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腿太郎、大鬼と会う

ビリビリと空気が震えます。

ドスンドスンと振動がこちらへとやって来て、三メートルある巨体の鬼がやって来ました。


「んん??」


四本角の鬼が腿太郎の目の前で止まり、マジマジと腿太郎を見ました。


「その風貌。その腕のガントレット」


大鬼の視線が猿山、犬塚、雉尾に向きました。


「そして家来と思われる──「誰が家来だ!!!」「やめろ犬塚!!」──三匹の人間…」


視線が再び腿太郎へと向けられました。


「貴様か。モモタロウというのは」


訊ねられた腿太郎は頷きます。


「そうだ。私がコブシ師匠とクミテ師匠の弟子。腿太郎だ」


大鬼が、クミテ、コブシと小さく呟くとニヤリと笑いました。


「ははははは!!!あの人間どもめ、まだ生きていたのか!!!!」


大鬼が腹を抱えて笑います。

それだけで近くの小石が振動でカタカタと震えました。


「そうかなるほど。人間は弟子というものを作って力の継承を行うのか!!ということは貴様には二人の力が受け継がれているのだな。面白い。こうして姿を変えて二人と合間見えるとは思わなかった!!!」


なにやら大鬼は大きな勘違いをしているように思われましたが、腿太郎が何も言わないので猿山も余計なことは言うまいと口を閉ざしました。


「あの人間は唯一この俺様と対等にやりあえた人間だ。敬意を評して貴様のいうゲームで対決してやろうではないか」

「本当か?」


腿太郎は何のゲームが良いかと考え始めたとき。


「だが、条件がある」


大鬼が条件を出してきました。


「条件?」

「ああ、そうだ。人間のルールで、ゲームに負けたものには罰が下されるのだろう?その罰の条件の話だ」

「ああ、なるほど」


大鬼が三人を指差します。


「そこの人間どもの助けは無しだ」

「タイマンというわけだな」


腿太郎は頷きました。

元よりゲームは全てタイマンでした。


「そして、俺様が勝ったら」


大鬼は悪い笑みを浮かべました。


「貴様は鬼になってもらう」


なんだと!?と三人は割り込もうとしましたが、腿太郎に手で制されてしまいました。


「良いだろう。なら私が勝てばもっと安全な方法で力試しをすると誓ってもらう」

「どういう意味だ?」


大鬼が腿太郎に訊ねます。


「君たちの人間への迷惑行為はどれをみても鬼同士の力試しだった。昔はどうだったか知らないが、今は純粋に力を人間に誇示しようとしているように見える」

「ほう?」


大鬼の片眉が上がりました。


「これは推測だが、まだ生きているか分からなかった師匠達に帰ってきたと、どうだザマーミロと行動で訴えているように見える」

「………」


大鬼は黙って腿太郎の話を聞いています。

周りの鬼達が腿太郎へと襲い掛かろうとしますが、大鬼の命令がない限り動けないみたいです。


「もともと人間達は鬼の強さを知っている。せっかくの強さをそんなことに使うなんて勿体ない」

「勿体ないだと?」


ああ、と腿太郎は続けます。


「私が知っている存分に安全で楽しい力試しの方法を試してもらいたい。きっと気に入るだろう」


大鬼は少し考え。


「貴様の条件は理解した」


と頷きました。


そして周りの鬼に命令して、気絶している鬼達を退かさせました。


「だが、それはゲームに勝てたらの話だ」


綺麗になった広場に腿太郎と大鬼が立ち、周りを鬼達が遠回しで見守っております。


「で?なんのゲームをするんだ」

「その前に訊ねたい」


腿太郎は大鬼を真っ直ぐに見ました。大きいので見上げる形ですが。


「得意な技はなんだ?」


大鬼は答えます。


「回し蹴りだ」


その答えで、二人の行うゲームが決まりました。


「大鬼、耐久勝負をしようじゃないか」



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