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エッセイ

日本人が頑張って頑張って長時間のサービス残業をすればするほど、日本経済は悪化する

作者: いかぽん

最初に断っておきますが、僕は経済学の専門家でも何でもありません。

経済学は、公務員試験の勉強とかで基礎だけをかじった程度です。

その程度の人間が言う、ちょっとした戯言だと思って読んでください。

 さて皆さま。

 皆さまは、僕らが仕事を頑張れば頑張るほど、日本の経済にとってプラスの影響があるはずだと思っていませんか?

 日本人の平均労働時間が週40時間であるよりも、週80時間である方が、僕らは裕福になるはずだと思っていませんか?


 この考えは、きっと誤りです。

 そのことを、以下に説明してみたいと思います。




 まず、経済が良くなるためには、消費が拡大する必要があります。

 テレビのニュースとかで、よく聞きますよね。

 もっと消費をしろ、みんながもっと消費をすれば、経済は良くなると。


 消費が増えると、本当に経済が良くなるんでしょうか?

 ここでは仮に、アニメDVD(ブルーレイ)の売り上げを例にとって考えてみます。


 話を単純化するために、そのアニメはすべて一つのアニメ制作会社内部でつくられるものとし、また、そのアニメのDVD(ブルーレイ)の売り上げのみで、その会社の社員の給与が賄われているものとします。

 さらに、そのアニメの制作には、20人の社員がその労働時間のすべてを使って携わり、3ヶ月の期間をかけて制作されたものとします。


 そのアニメのDVD(ブルーレイ)BOXが、単価1万円で販売され、これを1000人のファンが購入したとします。

 すると、このDVD(ブルーレイ)の売り上げは、1000万円になります。


 このDVDの売り上げのみで社員の給与が賄われると考えると、売り上げの1000万円を社員数の20人で割って、各社員の給与は、3ヶ月で50万円という額になります。

 同じような売り上げを繰り返した場合、彼らの年収は200万円です。


 さて、このDVD(ブルーレイ)を、2000人のファンが購入すると、彼らの年収は2倍の400万円に増えます。

 5000人のファンが購入すると、彼らの年収は1000万円です。


 そのDVD(ブルーレイ)を買う人が増えれば増えるほど、それを制作している人たちの給料が増えるわけです。

 買う人が増える=消費が増えると、給与が増えるわけです。


 さらに言えば、こうして給与が増えた人たちは、そのお金でより多くの消費をすることができます。

 これによって、ほかの人たちの給与も増え、結果として社会全体の経済が活性化するというわけです。


 かなり単純化しましたが、これが、消費が増えると経済が良くなるというメカニズムです。


 ただし、これはアニメDVD(ブルーレイ)の量産に、ほとんどコストがかからない前提の話です。

 アニメ本体さえできてしまえば、それを1000枚にコピーしようが、5000枚にコピーしようが、ほとんど手間も材料費もかからないという前提です。


 この状態を「十分に生産性が高い」と呼ぶらしいです。

 「十分に生産性が高い」場合には、消費が拡大すると、経済が良くなるわけです。


 逆に、「十分に生産性が高くない」職種の例をあげるなら、飲食業などのサービス業があげられます。

 10人のお客さんに対応するのに従業員が1人必要、20人のお客さんに対応するには従業員が2人必要……というように、売れれば売れるだけ従業員の数(=給料)や材料費などが等倍で必要になってしまうような職種の場合、たくさん売れても従業員の給料には繋がらなく(繋がりにくく)なります。

 こちらの場合は、給与が上がるためには、商品単価の値上げが必要になるでしょう。


 まあそれでも、それら両者を社会全体としてトータルで見ると、消費が拡大すれば経済が良くなるというのは、確かに真である、とは言えると思います。

 逆に言えば、消費が低迷すると、給料はどんどん減って、経済はどんどん悪くなるということです。


 というわけで、みんながバンバン買い物をするとみんなハッピーになるし、みんながモノを買い渋って貯金ばかりしているとみんなアンハッピーになるという塩梅です。




 さて、ここまで説明して、ようやく最初の話に戻ります。

 働けば働くほど、僕らは裕福になる──果たしてそうでしょうか?


 僕らがたくさん──長時間働くということは、それだけ僕らの余暇の時間が減るということです。


 僕らの余暇の時間が減るとどうなるか。

 僕らはその分、消費をしなくなるのではないでしょうか。


 本を読む時間がなければ、僕らは本を買わないでしょう。

 ゲームをする時間がなければ、僕らはゲームを買わなくなるでしょう。

 (なお、買って積んでおくのが趣味だという人は、この際見ないこととします(笑))


 僕らが頑張って頑張って、超長時間の労働をすればするほど、消費が低迷し、経済が悪化するのではないか──僕は素人ながらに、そんなことを考えています。




 なお、僕の友人などは大変に賢くて、「ガチャは時間を使わずに金だけを使える、理想的な消費先だ」などとたいそう高尚なジョークを飛ばしておられます。

 ダメだこいつ、早く何とかしないと──僕はそう思ったのであります。


感想レスは、あんまりしないかと思います。

あらかじめご了承くださいませ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 分かりやすく書いてくれている。 [気になる点] 今の段階ではとくになし。 [一言] 貴様には謝るべき人がいるはず。
[一言] んー、ちょっと自分は違う見方になりますが、長時間のサービス残業は増えたのは平成バブル崩壊からの20年は続いている長期デフレ不況が原因ではないかと思います。 あるブラック企業関係の本によると…
[一言] ちょっと関係ないかもしれませんが、いまだに長時間労働が美学だと思っていたり、労働環境を考えずに質ばかりを上げる人達がいます。 そういう世代の人達と、そうじゃない世代の人達で価値観の違いが生…
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