う貴方もね。と言って、すたすたと歩き出しました。


騙されたことに気づいた富豪が立ち上がろうとすると、足がぴったりと絨毯に張り付いて離れません。


男は立ち止まると、「どうやらその絨毯は貴方を大変気に入ったようです。大切にしてやってくださいよ。」と言って、また歩き始めました。

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