休息
遂にPV数が30万を突破しました!!
これらは皆様のおかげです、これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします<(_ _)>
それでは本編、どうぞ!!
さて、闘技大会予選を終えた彰が二人の元に戻ると、そこで彰を出迎えたのは、
「……やっぱり、アキラはすごい…いろいろと、普通じゃない……」
「まぁ何というか、いつもボク達の予想の斜め上を行くよね、アキラはさ……」
と、そんなことを言いながら、少し嬉しそうな顔をしているノエルと呆れた感じの顔をしているリンだった。
まったく、試合を終えて疲れて帰って来た仲間にするにする仕打ちじゃないだろうと思う彰。
もっとも、正直そこまでの強敵がいたわけでもなかったので使用した術の量も少なく、ほとんど疲れてはいないのだが、それはそれである。
「おいおい、いくらなんでもその扱いはあんまりじゃないか? ノエルは一言余計だし、リンに関しては一切褒め言葉に聞えないんだが……」
「いや、褒めてるんだよ? これでもさ……ねぇ、ノエルちゃん?」
「……うん、これ以上ない褒め言葉……これで明日も元気いっぱい……?」
苦笑いなリンと無表情ながら自分の発言と共に首をかしげるノエル。
「おい、ノエル。 気のせいか最後に疑問符がついてなかったか、今の言い方?
というか、さっきの言葉で元気いっぱいになるやつはそれ、もう軽く変態だと思うんだが……」
「……大丈夫、アキラは変態じゃなくて、変人だから……」
「いやいや、それなにも大丈夫じゃないだろ!? 言っとくが、俺は変人じゃなくて極めて一般的な人間だかんな!?
―――はいそこっ! 『えっ!?』って感じのまるで今衝撃の事実を知りましたみたいな顔をするんじゃない!!」
キレのある彰のツッコミに対し、呆れ交じりの驚きを隠さずリンは言う。
「いや、だって、まさかアキラってば自覚無かったの? エルフと獣人と一緒にパーティー組んでるってだけでも正直もうかなりの変わり者だよ?」
「な、なんだ…と……? そんな馬鹿なことが……」
「……まぎれもない事実、こればかりはフォローできない……さすがはアキラ、いろんな意味で……」
「あの……ノエルさん、俺の記憶にはそもそもフォローされた記憶が一回もないんだが……」
涙目で小さくそう呟いた彰の訴えはどこ吹く風、誰にも聞いてもらえずにに風の中に消えて行った。
そして、それと時を同じくして、フィールドの上の司会が闘技大会初日の予選のまとめに入る。
「ではでは皆様、お疲れさまでした。これにて闘技大会の本日の日程は終了となります。そして、明日からの日程としては、明日、決勝トーナメントを行い、その翌日にそこでの優勝者とチャンピオンによる戦いを行う予定となっております。
決勝トーナメントへの進出を決めた16人の皆様は優勝目指して頑張ってくださいね。
因みにトーナメント表はここの掲示板に明日の朝には掲示しておきます。それではまた明日~」
そう言って手を振って退場する司会、それをきっかけに会場に居た者達はぽつぽつと立ち上がり始め、やがて皆立ち上がって、今日の試合の話などに花を咲かせながら帰宅を開始した。
「さて、それじゃ俺達も帰りますか」
「……うん、今日は疲れた……」
「そうだね、明日もあるんだし、今日は早く帰って明日に備えた方がいいかもね」
こうして、彰達もこの日は宿へと帰り、翌日の決勝トーナメントに備えて、じっくりと英気を養うのだった。
―――――が、しかし、この日も宿に空き部屋ができず、二人と同じ部屋で寝ることになった結果、彰だけはゆっくり休むことができなかったりするのだが、それは置いておこうと思う……。
◆◆◆◆◆◆◆◆
―――――そして、翌日。
ゆっくり寝られて元気いっぱいのリンとノエル……それと寝不足の男一人は闘技場へとやって来ていた。
「何でアキラはまた寝不足なの? まさか昨日ボクがああ言ったのに無視して夜更かしでもしてた?」
「……アキラってば、いけない子……」
「……うん、もうなんかいろいろ諦めたわ、これ何言っても暖簾に腕押しな感じがするし」
「へっ? 暖簾に腕押し……?」
「ああいやいや、こっちの話だから気にしなくていいよ。
それより早くトーナメント表見に行こうぜ、もう出てるんだろ?」
「そうだね、たぶん今頃はもう発表になっているはずだよ」
「……気になる、けど、アキラと一回戦戦うとかは、すごく困る……」
「大丈夫だよノエルちゃん、それボクもだから、身内だからとかじゃなく、純粋に実力的に……」
どこか遠い目をする二人、まぁ正直彰としても二人はこの一週間で充分強くなっているので、一回戦からとなるとかなり後に響きそうなので遠慮したいところだったりする。
まぁそんな話もしつつ彰達はトーナメント表が掲示されているであろう掲示板へと向う。
案の定、掲示板にはすでにトーナメント表が掲示され、組み合わせがすでに発表になっているらしく、掲示板の前には結構な人だかりが出来ていた。
「凄い人だな……こりゃ組み合わせ見るのも一苦労だな……」
「あははは……何と言ってもこの組み合わせ表はすでに賭けををしている人や、これから賭けに参加する人にとっては重要な情報だからね、こっちで一攫千金狙ってる人とかもいるからこうなるのも当然だよ」
なんかまるで競馬場みたいだなとか内心思う彰。まぁやってることは馬が人になって、レースが戦いになっただけなのでそれも無理はないのかもしれない。
「……それでアキラ、どうするの……?」
「どうするって?」
「……この人だかりかき分けてでも、トーナメント表見に行く、の……?」
「確かにこの人だかりかき分けるのはめんどいな……よし、こうしよう!」
「アキラ、何するの? まさかこの人達を吹っ飛ばすとかじゃないよね?」
「リン、お前は俺を何だと思ってるんだよ……。
そんな物騒なことじゃなくて―――こうするんだよ、特性付与―――“視覚強化”」
そう言って彰は三人に早速付与術をかけた。
すると、三人の視覚が強化され、さっきまではぼんやりとしか見えず、そこに書いてある文字など見えそうもなかったトーナメント表が小さな文字まではっきりと見えるようになる。
「ふむふむ、おっ、俺は昨日と違って今度は第一試合か、それと……どうやら俺と二人が戦うことになるのはノエルとなら最低でも準決勝、リンなら決勝まで行かないと当たらないっぽいな。
よかったよかった。ところで二人とも……突然黙ってどうしたの?」
「いや、大丈夫、少しアキラの付与術がどんなものかを思い出してただけだから……」
「……アキラ、因みにこの術のコストってどのくら、い……?」
「え、コスト? このくらいの術ならコストなんてあってないようなもんだぞ?」
きょとんとした顔でそう告げた彰の返答に、リンとノエルはいっそう呆れた顔をしながらも、どうやら諦めたらしく、二人もトーナメント表を見始めた。
「これ見るとボク、順当に勝ち上がって行くとアキラよりも先にイーヴィディルってやつと戦うことになるんだね。ま、負ける気は無いけど……」
「うんうん、まぁ今のリンの魔法なら心配ないんじゃないか? 肉弾戦はともかくとしてもさ」
「ありがと、アキラ。ボク頑張るよ!!」
そう言って笑顔でガッツポーズをするリン、その姿は結構、というかかなり可愛く、彰は少しドキッとしていたりする。
「……私は、順当にいけば、もしかするとあの獣人の人に当たる、かも……同じ獣人の人と戦うの、初めて……ちょっと楽しみ……」
「獣人同士の戦いか、確かにすごいことになりそうだな。
でもノエル、たぶんあの獣人の人、ものすごく強いと思うから頑張れよ?」
「……うん、頑張る」
少し真剣な顔で頷くノエル。だが、
(ふむ、でもまだちょっと今のノエルじゃあいつの相手は厳しいかもな……まぁいい経験にはなるかな?)
と、彰は内心でそう評価していたりする。
そして、トーナメント表を確認した彰達は群がる人々を横目に、その場を後にした。
◆◆◆◆◆◆◆◆
「さてさて、会場の皆様!! 昨日はよく眠れましたか? えっ、今日が楽しみ過ぎて眠れなかった? へっバッカでぇ~いっ! 肝心の試合中に寝ないように気をつけて下さいね~」
そんな無駄に高いテンションで進行していく司会。正直その異常なテンションの高さに観客たちも若干引いているのだが、司会はそんなことは意にも解さずに進めていく。
「さて、それでは早速決勝トーナメント一回戦に出場する両者に入場していただきましょう!!」
そう言いながら片側の入り口を指さす司会。
「まずは一人目、前回大会の決勝トーナメント出場者で、前回は惜しくも決勝においてイーヴィディルに敗北したもの、その実力から優勝候補としての期待も高いこの男、エイディアードだ!!」
そして、豪華な鎧をまとった男がフィールドに現れると同時に、会場中から大きな歓声が上がった。
『今年こそは期待してるぞ!!』
『大金かけたんだ、勝たなきゃ困るぞ、このヤロー!!』
そんな声が聞こえる中、司会は頃合いを見て、逆側の入り口に指をさす。
「続いて、予選において大胆発言をし、さらにその言葉通り他者を圧倒した前代未聞の付与術魔師、アキラだ!!」
司会のその声と同時に、彰はフィールドに入場した。しかし、こちらはどちらかというと半分応援、半分ヤジという感じだ。
『期待してるぞ、ビックマウス!!』
『増長したガキが、さっさとやられちまえ!!』
そんな歓声が観客席から聞こえてくる。
ヤジが飛んでくるのは、いくら予選でそれ相応の実力を見せたとはいえ彰の実力を理解できてない者や、彼の生意気な発言にむかついている者がいるためである。
だが、当の彰はと言えば……。
(いやいや、前代未聞の付与術魔師ってなんだよ……なんかまるで俺が問題児みたいじゃん、いやまて、前代未聞の付与魔術師……ちょっとかっこよくね?)
と、周りの観客など意にも解さずそんなことを考えて、少しテンションを上げていた。
―――――因みに、自分が十分問題児であるということには気づいていない。




