第13話
一応、この回で話に一区切りをつけます。
3月1日。この日はアリ姉の卒業式である。1・2年生はただ、卒業する先輩方を見るだけという行事なのだが、式が終わってから部活動ごとに集まって、3年生を送る会が開かれるとか何とか。そして、この行事は俺やアリ姉が在籍する文芸部も例外ではなかった。
「アリ姉、卒業生代表として挨拶してるじゃん・・・」
「例年は生徒会長経験者か、運動部の前キャプテンが務めるみたいなんだけどね・・・」
俺は明日香に小言を漏らす。そして、
「なんか校長先生が、亜梨紗さんを推薦してたみたい」
「え、そうなの!?初耳・・・」
「3年間ずっと学年トップだったし、有名な新人文学賞も受賞したからって・・・」
クラスメイトで生徒会副会長の寺嶋萌絵さんが明日香にある噂話を吹っ掛けてきた。これにはさすがの明日香も驚いている。・・・まぁ、一番驚いているのは俺なんだが。
◇ ◇ ◇
式が終わると、1・2年生はホームルームと簡単な清掃を行い解散。チア部の3年生を送る会に参加する明日香とはここで別れる。そして俺は卒業するアリ姉と井口結衣さんを迎えるため、文芸部の部室へ向かった。
「亜梨紗さん、結衣さん。ご卒業おめでとうございまーす!!!」
顧問の関本佐和先生と下級生で2人を迎える準備していると、アリ姉と結衣さんがやって来た。そして、2人が部室に入ると、同時にクラッカーが鳴った。
「みんなにこういう形で祝われるのは、ちょっと恥ずかしいわね・・・」
「私もちょっと、恥ずかしいかも・・・」
すでに受験を終え、4月からは大学生になる2人。ちなみにアリ姉は早応大に、結衣さんは青教学院大に進学する予定だ。まずは関本先生が2人にメッセージを述べる。そしてアリ姉の引退後、部長になった俺も続いてメッセージを述べる。最後に、2人の挨拶が始まる。まずは部長だったアリ姉から。
「3年前、私と結衣が文芸部の門を叩いた時は上級生が在籍しておらず、休部状態でした。しかし、私たち2人の活動によって、1年後には3人が、そして2年後には5人が入部しました。また、かつてはご自身も在籍し、休部状態だった白渚高校文芸部を復活させるため、顧問を引き受けてくれた関本先生には感謝の言葉しかありません」
続いて結衣さんの挨拶。
「亜梨紗は最初、人見知りな私にとって、非常に話しにくいなと感じた同級生でした。しかし、お互い文芸部に入部し、初対面の私にも親しく話しかけてくれて、お互いの距離も日に日に近くなりました。3年間お互いに切磋琢磨した結果、亜梨紗は昨年の秋、有名作家の登竜門である文潮小説新人大賞を受賞しました。私もその新人賞で二次選考まで残りました。そしてこの春、2人は別々の大学に進みます。私も小説を書き続け、亜梨紗の後を追ってみたいなと思っています。そして、我が白渚高校文芸部を支えてくれた関本先生および後輩方、私たち2人は感謝の言葉しかありません!」
結衣さんは涙を流しながらこう挨拶していた。そして、アリ姉の目にもうっすら涙が浮かんでいる。そして、
「アリ姉・・・いや、亜梨紗さんと結衣さんの卒業を祝して、乾杯!!!」
俺が音頭を取り、お菓子とジュースで祝杯をあげた。そして、最後は2人の胴上げで3年生を送る会を締めることになった。
あとはエピローグ的な話を書いて終わりたいなと思っています。俊彦が最後、誰を選ぶかもまだ書いてませんし。読者の皆様、この物語にあと少しだけお付き合いください。




