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昇級試験

本日分になります。どうぞ!

「ノエル、そっち半分を頼む」

「……わかった、任せて」



 ノエルにそう伝えると彰は”高速化”を掛け、自分達を取り囲むゴブリンの内の一体に矢のように突っ込んでいく。


 それを棍棒で迎え撃とうとするゴブリン―――しかし遅い。


 彰はゴブリンが棍棒を振り被るよりも素早く自分の剣を左に薙いだ。


 それだけでゴブリンは真っ二つにその体を両断された。


 その動きに一瞬遅れて近くのゴブリンも彰の方へと左右から二体のゴブリンが向かって来る。彰はそのうちの右からやって来た方を逆袈裟に斬り棄てた。


 しかし、それにより左から来たゴブリンに無防備な背中をさらしてしまう彰。ゴブリンはここが好機とばかりにその背中に剣を振り下ろそうとする。


 だが、彰はそれよりも早く懐から短剣を取り出すと背後のゴブリンに向かってクナイのように投擲、短剣は見事にゴブリンの頭を貫き、その動きを止めさせた。


 あっという間に3体の仲間を屠られたことで怯んで動きが止まるゴブリン達、それはノエル側にいたゴブリンも例外ではない、そしてノエルはその隙を逃さなかった。


 ノエルは慣れた手つきでボウガンに矢をセットすると素早く矢を発射、動きが止まっているゴブリンの一体を屠る。しかし、ノエルはそこで止まらず、素早く矢のリロードを済ませると一体、二体と敵を葬っていく。


 そこには一週間前の狙いをつけて何とか敵に矢を当てていたノエルの姿はなかった。


 気がつけば数十秒の間に十数体のゴブリンは絶命していた。



「……ふふ、今日は私の勝ち…私のが一体多い」

「あ~くっそ、やっぱ飛び道具はせこいだろ~」

「……アキラの付与術のがずるい」

「うっ…そう言われるとな…わかったよ、ゴブリンの串焼き奢ればいいんだろ?奢れば…」

「……うん…それでよろしい」




 あれから1週間程、Fランクの依頼は主にゴブリン狩りか採集などだったので彰達は地道にゴブリンを狩り続けた。


 おかげでノエルの戦闘技能はみるみる向上していった。さすがは獣人といったとこだろう。


 因みに彰はノエルにも付与術などの自分の素性を話した。これから一緒にやっていくのだから彼女には知っておいてもらった方がいいだろうと思ったからだ。


 彰としては意を決して話したつもりだったのだがノエルは大して驚いた様子もなく『……そうなんだ…納得した』と淡々と言っただけだった。


 しかし、そうして過ごしていたおかげかとノエルの彰への態度はだんだん柔らかくなっていった。初期のころにあった堅っ苦しさが消えたのだ。


 それはノエルが彰に本当の意味で打ち解けてきた証でもあった。


 とにかく、そうしていつものようにゴブリンを狩り終わった彰達は約束通り途中で露店に寄って彰がノエルにゴブリンの串焼きを奢ってから、ギルドに達成報告をしに向かった。


 古びたドアを開けて受付に向かい、受付嬢に依頼達成の報告をする。


「すいません、依頼達成しました」

「……終わった」

「わかりましたでは証明部位を確認しますね」

「どうぞ」



 彰が討伐証明部位が入った袋を受付嬢に渡すと、彼女は軽く中を見て中身を確認する。



「はい、大丈夫です、ではギルドカードを」



 彰とノエルは受付嬢にそれぞれ自分のギルドカード渡した。

 受付嬢はいつも通りにカードに達成数を入力すると報酬と共に彰達に返してきた。

 カードを受け取り、仕舞う彰達に受付嬢が言った。



「おめでとうございますアキラさん、ノエルさん、依頼の達成数がFランクの基準10に達したので昇格試験を受けることができるようになりましたよ」

「昇格試験ですか?」

「はい、これに合格すれば晴れてアキラさん達もEランク冒険者ですよ。頑張ってください」

「……昇格試験って…なにするの…?」

「昇格試験は他の対象者の方たちも合同でこちらから出す監督官主導のもと、Eランクの依頼に挑戦してもらうんですよ」

「その依頼ってどんなのなんですか?」

「えーと、次の試験は明日の西の森の奥にある洞窟の探索ですね」



 それを聞いて彰は少し疑問に思った。というのも、Eランクの依頼にしてはレベルが高そうだったからだ。



「洞窟の探索なのにEランクなんですか?」

「ああ、それはですね、この洞窟はすでに一度探索が終わってるんですよ、だからどこにどのくらいの敵が出るかとかもわかってますし、どの辺までなら安全かとかもわかってます。

 だからこそ試験にはちょうどいいんですよ。Eランク相当のモンスターが出るとこまで行かせて、その監督官がその立ち回りを見て判断して適度なとこで引き返せますから」

「なるほど…」

「それでどうします、明日の試験受けますか?」

「どうするノエル?俺はもう少し準備をしてからでもいいけど」

「……もちろん…すぐ、受ける」

「そう言うわけなんで明日のやつ受けます」

「わかりました。では明日の早朝、ギルド前に集合してください」

「了解です」

「……わかった」



 それだけ言うと自分たちの宿泊する宿に戻った彰達は夕食を食べると自室に戻り翌日の試験に備えて就寝した。


 もちろんそれでも一週間ほど続けているとはいえ隣にノエルがいることにまだ慣れていない彰がなかなか寝付けなかったことは言うまでもない。


 こうして彰とノエルの初の昇級試験が決まった。しかし、まさかこの昇級試験で二人があんな大事件に合うとはまだこの時はまだ知る由もなかった。




長かったので二つに分けたら短くなってしまいました。


申し訳ないです……。

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