優しい色。
目の腫れも落ち着いて、いつでも会う準備は整ったよ。
普通の子なら、自分から会いに行ったり出来るのかもしれないけど・・・・・・。
私は病院で待っているから。
早く、早く会いに来て――――。
◆◇◆◇
病室の前を足音が通り過ぎる度、足音が立ち止まって、ドアがノックされないかと期待してドアを見る。
そして、自分の単純さに気付いて嘆息する。
今日来てくれるなんて確証はどこにも無いのに。
でも、期待せずにはいられない。私から会いに行くことは出来ないから、せめて期待するくらいは・・・・・・。
顔を洗いながら、目の下を冷やしながら、腫れが落ち着くまでの間に考えた。
この気持ちに名前をつけて良いのか、気付いても良いのだろうか――――。
そんなに先の長くない命。もし気持ちを伝えて、自分が悠樹を残して逝ったら・・・・・・。
悠樹は悲しんでくれるのか。その前に、悠樹を残して逝くことに、私が耐えられるのか。
逆だって充分に考えられる。その気持ちに気付いた私は、悠樹なしでやって行けるのか。
不安定な命。いつ消えるとも知れない命。悠樹の心を不必要に揺さぶることはしたくない。
それならば――。
想いは伝えず、見守ろう。想いはそっと胸にしまおう。そう、それで良い。
私にとって大切なのは、悠樹と恋人同士になることではなく―――― 悠樹の隣にいること。
隣にいたいという気持ち。
私は悠樹にとって、『お姉さん』のままで良い。
今まで通りで良い。大事なのは恋人という形よりも、大切にしたいという気持ちだろう。
だから、良いんだ。
この恋は――――片想いのままで。
勝手な自己満足かもしれない。
迷惑な気持ちかもしれない。
だけど、この気持ちだけは消したくない。諦めたくない。
もし許されるなら――――最期まで、悠樹の隣で。
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