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リン先生の魔法講座

お待たせいたしました、更新です。


若干説明回臭いですね、前回もそうでしたが……トホホ……



 東の森はあの大量発生の事件以来、少し人が少なくなっている。よって、魔法の授業をするには最適の場所であった。


 少しだけ奥に行き、人も魔物もあまりいない、場所を見つけると、早速授業を開始するよう彰とノエルはリンに促した。



「さて、じゃあリン先生、始めてくれ」

「……よろしく…」



(せ、先生……なんかいい響きかも)



「ふ、いいでしょう! 各自ちゃんとボクの言うことを聞くように!! それでは始めますよ」



 先生という響きが気に入って、上機嫌になったリンはノリノリで説明を始めた。



(単純だな……これは扱いやすくて助かるな)

(……リン…残念…頭が…)



 とか彰達が内心思っているのは内緒である。



「え~では、まず二人には自分に流れている魔力を自覚してもらいます! 二人とも、ボクの手を握って」



 リンにそう言われ、彰はリンの右手を、ノエルは左手を握った。


 彰がリンの手を握ったとき、何故かリンの体がビクッとなった。



「ん? リン先生、どうかしたか?」

「い、いや……な、何でもないよ!!」

「そっか、じゃあ続けてくれ」

「わ、わかった……うぅ」

「……アキラ…天然…」



 リンは意識を切り替えるように軽く頭を振ると彰達に向き直る。



「そ、それじゃあこれから二人にボクの魔力を流し込むから、二人は自分の体に意識を集中させてね、いくよ?」

「おう、いつでも来やがれ!」

「……準備完了…」



 リンは彰とノエルの返答を確認すると、自身の魔力に意識を集中させ、体を巡るそれを手を伝わせてゆっくりと二人に流し込んでいく。



「どう? 何かがキミ達の体を巡ってるのわかる?」

「ああ~、なんとなく、なんか変な感じだな……」

「……あったかい…」

「それじゃあ、これからボクが流すのをやめるからそこに意識を集中させ続けてね? はい!! どう?」

「あ~うん、ギリギリわかるかな? リンの魔力がなくなった瞬間に一気にわかりにくくなったが……」

「……私は…大丈夫…はっきり…わかる」

「まあ、それはもともと持ってる魔力量の差だね、こればっかりは才能だからね、彰ドンマイ」

「マジか……世知辛いぜ……」



 自身の魔力の低さに落ち込む彰を軽くスルーしてリンは次の作業に入った。




「じゃあ次に、二人の系統を調べるから、この水晶玉の上に一人ずつ手を置いて軽く魔力を流してみて」



 そう言いながらリンは持ってきていた鞄から占い師が使いそうな感じの水晶玉を取り出した。


「……リン…これ…なに?」

「ああ、これはね、その人がどの系統の魔法を使えるのかを調べる水晶だよ。

 ここに手を置いて魔力を流した時に、水晶玉が赤く光れば炎、青なら水、茶なら土、黄色なら雷、緑なら風、紫なら付与魔法、無色なら無系統の才能があるってこと。

 因みに二系統持ちのボクがやると半分以上赤だけど少し青が混ざってる感じになるんだ」

「お前、こんなのいつの間にこんなものを……」

「雑貨屋で見つけた時に買っておいたんだよ、いつか使うかなと思って」

「へぇ~用意良いのな」

「えっへん! まあ先生だからね! それじゃあ早速やってみようか、じゃあまずはアキラからやってみて?」

「やってみてって言ったってどうすればいいんだ?」

「う~んそうだな~水晶の上に手置乗せて、自分の魔力が水晶に流れこむイメージを強く持ってみて」

「魔力が流れるイメージか……わかった、やってみる」



 彰は水晶の上に手を乗せると目を閉じて、早速リンに言われたことを実践してみる。



(さっき自覚した魔力が自分の手を通して水晶に流れ込むイメージ……こうか?)



 少しすると、ようやく彰の魔力が通り、水晶がまばゆい輝きを放った。



「おお~! ほんとに光った! すげ~」



 と、色そっちのけで水晶玉が本当に光ったことに感動する彰、一方リンは水晶が放つ色に驚いていた。


 何故なら、自分の想像していた色と違ったからである。



「驚いた……アキラは紫に光ると思ってたのにまさか無色だなんて……キミ、エンチャンターじゃないの?」

「だから最初から言ってるだろ? 俺のは普通のとは少し違うんだって、まあ、ここじゃ何だし、また今度話すよ。それより、無色ってことは俺は珍しい無系統の魔法が使えるかもしれないってことなのか?」

「え、まあ、そうなるかな?」

「お~! それでさ! 無系統ってどんな魔法が使えるようになるんだ?」

「そうだね……あんまり詳しくは知らないけど主に身体能力を強化したりできるって聞いてるよ?」

「身体強化……か……」



(もしかしてジャックさんって無系統の使い手だったのかな……?)



「ん? アキラ、どうかしたの?」

「いや、なんでもない。さて、じゃあ次はノエルだな!」

「……ん…私の番…」



ノエルはそう言うと水晶玉の上に手を置いて、目を瞑り、集中し始めた。


すると、魔力を水晶玉に流すのに苦労した彰とは違い、ノエルはあっさりと魔力を流し、水晶玉を光らせることに成功してしまった。



「マジか……俺それなりに苦労したのに……」


 と、ボソッとつぶやく彰。


 しかし、そんな彰のつぶやきは誰にも聞かれなかった。 


 リンとノエルは自分の苦労した作業を目の前であっさりと行われて落ち込む彰をよそに、話を続ける。


「緑か……どうやらノエルちゃんは風系統の才能があるみたいだね」

「……風…悪くない…」



 自分の系統が気に入ったのか、満足そうな顔をするノエル。


 そこでやっと復活した彰も会話に参加してきた。



「そっかノエルは風の系統だったのか、それでリン先生、系統はわかったが次はどうするんだ?」

「え、あ~うん、それなんだけどね、ここで重大発表があります!」

「重大発表ってなんだ?」

「今この瞬間、ボクの教えらえることはなくなりました! ゴメンね!」

「そっかそっか~なくなったのか~…………え?」

「いや、あのね? 二人の系統って無と風でしょ? それでね、ノリで引き受けちゃったけど実はボクが教えられるのって自分の使える炎と水だけでさ、ぶっちゃけ他の系統はどんな魔法が存在するかくらいしかわからないといいますか……ア、アハハハはは……」



 リンの発表に唖然とする彰とノエル。しかし、それも仕方がない。


 彰としては今日一日丸々使ってじっくりと魔法を教えてもらうつもりだった。そのため、依頼などを受けていないのである。


 そんな時に数時間と経たずに魔法について教えることはなくなったといわれてしまったのだ。困るのも当然だった。


「リン、お前とのパーティー、悪くなかったぜ……グス」

「……リン…今までお疲れ様…元気でね…グス」

「あれ、なんでボクがパーティー抜けるみたいになってるの!? 抜けないよ? ボクまだこのパーティー抜けないよ!?」

「俺、お前のこと、忘れないぜ……………たぶん」

「だから抜けないよ!? っていうかたぶんってなに、たぶんって!?」

「……あなた…だれ…?」

「もう忘れられてる!? そんな……ひどいよ、二人とも~」



 そう言うとリンはその場で泣き始めてしまった。これには流石にやり過ぎたと反省する彰。



「あ~あ~悪かったって、本気じゃないから安心しろって」



 そう言いながらリンの頭を撫でてやる彰。



「……グスッグスッ……本当?」

「ああ本当だ、本当! な、そうだよな、ノエル!」

「……私としては…ライバル減って…嬉しい…」

「やっぱり抜けさせられるんだぁ~! うえぇ~ん……」

「あれ、ノエルさん? なんで追い打ちかけてるの!?」

「……そっちのが面白そうだった…後悔はしていない…」



 グッと親指を立てて心なしか楽しそうな顔でサムズアップするノエル。



(な!? ノエルがドSに覚醒しつつある……だと……このままではいつか俺にも被害が……)


「ノエル、少しは気を使ってあげるんだ! 人には優しくするもんだぞ!」

「……そう…? …アキラがそう言うなら…次は頑張る…」

「よしよし、流石ノエルだな。きっといいことあるぞ」

(主に俺の心の平穏的に……)


 そう思い、少し安心する彰。



「……うん…頑張って―――――優しくイジメる」

「治るどころか、なんか新しいイジメ方が開発されただと!?」

「……大丈夫…きっとすぐに楽しくなってくる…」

「しかもなんか逆に怖ぇ!? 一体何をする気なんだ……」

「……企業秘密…」

「誰か! 誰かこの子に道徳を教えてあげてくれぇぇぇ!!」




 結局、散々騒いだ挙句、彰は大泣きするリンを必死になだめることになり、それから数十分間かけてなんとか彼女を立ち直らせたのはいいものの、やることがなくなってしまった。



「はぁ、で、結局どうすんだよ。今日一日魔法の練習するつもりだったから依頼もなんも受けてないぞ?」

「え~と、どうしよっか……?」

「……リン…無責任」

「うう~、返す言葉がないよ……」

「……リン…やっぱり……」

「まってッ! お願いだから追放だけは勘弁して下さいっ おねがいします!!」



(このままじゃらちが明かないな……仕方がない……これは念のために買っておいたあれの使いどころかな? というか、このままだとまたリンが泣き出しそうだし……)




 彰はそう考えると、二人の仲裁―――というよりもどこか楽しげにリンを追い詰めているノエルを止めに入る。



「はいはい、ノエル、そこまでにしといてやれ、このままだとリンがまた泣き出しちまう」

「……仕方がない…アキラがそう言うなら…でもリン…次は無い……」

「うう~アキラぁ~!! ノエルちゃんが……ノエルちゃんが怖いよぉぉぉ~!」

「………………」



 まったく、リンの初めて会った頃の高圧的な態度はどこに消えてしまったのだろうか?


 確かあの頃はまだ対等に渡り合えていたはずだ。


 それがいつの間にかパワーバランスが遥かにノエルよりに傾くばかりか、だんだんリンのキャラが崩壊してきている。


 『人ってどうなるかわからないものなんだな』と、妙な達観をする彰。



「……それで…アキラ、結局どうする……?」

「お、おう、それなんだが俺から一つ提案がある。こいつを使って二人の近接戦闘の訓練をしよう!」



 彰はそう言うと、懐から二本の木製の短剣を取り出した。


 すると突然冷静になったリンが彰に質問をしてくる。



「ねぇアキラ、なんで突然、近接戦闘の訓練なの? それからその短剣は?」

「ああ、いやな? リンもノエルも戦闘方法は遠距離型だろ? だから、懐に入られた時の対策を打っておいた方がいいなと思ってたんだよ。

 というか、ぶっちゃけ俺達の息が合わないのもリンの戦い方が魔法に頼り過ぎてるのが原因臭いし……。

 それで、時間あるしちょうどいいからこの念のために買っておいた訓練用の短剣でやってみようかとな」

「う~ん、まぁ確かに、理には適ってるかな? なんか素直に頷けないけど……」

「……アキラの言うことなら…なんでも(・・・・)やる……」



(今さらっと一人不穏当な発言をしていた気がするが……まぁいいか……)



「よし、それじゃあ始めよう、二人はこの木製の短剣で俺に攻撃をあてに来てくれ」

「ボク達はそれでいいけど、アキラは?」

「……真剣…?」

「そんなわけないだろ? 俺は基本的に避けるだけだ。でも偶に軽い反撃を入れるかもしれないから、警戒はしておいてくれ」

「わかった! 全力で行くから覚悟してね!」

「……わかった…やってみる」

「よし、早速始めようか」



 こうして、リンとノエルが彰に一発当てるという修業が開始された結果、あの戦闘につながるのであった。




いかがでしたでしょうか? 感想お待ちしております。

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