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向日葵―命の花―  作者: 藍川 透
検査入院まで、あと5日
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優しい色。

 目の腫れも落ち着いて、いつでも会う準備は整ったよ。

 普通の子なら、自分から会いに行ったり出来るのかもしれないけど・・・・・・。

 私は病院ここで待っているから。

 早く、早く会いに来て――――。


◆◇◆◇


 病室の前を足音が通り過ぎる度、足音が立ち止まって、ドアがノックされないかと期待してドアを見る。

 そして、自分の単純さに気付いて嘆息する。

 今日来てくれるなんて確証はどこにも無いのに。

 でも、期待せずにはいられない。私から会いに行くことは出来ないから、せめて期待するくらいは・・・・・・。


 顔を洗いながら、目の下を冷やしながら、腫れが落ち着くまでの間に考えた。

 この気持ちに名前をつけて良いのか、気付いても良いのだろうか――――。

 そんなに先の長くない命。もし気持ちを伝えて、自分が悠樹を残して逝ったら・・・・・・。 

 悠樹は悲しんでくれるのか。その前に、悠樹を残して逝くことに、私が耐えられるのか。

 逆だって充分に考えられる。その気持ちに気付いた私は、悠樹なしでやって行けるのか。

 不安定な命。いつ消えるとも知れない命。悠樹の心を不必要に揺さぶることはしたくない。

 それならば――。

 想いは伝えず、見守ろう。想いはそっと胸にしまおう。そう、それで良い。

 私にとって大切なのは、悠樹と恋人同士になることではなく―――― 悠樹の隣にいること。

 隣にいたいという気持ち。

 私は悠樹にとって、『お姉さん』のままで良い。

 今まで通りで良い。大事なのは恋人という形よりも、大切にしたいという気持ちだろう。

 だから、良いんだ。


 この恋は――――片想いのままで。


 勝手な自己満足かもしれない。

 迷惑な気持ちかもしれない。

 

 だけど、この気持ちだけは消したくない。諦めたくない。

 

 もし許されるなら――――最期まで、悠樹の隣で。


お読みいただきありがとうございました!誤字・脱字・言葉の誤用などありましたら、感想からお知らせください。

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