T.S.s ショート
20xx年 狸寝入保安法が設立。
狸寝入りは一日2分までと政府が定め、違反した者には罰金に処す、と政府がお触れをだした。
政府の目論見は、年金基金の資産増強を狙っての事であった。
最初は通勤中のサラリーマンから、違反者が続出した。
違反者は一日の所得の半額を税に納めると理不尽なものである。
次は学校、学生達の鳴け無しのアルバイト代が飛んでゆく。
次に主婦層、育児、パート、家事で追われ、うたた寝の歌の途中で刑罰の執行。
公務員はあまりでなかった。
…誠に寝ていたからである。
しかしメリットもあった、うたた寝をすると身体に内臓されたチップが警告を発信し目覚めさせるからだ。
この事由により、交通事故は減少したし、国民の生産稼働率も向上した。
狸寝入保安法が最大の力を発揮したのは、そう、法を作った政府に作用した。
質疑応答で『年金の財源はどこに行かれたのですか』との質問後、瞬く間に年金の財源が潤ったからである。
もしこの法案があったら僕は高額納税者になるだろう。