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B・S『名探偵混乱』(ベタ・シリアスギャグ)

はい、良く書けました。今月のノルマ本日達成です。

「この中に犯人がいます!」

並んでいるのは赤ずきんちゃんの人形、こけし、そしてペンギンの目覚まし時計だった。

「犯人はあなたです!」

指を刺されたのは・・・

「あなたはこの凶器をつかって犯人を殺害しましたね。そして他のふたりがやって来た。それから名探偵である私がやって来たのです」

「・・・」

犯人と名指されたソイツは顔を青くしている。

「では他のふたりが何故、疑われたのでしょう?」

名指されなかった他のふたりは緊張の面持ちを見せている。

「ええ、犯人の功名なトリックに誘導されて凶器を手にしてしまったからです、そうですね?」

ふたりは顔を見合わせた、それからふたりして名探偵を、さらに名指された方へと顔を向けた。

「しかし凶器を手にしただけでは自分が犯人ではないことを逆に認識させることでしょう。しかし・・・やはり犯人は更なる罠を仕掛けたという訳です」

緊張が部屋に走っていた。

「その罠とはつまり・・・催眠術による暗示です」

部屋の証明が突然明るくなった!

一同息を呑む。

「死体をご覧下さい」

転がっている、惨殺されたマリオネット・・・

「この死体は鈍器で殴られています、しかし、解剖の結果毒殺であるとされました」

「毒殺?あれだけ血が流れているではないか!」

赤ずきんちゃんが必死で問い詰める。

「いえ、死因はやはり毒殺です、そしてその毒はレモン水です」

「それじゃ体に良いだけじゃないか!」

怒りを抑えきれずにとうとうペンギンの目覚まし時計は吠えてしまった!

「ええ。そう興奮するのもおかしくはないでしょう。何故なら鑑識などまだ到着してはいないですからね。しかし、私は未来を見据える能力を持っています、千里眼というものですよ」

「アンタ?ひょっとして推理ではなくその千里眼とやらで覗いた未来をただ自分の手柄にしているだけじゃないだろうな!」

こけしが嫌味な態度で名探偵に迫る。

「やめてくださいよ、私はいずれ警察に譲るんですよ、それよりね、現在の状況から謎を解いて犯人を暴くことにこそ快楽を得ている・・・探偵なんてそんな人種です」

「じゃあ未来の鑑識で判明する毒殺を早出しするなんてフェアじゃないじゃないか?」

「そうだそうだ、ますます怪しいぞ、やっぱりアンタ単に未来の結末を知っていて芝居をしてるだけじゃないのか!」

「まあそう激昂なさらずに」

「この状況で冷静になんかいられるかよ」

「僕たちは疑われている立場です。仮に毒殺ならば自殺だって線も考えられるじゃないか」

「しかし・・・凶器もあることですし」

「凶器があるくせに毒殺なんて言い出すから混乱してるんじゃないか、どうなんだ、毒殺とどう関係するんだ」

「だからその推理を今からお伝えするのです」

「早くしてくれよ、コッチはアンタに指差されてしまったんだよ、他のふたりとは訳が違う」

「いいや、俺たちだって立場は同じさ」

「同じなもんか!コッチはハラハラしてるんだ」

「やっぱ名探偵さん、犯人はコイツで間違いないですね、だってハラハラしてるんだもん」

「嫌、そんなことを言うアンタが怪しくなって来たぞ。探偵さんの推理の盲点をついてそれに便乗してるんじゃないのか?」

「お前こそ怪しいぞ!」

「まあまあ落ち着いて」

「なに冷静ぶってんだよ、一番不利なのはアンタって事実は動かないからな」

「じゃあ自分たちが怪しまれるなんて自信なさげなこといいなさんなよ、混乱してるのはアンタらのせいだ」

「落ち着いて」

「落ち着けるか!凶器を握ってたのはこいつだぞ」

「そうだそうだ」

「いやいや僕はやってない」

「そりゃみんなそういうに決まってるだろ」

「落ち着いてったら」

「コイツが一番怪しいぞ」

「まさかの探偵が犯人?」

「そんなわけないでしょ、そもそも私が最後にこの部屋に入ったんだし」

「探偵が犯人だっていうまさかだよ」

「だから最後に・・・」

「最後も何も、この部屋は鍵が空いていたんだし、別にアンタが殺人を終えたあと何食わぬ顔で僕らの入った部屋にあとから再び入ることだって簡単だよな?」

「そうだ、アンタ偉そうに。そもそもアンタが一番怪しいよ」

「どういう理屈ですか?」

「俺たちゃ千里眼があるんだ、犯人は探偵さん、アンタだって未来の情景が物語っているぜ」

「詭弁だ!」

「ウルサイ!俺たちには俺たち固有の千里眼がある」

「もしあるにしてもその精度は低いです、間違っています、私には犯人が見えますから、ほら、やっぱりあなたですよ」

「やっぱ見たまんまいってるだけじゃん、コイツ信用ならねーぞ、推理なんて嘘だよ、見栄張ってんだって」

「見栄じゃない、推理が正しいって未来が言ってるだけで」

「推理したっていう証拠はあるのかよ」

「あります、千里眼で見えます」

「千里眼で見えてんのは犯人の顔なんじゃないの?」

「違います、推理の証明だけです」

「嘘つけ!自信がない証拠だよ、だって、この人が本当に犯人を推理できるのならば未来じゃなくて現在の物証だけを使うはずだよ」

「いや、私の推理は未来を交えて完成されるものですから」

「そんなもん誰だって答えは言えるだろ!別にいいよ、アンタが犯人を当てたってのはもう信用してやるよ、でもな、それはつまりアンタの未来を見据える力のお陰であって推理の力ではない」

「失礼な・・・」

「図星なんだろ?」

「違います、私は犯人を言い当てました、そんな未来がまじまじと見えますから」

「だから犯人は未来のお陰でしかないんだって」

「しつこいですね」

「ウルサイ、じゃあ今すぐ証明しろよ!」

「だから・・・そうしようとしてあなたたちがごちゃごちゃ抜かしているだけえしょうが!邪魔で仕方がない」

「そんなに犯人を当てたきゃ勝手にしろ!俺たちは全員やってないぞ」

「いやいや、アンタは仮にも指差されたんだからやってるでしょ?」

「ウルサイ、やってないったら」

「今度は言い逃れか?」

「どうしてですか!僕は本当にやってないったら」

「犯人っぺ~・・・」

「やっぱお前犯人だわ」

「ハメやがって」

「ハメてねえし」

「まあまあ、仲間割れはよしなさい」

「誰が仲間だよ。犯人は俺たちの敵だよ」

「そう言わずに、仲良くやりましょうよ」

「仲良しクラブじゃねえよ!大体犯人と仲良くする殺人現場ってなに?」

「そうだよ!てか俺らにとっちゃあんたが一番の敵だし」

「そりゃ犯人にとってみれば優れた名探偵は敵でしかないでしょうね?」

「いやアンタはただの呪い師だって。少なくとも名探偵ではない」

「占いとか失礼すぎるだろ!」

「もう仲間割れはやめて!!」

一瞬。

部屋が凍りついた。殺されていたはずのマリオネットが突然喋りだしたから。ばかりかいがみ合うみなの仲裁に入ろうとしたから。

「まあ落ち着いて。今のは別に被害者が実は生きていた、なんてことではありません。単に、毒による肉体反応に過ぎません」

「んなことあるか!なんで毒を盛られた死体がそのせいで喋るなんて事が起きるかよ」

「喋ります、毒とはそういうもんです」

「聞いたことねえ・・・」

「本当ですって、ていうか常識です」

「嘘嘘。死体は喋らねえから死体なんだよ、それが喋ってでもしろ!それはもう口がある死人だよ」

「いや口は付いてるぞ」

「そんな形而下の問題を言ってるんじゃないし。それは比喩です」

「この状況がむしろ比喩みたいなものだよ」

「そうそう、殺人は比喩だよ、だから何にも起こっちゃいないって、死んでないんだよ、そもそも」

「いいや死にました、この目で見たもんね」

「だから推理じゃなくて千里眼ででしょ?」

「いや、推理です・・・」

膠着状態が続いていった。

「推理ったら推理なの!」

「未来を見てる時点で推理ではねえ!」

「未来を加味した推理だから」

「加味しちゃった時点でもうそれは推理の範疇超えてんじゃんよ」

「超えてません!」

「もう理屈抜きかよ」

「理屈は抜いてませんって」

「第一未来がどうたらって時点でそれこそ屁理屈なの!」

「もういいでしょ。犯人はあなたなの!」

「遂に面倒になちゃったよ」

「なってないし・・・」

「嘘ばっかり。未来が見えててそれで何を推理するわけ?もう答え見つかってんじゃん。それって学習ドリルを答えを見て写している状況にそっくりだよ」

「写してません」

「そりゃね・・・口では何とでも言えるさ」

「どうであれ私は名探偵です。犯人を当てるんですからね?」

「何処がだよ。」

「殺すぞ!皆殺しにしちゃえば全員が犯人だったってオチをつかられるからね・・・あ~。楽しみになってきたよ」

「おい人殺し!テメエ最低だな。」

「人を殺して何が悪い?」

「悪いに決まってんだろ!」

「殺すという言い方がきにさわったんだよね」

「もう全員死ねばいいじゃないですかそんなら」

「だからどういう屁理屈だよ」

「例えどういった状況があっても、アンタが嘘をついていないとは言えないんです。」

「もう意味がわからない」

「では、殺人に意味などありますか?」

「ズルいぞ、逃げる気か!」

「もう正直逃げたくなってるし犯人探しなんてどうでもいいよ」

「探偵の言う言葉か!」

「探偵だって自由の発言をさせてもらってもいいじゃないか」

「でも今あんたが言った言葉は自由の範疇を軽々超えている」

「もう訳わからん、何が訳わからんって一番はもう眠たくて何書いてるかわかんないってことだよ」

「そりゃあ探偵はもう関係ないよね?」

「あるよ!」

「ないよ!」

「もう眠くて眠くて・・・」

「もう喧嘩は止めて!」

「どうしてお前なんかに仲裁されなきゃなんねえのか!嫌なこった」

「でも本当に眠いから開放してやってくれよ」

「もういいよ、じゃあ寝ろよ」

「探偵なんか入ってこなけりゃよかったのに」

「後ろむきなこと言うな」

「もういいよ。真犯人は名探偵で決まり」

「やめろったら・・・見える、ますます見える・・・」

「つまり未来を見ただけだよね?もう観念しなよ?」

「いよいよ追い込まれたね、名探偵さん!」

「はあ~・・・もういいです、認めます、私は未来を見て犯人をさも推理したように言い張って、見栄を張ろうと必死になってしまっただけでした・・・」

「いぇ~い・・・勝った勝った~」

「ヒトの生き死にで勝ち負けを競うとは・・・なんとも不謹慎な」

「間にうけてんじゃねえ!この場をうまく収める為に私が犠牲になっただけだというのに」

「嘘嘘!」

「この大嘘つきが!」

「犯人だってすり替えてるんじゃないだろうね?」

「いやいやそりゃないでしょいくらなんでも」

「いや、こいつならあるな!」

「いやいや本当だし」

「信用ならね~~」

「信用しろったら!だって私は探偵ですよ」

「探偵だからって信用できるわけばっかじゃねえっての!」

「謝れ!」

「何が?」

「だから嘘ついててごめんなさいは?」

「もういいよ、謝ればいいんでしょ、だったら謝るよ、私は未来が見えたという理由だけで名探偵を演じようとしただけで、基本推理力なんてゼロに等しいです」

「ようやく素直に謝ってくれたよね?」

「どんだけ強情なんだか」

「でももう信じたでしょ」

一同頷く。

「ではもう一度指を差しましょう。犯人は、あなたです!」

指が差された方向は、殺されたはずのマリオネットのほうであった・・・

ではまた来月。_Clozed

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