第一部の登場人物
第零部のロザリアは、今は含めていません。
<主人公>
アンリ・ド・リヴィエール 八歳 男
転生した「ぼく」によって、本来背負っていた「英雄」の宿命すら凌駕する「中途半端」」の特性を獲得してしまった少年。「英雄」らしくすべてにおいて優れた才能を発揮できるが、「中途半端」により、その能力の成長は必ずどこかで頭打ちになる。
半端な能力のまま英雄となって自分のまわりの世界を混乱させ、親しい人々を苦しめることを避けたいという、きわめて個人的な動機で、英雄召喚を先延ばしするべく歴史に介入することを決意した。ちなみに、世界を救うとか人々を助けるとか正義を実現するとかの、いかにもな行動にはまったく興味がない。
現在王立学舎一回生
<ド・リヴィエール家>
マリエール・ド・リヴィエール 三十一歳 女
アンリの母親でド・リヴィエール伯爵第二夫人。天真爛漫な性格だが、信じると決めた相手はとことん信じ通す。アンリを含めた一女一男の母。
ロベール・ド・リヴィエール 三十九歳 男
アンリの父親。ドルニエ王国伯爵で、王国の武の重鎮のひとり。剣術に優れているが、二歳のアンリに本格的に剣術の訓練を課すなど、残念なところもあるナイスガイ。
シャルロット・ド・リヴィエール 三十四歳 女
ド・リヴィエール伯爵第一夫人。ふわふわっとした性格だが締めるところは締めるらしい。一女二男の母。マリエールとも仲が良く、イネスとアンリも自分の三人の子供と同様にかわいがっている。
カトリーヌ・ド・リヴィエール 十七歳 女
アンリの長姉。母はシャルロット。王立学舎総合課程を首席で卒業後、伯爵家のカルターナの屋敷にて領地経営の勉強中。母親似の癒やし系美女だが、フワッとした表面に、父親の武闘派的側面を隠しているという噂あり。
フェリペ・ド・リヴィエール 十五歳 男
アンリの長兄。母はシャルロット。王立学舎騎士課程の筆頭。剣の腕は同世代では圧倒的で、すでに父に並んでいるという噂あり。学業も優秀で他の学生からの信望も厚いイケメンのパーフェクト兄。女子には冷たいとは一部学生の評。
イネス・ド・リヴィエール 十四歳 女
アンリの次姉で全姉(競走馬じゃないからこの表現はないか……)。王立学舎騎士課程在籍。剣では同学年の中で圧倒的な強さを見せる。学業が控えめで筆頭は難しいとのもっぱらの噂だが、本人はべつに興味はない。父親の面影のある男っぽい短髪美女で性格も荒っぽい。弟を実は溺愛しているが、表現が独特でだれもそれを理解していない。
ジョルジュ・ド・リヴィエール 十二歳 男
アンリの次兄で母はシャルロット。王立学舎総合課程四回生。武の面では控えめだが、優れた頭脳を持ち、また、豊かな魔力を持つため魔法課程からも転科の誘いが来ている。弟おもいの優しい兄で、非常に目立つ存在である上の三人の兄姉の弟であることの苦労を理解し、アンリを思いやる。
タニア オーバー三百 魔族 女
マリエール付きのメイド。タニアは仮の名で、本名はノスフィリアリ。以前、マリエールに返しきれないほどの恩を受けたらしく、マリエールが生きている間は彼女を支え続けることを決意。それ以前は高位魔族にふさわしい多少ヤバ目の実績を残していた。冒険者としても、「死神」の二つ名を持つ。
アンリの宿命と特性を知るもので、アンリの武、知及び魔の師匠。アンリの決意を支えていくつもりだが、それはアンリのためではなくマリエールへの恩返しの一環であるらしい。
<カルターナの人々>
シルドラ オーバー二百 魔族 女
タニアの押しかけ眷属。万能だがとくに斥候・暗殺職に優れた才能を持つ。冒険者としても有名だが、それは実績だけではなく、頭に血が上ると魔法を乱発する危ない存在として知られている部分もある。ギルドには魔法使いとして登録しているが、それは暗殺の偽装の側面があるらしい。現在、アンリのカルターナでのパートナー。
リュミエラ 十八歳 女
もとアンドレッティ公爵家長女。金髪ストレートの正当派美貌と完成されたプロポーションを持ち、頭脳明晰でだれに対しても優しく、学舎時代はカトリーヌのあこがれの先輩。実の父親と母の実家の陰謀で愛玩奴隷となるところをアンリが購入。復讐の手助けと引き替えに生涯の絶対の忠誠を誓う。
バルデ 三十二歳 男
カルターナで手広く商いを営む大商人。闇ギルドの幹部としての顔も持つ。奴隷の売買も扱っているが、もちろん非合法のものも含めてである。その非合法の商売でアンリと遭遇し、その壊れ方に関心を持つ。
ミア 二十一歳 女
ギルドの冒険者窓口担当。
ディノ 三十五歳 男
ギルド所属のC級冒険者。
<王立学舎>
リシャール・モンゴメリ 八歳 男
アンリの学年の適性検査トップ通過者でモンゴメリ男爵家長男。さわやかな金髪イケメンですでに超リア充状態。学業、剣術ともに学年で群を抜いており存在感は抜群。騎士課程に進んだ後はフェリペと同じような存在になると見られている。寮ではアンリの隣室で、今のところもっとも親しい同級生のひとり。
マルコ・ロッシュ 八歳 男
アンリの寮のルームメイトでロッシュ男爵家次男。クラスでの位置づけは中位から少し上、というところで、隣室のリシャールと比べるとアレだが、能力的には決して低くない。騎士志望で魔法には興味はないが、才能がないわけではなさそう。お調子者担当で女子の評判はいまひとつ。イネスが好みらしい。
ルカ・マリネリ 八歳 男
リシャールのルームメイトでアンリの隣室。マリネリ伯爵家三男。目立つリシャール、騒がしいマルコと並ぶと地味な存在だが、意外とお姉様ウケしそうな外見で、学業面ではトップクラス。魔法にも才能を見せており、総合課程と魔法課程、どちらに進むか決めかねている。身体を動かすことは全体的に苦手らしい。
ベアトリーチェ・ニスケス 八歳 女
適性検査で女子トップ・全体三番目の才女。ニスケス侯爵家次女。美幼女から美少女になりつつある女子の存在感ナンバーワン。学業の優秀さもさることながら、剣術などを含め身につけられるものはすべて身につけようとする貪欲さ、それをいっさい感じさせない周囲への完璧な気配りを身につけたパーフェクトガール。
マイヤ・ジレス 八歳 女
ベアトリーチェの知りあいで魔法学授業に途中編入してきたオドオド系美幼女。発育に関してはベアトリーチェを圧倒。とくに強く目を引くもののない中で、魔力の強さが群を抜く未完の大器的存在。
シリル・マッテオ 三十五歳(享年) 男
アンリのクラスの担当教官で、アンリが能力を隠していることを見抜き、興味を持ってストーキングに及ぶ。さまざまな過去を持つが、自分にとって不利益を呼びかねないもの、役に立つ見込みのなくなったものを遠慮なく殺してきている。ドルニエ、ひいては大陸を手中に、という夢を持ち、アンリの力を利用するつもりだったが、アンリと折り合うことができず、激闘の末死亡。
ジルベール・ザカリアス 六十八歳 小人族 男
王立学舎魔法課程主任教官。魔法の求道者の顔とスケベ爺の顔を使い分けるくせ者。タニアの古い知りあいで、かつては冒険者。日和見ジルと呼ばれていたらしい。豊富
な魔法知識をアンリに授け、アンリのマッテオとの戦いを勝利に導いた。
セバスチャン 五十四歳 男
職業セバスチャン、といってよいジルの執事。マッテオとの戦いに先立ち、アンリの練習相手を務めるが、剣術、魔法両面に高い技能を見せる。謎の多い人。
<アンドレッティ公爵家>
エンリケ・アンドレッティ 三十九歳(享年) 男
アンドレッティ公爵家当主。武の家柄の当主として充分な存在であったが、少し下半身のわがままを許したことにより、シルベストレに弱みを握られ、第一夫人母娘襲撃の陰謀に荷担。結果、リュミエラの刃に倒れる。
マリア・アンドレッティ 三十五歳(享年) 女
エンリケの第一夫人。リュミエラとともに馬車で移動中を賊に襲われ死亡。襲撃はシルベストレ・ジェンティーレ伯爵の陰謀であった。
ミリア・アンドレッティ 三十三歳 女
エンリケの第二夫人。第一夫人マリアとその娘リュミエラの死に際し、大きな衝撃を受けるとともに、自らにかかりかねない疑いを晴らすため、公爵領の辺境にある小さな屋敷に謹慎、自ら身の証を立てようとする。
セレス・アンドレッティ 十七歳 女
ミリアの娘。ミリアの謹慎に同行。
<ジェンティーレ伯爵家>
シルベストレ・ジェンティーレ 四十歳(享年) 男
ジェンティーレ伯爵家当主。前当主ジュリオの弟でリュミエラの大叔父にあたる。陰謀によりジュリオに家督を譲らせた。アンドレッティ公爵家に嫡男が生まれていないことに目をつけ、前当主ジュリオの娘マリアを亡き者にして三女のヘラの送り込みを狙う。リュミエラの刃に倒れる。
ヘラ・ジェンティーレ 十七歳(享年) 女
シルベストレの三女。血縁的にはリュミエラの叔母だが、リュミエラを姉様と呼ぶ。以前マリアの嫁ぎ先であるアンドレッティ公爵家を訪ねた際にエンリケと情交に及び、妊娠。マリアを廃して自分がアンドレティ公爵家に嫁ぐことに積極的に同意。リュミエラの刃に倒れる
ジュリオ・ジェンティーレ 四十二歳 男
ジェンティーレ伯爵家前当主。シルベストレに盛られた毒が原因で体調をこわし、家督をシルベストレに譲り、隠居。娘マリアと孫娘リュミエラをおそった事件についてはいっさい知らされていなかった。
スザーナ・ジェンティーレ 三十六歳 女
ジュリオの第一夫人でリュミエラの祖母。マリアとリュミエラを襲った事件については、やはり知らされていなかった。
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