恋の行方
初めて君と出会った日は、何の変哲もない日だった。いつものように友人と話しながら過ごしている僕の目に止まったのは、とてもきれいできらきらしていた君だった。僕の友人と楽しそうに嬉しそうに話している君のことを、僕は無意識のうちに見つめていた。まだ君のことを何も知らなかったのに。
今、思えばあれは一目惚れってやつだったのかもしれない。
それからは何度か合う機会があった、いつも隣には僕の友人がいたけれど。君は違うクラスだったけれど、僕の友人と仲が良かったから時々僕のクラスに来て遊んでいた。
それからしばらくして、クラス替えがあった。僕はあまり他人に興味がなかったから張り出されている紙をざっと流し読みするだけだったけど、その途中で動いていた視線が止まった。その視線の先には僕の名前とその一個上に君の名前があった。もちろん、僕の友人も同じクラスだった。
僕は柄にもなく声に出して喜んだ。僕の友人がそれを見て微笑ましい顔をしていたから最初から友人にはバレていたのかもしれない。今まで何もそういう話題を僕に振ってこなかったのは、友人なりの優しさだったのかもしれない。
新しいクラスでは、君と同じ苗字だったから席は隣同士になった。席がとなりだからとたびたび話しているうちに、僕は君の性格だとか仕草だとかそういったものを見てますます君のことが気になった。
君のことを見ているうちに僕はあることに気づいた。
君はときどきおかしな方向に視線を向けていた。ふと何気なくその先を見てみると、そこには他の友人と笑いながら話している友人の姿があった。君の顔に視線を戻すと、君はまだ友人のことを見つめていた。
その時の僕は、まだ何も分からなかった。単なる偶然かなんかだろうなんて思っていた。
その後何度か友人に視線を向ける君を見て、僕は何かに似ているな、と思った。それは、君のことを見つめる僕の姿にそっくりだった。
僕の友人はイケてるメンズ、いわゆるイケメンと呼ばれる人で、勉学もスポーツも優秀で女子への気遣いなどさりげないところでも優しさをみせていた。そんな友人が気になるのは当たり前であり、仕方のないことなのだろう。
その時だと思う。君のことを振り向かせたくなったのは。君に対して独占欲が湧いたのは。
それから僕は君に様々なアプローチを仕掛けた。時にはちょっと強引に、時には優しく。君が鈍感なのか気づかないふりをしているのか分からないけど、君はちっとも僕に興味を示してくれなかった。
久々の友人との帰り道で、僕は友人に話した。僕は君が好きで、君を振り向かせるのにはどうすればいいか、と。すると、友人は小さく笑って答えてくれた。
「告白すれば?」
僕には、それが妙案に思えた。今までは遠回しでしか伝えてこなかったから伝わらなかったのだと思った。
残りの帰り道、友人はしばらくニヤニヤしていた。
それが、昨日の話。
そして今日、偶然、君と二人きりになった。僕の気持ちを知らないのか、君は二人きりだねなんていってはしゃぐ。
「ねえ、大事な話があるんだ」
唐突な真面目な顔をして言った言葉に、君は顔を引き締める。
「僕は君が好きだ」
君の目を見て真っ直ぐに、自分の気持を伝える。何の飾り気のない言葉で作られたそれはちゃんと君に届く。君は、小さくはにかんで答えた。
君の言葉は、とても暖かかった。
君の返事は、ご想像にお任せします。
余談ですが、作者は告白して振られました。ずっと独り身です。




