第一章3話
「へぇー、普通の人たちはこんな服を着てるのね」
近くの服屋につき、服を着替えた。
着替えた服を鏡で見て、とても不思議そうにしている。
空色のワンピースに藍色のマント、動きやすそうなブーツを身につけている。
「まぁ、そんな感じの装備で大丈夫だろう」
「うん、ありがとう。ええっと……」
「あ、ごめん。まだ名前を言ってなかったね。俺はオルト・ディランだ」
「よろしくね、オルト。それに色々とありがとう」
リディアは深々と頭を下げる。
「これぐらい構わないよ。ところで、リディアはこれからどうするの?」
店を出ながらリディアにそう聞くと、少し落ち込んだ様子で俯き、
「実際、何をしたらいいのかわからないの。お城の外に出たのも初めてで、外の世界はわからなくて……」
何も知らない子を放っておくのは気が引ける。
でも、俺も姉さんを探さないといけないし……
考えているとリディアが俺の前に回り、再び頭を下げる。
「お願いオルト、お父様に反抗するのを手伝って!」
リディアの意志は固いようで、断りにくい。
「リディア……その、俺にもやらないといけないことがあるんだ」
それを聞いたリディアは顔を上げる。
そして、不安そうに俺のことを見ている。
「俺がこの町に来たのは、連れ去らわれた姉さんを助けるためなんだ。連れ去った連中を探すための情報を探してたんだ」
「そんな……ごめんなさい、あなたの事情を考えてなくて」
リディアは必死になって謝る。
「だから……姉さんを助けるのを手伝って欲しい。その代わりというか、俺は君のことを手伝うよ」
そう言うと、リディアは驚きの表情を浮かべている。
「え……うん! 私も手伝うよ、オルトのお姉さんを助けるのを」
「ありがとう。でも危険と隣り合わせなんだ、俺から頼んでなんだが」
首を横に振り、「私のしようとしてることだって危ないと思うし、それにオルト以外に頼れる人いないから」
リディアは微笑みながら言う。
その表情はとても可愛く、少しドキッとした。
「あ、あぁ、それじゃあこれからよろしくリディア」
そう言って、右手をリディアの方に差し出す。
「うん! よろしくねオルト!」
リディアも右手を伸ばし、二人で握手を交わした。