第1章11話
しばらく進んでいくと徐々に異変の片鱗が垣間見えてきた。
舗装されていた道は随分荒れており、道の端に生えてる植物は潰れていた。
さらに、先程まで遠くに見えていた魔物の姿もこの辺りから見なくなっていた。
「……随分雰囲気が違うな」
「ホントにね……なんか不気味だなぁ……」
「思ってたよりもやばい状況なのかな……?」
俺とリディアに不安が走る。
俺も旅を初めてまだ日が浅いうえに戦闘の経験も普通の冒険者などに比べたらまだまだだ。
その上リディアは最近ようやく魔法が使えるようになったくらいだ。
言わば新米冒険者である俺たちが関わるべきことでは無いだろう。
しかし、そんな危険な場所であろうと数少ない貴重な情報だ。
姉さんを助けるために覚悟を決めたんだ。
「リディア、言った通りガブリスでの戦闘はなるべく距離を取って不味くなったら逃げるんだぞ」
「うん、大丈夫。わかってるよ」
リディアの表情からは不安が見て取れ、いざという時本当に逃げれるのか心配になってしまう。
ましてや、本当に戦闘になるなら俺も覚悟を決めなければならない。
リディアを守りながらの戦闘は少し骨が折れそうだ。
半日ほど歩き、俺たちはついにガブリスの街に辿り着いた。
しかし、そこは想像を絶する場所だった。
建物は崩れ、畑は荒れており、完全に廃れた街だ。
人の気配を感じることはなく、ただただ寂しさだけが伝わってくる。
「……なんだこの有様」
「嘘……こんなことに……」
俺もリディアも驚きを隠せない。
襲われたと言ってもここまでの惨状になっているとは思ってもみなかった。
俺の住んでいた村とは違う意味で酷い。
こんなことするのは連中に違いない。
「とりあえず、中の状況を確認しよう。もしかしたら生存者がいるかもしれない」
「う、うん。そうだね……」
俺が前を歩き、リディアは少し脅えた様子で後ろを着いてくる。
細心の注意を払い街の中を歩き回っていくが生きてる人が見つかることはない。
と言うよりも本当に人がいたのが怪しいくらいだ。
焼き打たれたのなら分かるが、そうでも無いこの状況だと死体が転がっていても不思議でない。
だが死体なんてもの1度も目にしていない。
「本当に何があったんだ……」
「オルトが追ってる人たちってこんな酷いことする人たちなの……?」
「あぁ……だから許せない……」
不意に拳を握りしめる。
俺の村を破壊しただけでなくこの村もこんなことにしたあの連中が憎い。
「……そろそろ日が落ちてきたよ。今日はもう休もうよ」
「……そうだね。街から出て近くの森ででも……」
そう言った途端、どこか近くから唸り声が聞こえてきた。
声がしたのは集会所の様な建物の中からだ。
「……なんだ?」
それらはゆっくりと俺たちの前に現れた。
シルエットは人間のそれと同じだがまるで生気を感じない。
焦点の合わない目、半開きの口にカビのような色をした肌。
恐らくアンデッドの類なのだろうがこんな所に何故いるのだろうか。
そんなアンデッドの様な生物が何体も集会所から出てきたのだ。
「アンデッド……この地域での発見されたことなんてないのに」
「えぇっ! それじゃあこれって……」
「とりあえず逃げるよ! 数が多すぎる!」
そう言って俺たちは街の入口へと駆け出した。




