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学校へ行こう!  作者: 青梅 刹那
2/2

後編

後編はほんの少し汚い表現を含むのでご注意下さい

ψ(`∇´)ψ

 

 その日、丸一日仕事が休みで手持ち無沙汰だったため、朝からなんとなく窓の外を見てぼーっとしていると、1人の少年が上り坂を走って登ってくるのが見えた。 あの制服は……うちの息子と同じ高校の子か。


 ただ、どうにも様子がおかしい。なんというか走り方が微妙に内股になっている気がする。まぁおそらく原因は……だろう。頑張れ少年! と心の中で応援をする。


 と、そこへ私の愛すべき息子が声を掛けてきた。散髪へ行くから金をくれだと? まぁ、散髪くらい行ってこい。2千円あれば足りるだろう。ほら、行ってこい。


 ん? 何かがおかしいような……まぁいいか、大したことでもないだろう。 さて、私は窓辺でぼーっとすることを再開するとしよう




 8時21分


「ひぃ……ひぃ……ひぃ……」


 若干過呼吸気味になりながらも、何とか心臓破りの坂を駆け上がって行く。


 き、きつい。単純にこの上り坂がきついというのもあるが、いつも走っている時と違い制服を着ている事もきつさの原因の1つだと思う。


 というのも、制服はいつもの服とは違い通気性が抜群に悪いので汗はかくわ、その汗のせいでカッターシャツ諸々が体に張り付くわでかなりウザったいのだ。


 この坂を上ったら学校が見えてくるはずだ。あとちょっとでこの苦行が終わると思えばまだ走れる。待ってろよ学校!




 8時23分


「ひぃ……ひぃ……んくっ ひぃ……ひぃ……んはっ」


 やばい、せっかく坂を上りきったというのに、大事件が発生してしまった。


 これは、気のせいか? いや、気のせいではないだろう。 学校まで我慢できそうかな? ……無理かな。 うん、いま僕はトイレに行きたい!!


 あー、そういえば朝急いでたせいでトイレに行くの忘れてたなートイレ行きたい。くそっ、こんな事なら家でトイレに行ってからくるべきだったトイレ行きたい。


 この辺のことはよく知らないけどトイレ行きたい、近くに公園とかないのかなトイレ行きたい。


 あー漏れる漏れる漏れる漏れる漏れるトイレ行きたいトイレ行きたいトイレ行きたいトイレ行きたいトイレ行きたいトイレトイレトイレトイレトイレトイレトイレトイレトイレトイレトイレトイレトイレトイレトイレトイレ!!!!


 思考がトイレにジャックされたその瞬間、トイレの神様が僕に微笑んだ気がした。 そう、道路の向かい側に公園の看板が見えたのだ。


 ああ、トイレの神様よ。 これからは家のトイレは僕が綺麗にするんで僕をべっぴんさんにしてください。 よく分からないことを心の中で呟きながら公園へと入り、トイレに駆け込みズボンを脱ぎ便座に座る。


 ふん……ん……んはぁ♡ あースッキリ快感!!



 8時26分


 公園のトイレで一仕事を終え、ついでに少しだけ休憩を取っている間に、なぜこんな事になってしまったのかを改めて考えてみる。


 こうなってしまった原因は確実に朝の目覚まし時計の事件だろう。 なぜ音が鳴る時間設定を固定にしていたはずの目覚まし時計の設定がズレていたのか。


 父さんは出張で家にいないし、姉さんは免許を取るために合宿中だ。 ということは、母さんが寝ている間に設定を変えたのか? いや、そんなことはしないだろう。


 ……消去法的に僕しかない。 でも何で設定を変えたのだろう? 設定を変えているということは、その時は設定を変えても良いと思っていてわけで、変えて良いと思っていた理由は……思い出せない。 うーん、何だか大変なことを忘れてしまっている気がする。


 っと、時間がそろそろやばい。

 謎は深まるばかりだけど、ずっと考えてはいられない。 ひとまず学校へ行ってそれから考えよう。


 そう思いつつ、僕は公衆トイレから飛び出した。




 8時28分


「ふっはっふっはっふっはっ……」


 やばい、トイレで休み過ぎた。 これでは多分、朝のホームルームには間に合わないかな。 ……いや、ここまで来たら意地でも間に合わせる。頑張れ俺の両足!まだいける。熱くなれよ!!


 そんなことを考えながら、下り坂を爆走して行く。



 8時29分25秒

「かひゅー……かひゅー……かひゅー……」


 息も絶え絶えな様子で、されども足は止めず全力で通学路を走る。全ては時間に間に合わせる為に。


 ……っ! 校門が見えた!! ちらりと腕時計を見る。残り時間があと1分を切っているが、問題ない。30秒もあれば着くだろう。


 さあ、ラストスパート! 走れ、走れ、走れ走れ走れ走れ走れ走れ走れ走れ走れ走れ走れ走れ走れ走れ走れ走れ走れ走れ走れ走れ走れ走れ走れ走れ走れぇ!!!



 8時29分55秒


「はーーーひゅーーーはーーーひゅーーーはーーーひゅーーー」


 着いた、ギリギリ時間内に来れたぞ!!

 心の中で自分を褒め称え、校門の前に立つ


 しかし、諸手を挙げて僕を受け入れてくれるはずの校門は、誰の侵入をも拒否するように固く閉ざされていた。


 ……なんで?


 ……なんで??


 なんでなんだよ!!


 はぁ……はぁ……はぁ……落ち着け、落ち着くんだ僕。


 確かに僕が来た時はまだ30分になっていなかった。だから事務室の人に言えば遅刻は撤回してくれるはずだ。だから何も問題ない!


 そう自分を無理やり納得させていざ校舎内に入ろうとした時、違和感を感じとる。 ……あれ? どの教室も電気が付いてない。 それにいつも聞こえてくるガヤガヤした喋り声が聞こえない。まるで人がいないような……っ! まさか!?


 嫌な予感がし、スマートフォンでネットを開く。調べるのは学校のホームページ。


 嘘だ、嘘であってくれ……

 そう心で念じながらホームページの年間予定表を確認する。


 しかし、無慈悲にも今日の日付には『創立記念日の為休日』とデカデカと書かれていた。


 ……そうだ思い出した。昨日学校で明日が休みだと知って大喜びした事、そして明日は休みだからと目覚ましの時間設定を7時55分にしたこと


 は、ははははははははははは……


「なんで今思い出すんだよ!!!!!」


 全てを思い出した僕は、フラフラになりながらバス停まで行き、家に帰って二度寝をした。


 おしまい


もし良ければ、感想やアドバイス等書き込んで下さい。作者が喜んで、逆立ちで家の周りを周回します

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