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試験開始

本日分です。どうぞ

「おおー!これはすごいな!」

「……大きい…」

「確かにこれは凄いね…」



 3人は西の森の奥にある洞窟の広さと大きさに圧倒されていた。


 その大きさは彰が盗賊団戦ったあの洞窟とは比べ物にならならず、その広さは彰達を含めた他の受験者全員が入っているのに余裕があるほどで、高さもかなり高かった。


 よって必然的に彰達以外の受験者たちも例にもれず驚いていた。



「ほらいつまでも呆けているんじゃない、さっさと探索を開始しろ」



 監督官の一人のその言葉で受験者達は我に返ると、それぞれ探索を始めた。


 それぞれのパーティーに監督官が一人つき、少し後ろからそれらの行動を見ている。


 当然彰達のパーティーにもベテラン臭の漂うおじさんの監督官が後ろから少し離れてついてきていた。



「うわー見られてるとかちょっと緊張するな」

「……うまくできるか…ちょっと心配…」

「なぁリンもそう思わないか?」



 彰がそう問いかけても彼女は反応せず、ただ黙々と彰達の少し前を歩いていく。


 どうやら彰達は本格的に役立たず判定されてしまったらしい。



「ありゃりゃ、これじゃあ先が思いやられるな…」



 そんな不安を感じながらも洞窟を進んで行く彰達、しかしその行く手を何かが阻んだ。


 魔物である。初めて見る魔物に少し興奮した彰はすぐさま倒しに飛びかかろうとするが、それはリンによって遮られた。



「ガーゴイルごとき、ボクの魔法で燃やし尽くしてあげるよ」



 そう彰達を遮って自信満々に叫んだリンは即座に詠唱を開始する。



「我、求むるは灼熱の炎―――火球ファイアボール!!」



 リンが詠唱を終えた直後、魔物―――ガーゴイルは炎に包まれていた。


 そう彼女の生み出した炎の球がガーゴイルを飲み込んだのだ。


 いやそれは最早『球』などという生易しいものではなく、一つの塊であった。


 その圧倒的な魔法の前に彰とノエルの出番などあるはずもない。


 ガーゴイルはその炎の前に為す術もなく、そのまま塵一つ残さず焼き尽くされてしまった。


 彰がふと監督官を見ると彼すらも驚いて手元の資料を必死に見直していた。




「…すげーな」


(あの魔法の詠唱、洞窟で盗賊の魔法使いが使ってたのと同じ詠唱だったから同じ魔法のはずなんだが…威力が違い過ぎて最早別の魔法じゃねーか。

 魔法って使い手次第でここまで変わるものなのかよ…)



 と、リンの魔法を見て思う彰。



「……結構…できる」



 ノエルはそう言ってはいるもののその表情からは驚きが伝わってくる。



「なに呆けてるのさ?早く先に進むよ」



 そう言ってどんどん先に進んでいくリン。彰達はそのあとを慌ててついて行く。



「リン、お前あんな魔法使えるなんて凄いな。ちょっと感心しちまったぜ」

「何が『ちょっと感心しちまったぜ』だよ、何もできないキミと魔法使いのボクを一緒にしないでよね!」

「……アキラ…褒めてるのに…その言い方はひどい…謝って…」

「だって事実じゃない!それなのになんでボクが謝らなくちゃならないのさ!」

「……私…あなた…嫌い」

「それはこっちのセリフだよ!ほんとにお願いだからボクの邪魔だけはしないでよね!!ふん」



 そう言ってリンは一人で先に行ってしまう。その後ろを少し離れて歩いていくノエル。



「ああもう…どうして毎回こうなるんだよ…」



 さんざん言われていたにも関わらず、彰は怒りを通り越して最早二人のやり取りに呆れながら後を追って行った。





読んでいただきありがとうございました。


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