表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/12

プロローグ

 いつもと変わらぬ村。

 俺はいつも通り、父さんの仕事を手伝って何も変わらない生活を送っていた。


 ……はずだったのだ


 眼下に広がるの燃えゆく村に、次々と切り裂かれる村人たちの姿。

 耳に届くは絶叫と悲鳴。

 この光景は、地獄と呼ぶにふさわしいだろう。

 辺りには赤いローブを身に付け、大鉈を振るう謎の男たちの姿があった。


「や、やめてくれぇ!」


「いや……いやぁぁぁ!」


 何が起こっているのかまるで飲み込めなかった。

 ただ俺は座り込んで痛烈な光景を眺めることしか出来なかった。


 一人の男が俺に近づき大鉈を振りかぶる。

 次の瞬間、肉を切り裂く不快な音とともに鮮血が飛び散った。

 初め、何が起こったのか理解できなかった。

 自分が切られているのでないことに気が付いたとき、父さんが俺を庇って切りつけられていた。

 それを見てようやく気がついた。

 目の前で起きている惨劇を。


「父……さん……父さん!?」


「うぅ……オルト……逃げろ……お前だけでも……」


 そう言うと、父さんはその場に倒れてしまう。


 なんで……なんでこんなことを……


 ショックのあまりその場から動くことができない。

 動くことができない俺に対して、父さんを殺した男は再び大鉈を振りかぶる。

 振りかぶる直前、男の右肩に剣が刺さる。

 男は悲痛の叫びをあげて倒れ、右肩を抑えている。

 その様子を茫然と見ていると、誰かに腕を引かれる。


「何ボーっとしてるの! 逃げるよ!」


 姉のレティに腕を引かれ、村の外へと走り出す。

 必死に走り、村の外へと逃げていく。

 男たちも逃げていく俺たちに気が付いたようで追いかけてき、すぐに追いつかれてしまう。


「何勝手に逃げてんだよ。そこの女に用があんだよ」


 隻眼の男は姉さんを見ると、鎖を地面にたたきつける。


「……オルト、あなたは逃げなさい」


「……え?」


 そう言うと、隻眼の男を睨みつけ何かを唱え始める。

 右手を前に突き出すと、手のひらに魔法陣が浮かび上がり、次第に魔法陣から長剣が出てき、剣の柄を握り男たちと対峙する。


「それが噂に聞く希少魔法の一つか、お前らその女を捕まえろ!」


 男の声を合図に他の男たちが姉さんに向かってくる。

 それと同時に、姉さんは人のいない方に向かって俺の背中を強く押してくる。

 その後、姉さんは男たちに向かって剣を振りかぶった。

 俺は少し離れたところで倒れこみ、姉さんを見ていることしかできなかった。

 しかし、人数の差にすぐ押さえつけられてしまい、集団に連れていかれてしまう。


「お、お前ら! なんで姉さんを……!」


 声を聞き、隻眼の男は不気味な笑みを浮かべて俺を見る。

 その後、姉さんを拘束して闇の中に消えていった。




 何もできなかった自分の非力さを恨むことしかできなかった。

 村の人たちを殺され、姉さんを連れて行ったあの連中を許せない。

 必ず姉さんを助けだすと決意する。

 焼け焦げてしまった自分の家に戻り、無事な道具や金品を持ち、剣を手に取る。

 そして村を飛び出し、あの連中を探す旅を始める。


今回より新たに連載を始めます!

どうぞよろしくお願い致します!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ