俺の普通の日常
1、2分で読めると思います
俺の名は鈴木 敬太。どこにでもいる高校一年生だ。
最近の漫画やアニメだと、こう言っている……または思ってる……奴はたいてい普通じゃないが、俺は普通だ。
魔法や超能力みたいな特殊な力を使えるわけでもないし、実は前世の記憶があるとかでもない。
頭が凄くいいわけでもないし、運動だってそんなに凄くない。良くて中の上だ。
いわゆる普通。ザ平凡。
それが俺である。
そんな俺が通う学校も普通だ。
県立高校で、地元では学力レベルが一番高いのだが、全国と比べると真ん中辺り。
部活動の活躍もよくて地方までで、全国出場のところもない。
よくある学校である。
ただ……普通じゃないとするなら、あれか。
よその学校と比べると、うちの学校は顔面偏差値が高いのだ。
男子ならば、イケメンやらクール系と呼ばれる顔立ちの奴から、可愛い系の奴まで。
女子は、美人系や可愛い系、クール系……揃ってないタイプあるの?と言いたくなる程、様々な奴がいる。
入学した当初は俺の目がおかしくなったかと思ったね。
人の顔が、実際よりよく見える呪いにでもかかったかと疑ったくらいだ。
まあ、それも一ヶ月も見続ければ慣れるもんで。
今では特に気にすることもなくなり、普通になった。
最初は、ちょっと女子の顔が直視できない程だったが、仲良くなった奴とは変顔対決までするくらいになった。
ちなみに毎回勝ってる。
対決する女子は、必ず俺よりも先に顔を背けるのだ。
恐らく笑いを堪えなくなってるんだろう。
その証拠に顔を背けた後、両手で顔を隠してるからな。
今日も挑まれたら本気でやろう。
俺の変顔の数は100個はあるんだぜ!
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時間が過ぎ放課後。
今日も、先生たちの授業を何とか乗り切り、安息の時間にたどり着いた。
授業中、隣の加藤さんが、急に変顔を向けてきた時には危うく笑いかけ、先生に怒られる未来が見えたが。
何とか耐えて、逆に変顔をして顔を背けさせた。
いや〜、まさに危機一髪。
いきなりやられたもんだからビックリもしたけど……これまで戦ってきた加藤さんのどの変顔よりも笑える顔だった。
あれは相当変顔の研究をしていたに違いない。
今日、俺を笑わせる為に仕込んでたんだろう。
だが俺は勝った!
ふははは!
あ、ちなみに敗者の加藤さんは現在となりに居ます。
なぜなら同じ図書部員だから。
「くそ〜、卑怯だ!あの顔は卑怯だ!あんなの絶対に顔背けるに決まってるだろ!」
さっきから俺の変顔に文句をつけてるが、勝負の世界は勝ったものが正義だ。
俺の変顔を見て笑いを堪えきれなくなるのは分かるが、なんとかしなきゃ勝利はないよ、加藤さん。
「は?いや、お前の顔見て笑う理由が分かんないわ」
え?いやいや、嘘は良くないよ加藤さん。
俺の変顔を見て顔を背けて、更に両手で顔を隠してるんだよ?
どう頑張っても笑いを堪えてるでしょ。
「笑いは堪えてない……別なのは堪えてるけど。後、お前はあれが変顔だと思ってやってるのか」
へ?笑いを堪えてるんじゃないの?
別なのって何よ、別なのって。
後、俺って変顔してないのか?
「変顔じゃないよ。お前がしてるのはその……あの……なんだ……」
なに?なんで言い淀んでるの?
俺が加藤さんに顔を近づけて、よく聞けるようにしたら、なんだか顔が赤くなってた。
大丈夫?熱でもあるんじゃない?
「ち、ちがう!大丈夫!大丈夫だから、そんな近づくな!」
本当に?大丈夫ならいいんだけど……。
無理しなくていいからね。
具合悪かったら、部長には俺から言っておくから帰ってもいいよ?
「大丈夫。大丈夫…………なんでんな優しくすんだよ。勘違いしちゃうだろ」
ん?加藤さんが今、大丈夫の後に何か言ったような……何だろう?
一応、聞いておくか。体調のことかもしれないし。
「え?ごめん。今、なんて言ったの?」
「何でもねえよ‼︎」
ん〜、怒られてしまった。
絶対、なんか言ったと思ったのに。
ま、どうせ他愛もない普通のことだろうけど。
鈴木 敬太
至って普通。ザ平凡。顔面偏差値以外。
加藤さん
鈴木くんの被害者その1。顔にやられた後に、優しくされて落ちた。
誰とでも親しく話す活発な女子。中学時代、変顔対決無敗だったが、高校に入り隣の鈴木くんに勝負して無敗伝説は幕を閉じた。
顔面偏差値はクラスで2、3位を争う。