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向日葵―命の花―  作者: 藍川 透
入院3日目
30/47

暇に戻った少年の思考。

 

 

 入院中って、暇だよね。

 検査入院は特にそう。

 自分的にはしんどいところが無い状態で、病室でじっとしているのは苦痛すら伴う気がする。

 まだ、入院して三日目か……。

 あと何日こうしてないといけないんだったかな? 


 昼食を食べ終わると、また暇になってそんなことを考えはじめた。


 ベッドの上で転がってみたり、窓の外を見てみたり。色々やってみても、すぐに飽きる。知り尽くした間取りに、知り尽くした景色だもんね。退屈して当然だよ。


「暇だな……」


 口から出るものといえば、この言葉か欠伸くらいだ。


 言っていても仕方がないのはわかっているけど、睡眠も充分すぎるし、することもないし、話し相手もいない。暇だ暇だ暇だ。


 こんなことなら、課題なんか早めに終わらせるんじゃなかった。

 残しておけば今やることができたのに。

 数学辺りを全部残しておくんだった。


 かなり時間が掛かった課題だった。

 僕は数学があまり得意ではない。


 …………この際なんでもいいから、とにかくやることが欲しい。



 さっき食べた昼食は、すごく味が薄かった。

 病院食らしいと言えばらしいけど、塩鮭なのに塩味がしないのはどうなんだろう。

 いや、厳密に言えば塩味はしていたが、限りなく薄いものだった。

 病院食に慣れていた頃は、これが普通だと思っていたのが信じられない。まずくはないけど。


 濃い党な彼は無言になるだろうね。文句は言わなさそうだけど。


 最近仲違いしてしまった、天然茶髪の持ち主である友人を思い浮かべて、そんなことを思った。

 

 学校で昼食として食べる弁当――というか、彼はサンドイッチを買って持ってきていたけど、そのサンドイッチにかなりの量の塩を掛けていて、驚いたのを覚えている。

 涼しい顔をして彼が掛けた塩は、サンドイッチを差し置いて塩が味を支配しそうな程の量だった。


 常にソースやマヨネーズなどの類の物をあんなに掛けるのだとしたら、彼が太らずに寧ろ痩せていられるのが不思議で仕方ない。


 特にマヨネーズが好きなわけでも、ソースが好きなわけでもなく、ただ味が濃い物が好きなだけらしい。

 それでいて甘いものは食べられないと言うから、人の嗜好は一概には言えないものだと思う。多種多様、三者三様、十人十色だ。


 自分と揉めた人間のことを考えるのは、多少なりとも不快感を煽るものだ。

 しかし今は、この退屈の中で考えることがあるのに感謝すらすれど、不快感を抱くことはなかった。

 あれほど腹を立てていたのにも関わらず、叶に対しての怒りはさっぱりと成りを潜めていた。

 

 やはり叶のあの行動には、何か理由(わけ)があったのではないかと思えて仕方がないのだ。

 しかし、どんな理由であったにせよ、僕は叶に一度傷付けられた。だから、怒りが殆んど消えたとはいえ、無条件に許してやる気にはなれない。

 でも、このまま疎遠になるのは嫌だ。


 きちんと話して、仲直りするのが一番だろう。


「……告白する(言う)のは、それからだね」


 こんなもやもやしたままじゃ、お姉さんにも失礼だよ。


 


 お読みいただき、ありがとうございました!!


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