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S・G『フランツ・カフカの「村」』(シュール・ギャグ)

はてさてお待ちどうさま。

2枚目の2切れ目のトッピングは、シュールギャグでございます。

さあ召し上がれ!

1


「村」は漁村であり、漁は村の「象徴」だった。

漁とはつまり「カワウソ漁」である。

正確にソレは「ペンピン漁」。

ペンピンとは「カワウソ科」の水棲動物だ。


そしてソノペンピン漁によって村は「生計」を立てていた。

否、立てようとしていた、なぜならそれがその村の伝統だったから。


問題はひとえに、「ペンピン漁の複雑性」にある。



2


村はペンピンを5頭程飼っている。

それを海に泳がすのだ。

首に紐を括りつけ泳がせる、それを船で操ってペンピンには海中を泳ぐ小魚や魚を追い込んでもらう。

そして海の離れに待つ船引網がそれを待ち伏せるのだ…


大漁だ。

問題は「ペンピンの食欲」にある。

ペンピンを漁へと向かわせるためには、あらかじめ常々満腹にさせていなければならない。

漁で小魚や魚を追い込む際、小魚や魚を食ってしまいとても漁にはならないからである。


大漁だ、毎日大漁だ。

しかし、この量で実は、5頭のペンピンを養うことはできない。



3


その上問題があった。

「村」は小さな島である。

となりの「町」までは船で1時間ほどかかる孤島。

乾燥地域であるため水不足が深刻である。

よって飲み水の確保をしなければならず、結局となりの「町」から水を買うしかなかった。



4


水を買うためにはやはり「ペンピン漁」をしなければならないだろう。

そのためには「ペンピン」を空腹にさせられない。

先のとおりペンピン漁でペンピンが捕る魚の量ではペンピンを満腹にはできないのだ…


そこで、「村」は畑作を行い打開する。

否、打開しようとしていた、必死になる。



5


「ペンピン」は肉食でサラダ系の野菜には見向きもしない。

いろいろ試した結果、「大豆」にだけは反応を示す。

「茹で大豆」を練って甘辛く煮る。

すると肉みたいな味がする。


…まんまと騙されたみたいだ、我先にと奪い合っている様子。

よーし打開策は見つかった!

「日本の精進料理に感謝」だ。

実を言うとこれは日本という国のレシピなのだ。



6


ただ、更にひとつの問題があった。

もともとここは乾燥地帯だ。

大豆を育てるためには雨量だけでは賄えない…

よって「町」から畑作用の水を買うことにした。



7


なんとか大豆は育ちそうだ。

しかし問題がある。

生きるとは問題と隣り合わせなのだ。

畑作を行う為に「水」を買っていたから「村」が困窮に陥ったのである。

「村人」は考えた…見渡す限りの豊富な海水……



8


大きな窯で海水を焚いている。

すると大量の真水と塩を得ることができた。

これでなんとかなりそうだ…



9


しかしすぐに問題が沸き起こった。

山の木を急激に伐採し過ぎたため、薪が足りなくなったのだ。

そこで「塩」を売ることにした。

売上で隣町から「薪」をかうのである。

はじめは問題がある。

何事だって同じこと。

自給自足の概念しかない「村」にとって、物を売るという行為は大変難しいことらしい。



10


塩を抱えて「町」にでた数人の村人は、しかしうまい具合塩を買ってはもらえなかった。

そこで「村人のひとり」は考えた。

するとあっという間に売り切れてしまった…

「いい考えだ!」皆は思った…



11


つまり、「塩」に見向きもしない「町人たち」に痺れを切らし、塩を買ってもらうためにお金を払った。

すると売れた。

爆発的に売れた!

結局売上だけでは足りず、渡す金を捻出するために自分たちの昼飯代を寄せあつめてまかなった…



12


「塩を売り切った英雄たち」は村へと引き返した。

ご満悦で誇らしげに…

怒られた!

以外にも…全員、こっぴどく。

すぐさま話し合いとなり、商人を雇うこととなった。

「客」に金を渡すよりも「人を雇って」金を渡すほうがマシだ、ということだった。

それまで自給自足だった村にとって、ソレは初めての概念だったが。



13


初めは困難が付きまとった。

求人を募集するも…

誰も来ない。



14


ある日神が舞い降りた。

隣町から「謎のスカウトマン」が現れ、金を払えば「塩売り商人」を連れてくる、というのである。

半信半疑ではあったが追い込まれていたのでソレを承認し金を払う。

すると…



15


集まった。

地上の人々が一同「村」を目指すほど……



16


日に日に腕を磨く。

スカウトの腕があがるたび、給料の額は跳ね上がっていく。

集めに集めた商人たちに「塩」を売らせる。

その金で「スカウトマンの給料」を払った。

なんとか…払える額だった……



17


……

…そして…

「塩」を得るために…

大量の、大量の薪が必要だ。

足りない…町から「買うだけ」では足りなくなっている……



18


「村の山」に植林するほかはない…

「塩の売上」によって大量の苗を買った……

薪として使えるようになるには一番早くて50年……



19


「村」は50年耐えた…

「はじめての伐採」を夢見て…

様々な困難と…その…

…打開策の満干きのリズムを…

「村」は…「村人」は…繰り返されながら…

その「繰り返し」は…地上にありながらも…なぜだか「地獄」を想像させるような…それが世界という繰り返しの産物なのであろう…このような世界…「村」は「村人」は…

…生き延びた……



20


49年と364日…あすは伐採の朝……


「村人」の期待を嘲笑うかのように突如!

未曾有のハリケーン!


立派に…育ちに育った「森林」を…

倉庫にストックされた「塩」を…塩釜を…

「商人を」…「スカウトマン」を…

「畑」を…「大豆」を…

その他の「歴史」を…「繰り返し」を…



そしてとうとう…


「村人」を……



21


村人は全員死んだ。

そしてなぜだか「村」で唯一「ペンピン」だけは無傷であった。

無残に破壊したちまち通過した「ハリケーン」…

遺された…何もない「村」…


……。

断末魔の緩やかな情景…

「村」はなぜだか穏やかだった…

ソレはなにかしら…開放を意図する「安堵」だった…といえるだろう……



22


ハリケーンの通過によって首の紐の切られた「ペンピン」は…

ながいながい「呪縛のねんげつ」から解放されるように…

やがて広い海へと消えてゆくのであった……

結局何がしたかったんでしょうね~。

これも「人生」です…

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