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信じることで救われる

作者: レモン
掲載日:2026/11/03

 もの悲しい秋の夕暮れ、礼子は、買い物に出かけていたが、ぼーっとしていた。昨夜の出来事を思い出していた。夫の修平が、離婚を切り出してきたのだ。

 修平には、礼子と結婚する前から、好きな人がいた。その人と、修平は、不倫をしていた。その人は、美佐子といって、結婚している。お互い、家庭を持っているのだ。

 礼子は、事を荒立てたくはなかった。しかも、修平を、愛していたので、どんなことも、許そうと思っていた。辛かったが、修平を信じることにした。

 修平は、礼子に、離婚届の、ハンを押す様に迫ってきた。礼子は、修平が、望むなら、離婚してもいいと思い始めていた。そして、離婚届に、ハンを押した。離婚届は、修平が、預かった。

 修平は、その離婚届を、すぐには提出しなかった。礼子の様子伺いを、していた。修平は、礼子が、どれほど、我慢強く、自分の不倫を、知っていても、自分を、許すのかを、試していたのだ。

 礼子は、そのことを、全く知らなかった。当然、離婚届も、すぐに、修平が、出したものと、思っていた。これで、1人になってしまうのだな、と、思った。

 修平は、確かに、美佐子のことは、好きだったのだが、美佐子の家庭を壊すことは、したくは、なかった。自分も、礼子とうまくやっていこうと、思っていたが、礼子に、不倫の事を知られた以上、礼子が、どんな、反応を、示すのかと思い、離婚を、切り出してみたが、修平の思っていたのとは、違い、あっさり、離婚を受け入れたのだ。修平は、少し、焦った。

 修平は、ずるい考えだと思ったが、礼子のことは、手放したくなかった。本当のところ、修平も、礼子を、愛していたのだ。ただ、礼子の、何でも、自分を許すことに、わがままに、なっていた。

 離婚届に、礼子が、サインした時、修平は、青ざめていた。修平は、礼子が、自分の事を、すごく愛しているはずだ、と、うぬぼれていたからだ。だから、修平は、そうなったことが、ショックだった。

 修平は、しばらく、ホテル住まいで、頭を冷やして、考えていた。美佐子とは、もう、会っていなかった。修平は、これまでの、結婚生活を、いろいろと、振り返ってみていた。どんなときにも、自分を信じてついてきてくれたのは、礼子だった。それを、ないがしろにしてきたのは、自分だったのだ。

 礼子も、いろいろ、考えていた。礼子は、自分には、修平を、信じ抜くことしか、できなかった。でも、そのことに、後悔は、なかった。こうして、別れてからでも、修平を信じている自分だから。

 修平は、礼子と、やり直したかった。でも、もう、礼子は、自分とは、やり直すつもりは、ないだろう、と、思っていた。どうするすべもなく、悩んでいた。

 不倫相手の美佐子は、修平からの、連絡が、途絶えたので、もう、自分の事を、嫌いになったのだろう、と思っていた。そんな時、修平から、電話がきた。「もう会えない。」と、修平は、美佐子に、言った。美佐子は、「わかったわ。」と、言った。そして、修平は、美佐子に、「離婚するかもしれない。」と言って、電話を切った。

 美佐子は、ビックリした。たぶん、自分とのことで、離婚になるのだろう、と、思っていた。自分と、会わないなら、離婚しなくても、いいのではないか、と、思った。

 美佐子は、修平の自宅を知っていたので、訪ねて行った。すると、礼子が、出てきた。美佐子は、礼子に、「おたくのご主人とは、別れましたから。」と、言った。礼子は、「そうですか。修平と私は、もう離婚しました。」と、言った。美佐子は、続けた。「ご主人は、まだ、あなたのことが、好きですよ。私には、わかります。」そう言って、帰って行った。

 美佐子に、そう言われても、礼子には、今となれば、どうすることも、できなかった。ただ、修平を信じて、帰りを待つ以外。

 美佐子は、修平に、もう1度だけ、連絡した。修平に、美佐子は言った。「後悔したくなないなら、奥さんとやり直して。奥さんは、待ってたわよ。」修平は、「やり直してみるよ。」そう言った。

 修平は、自宅に行き、礼子に、「もし、まだ、俺のことを、少しでも好きでいてくれて、許してくれる気持があるなら、やり直さないか?」と言って、おそるおそる、礼子の顔を見た。礼子は、涙をながしながら、「本当に、私でいいの?」と聞いた。修平は、「おまえがいいんだ。俺を、信じてくれて、ありがとう。」そう言って、涙ぐんだ。


 


 

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― 新着の感想 ―
三人、三様の考えがあって、面白かったです。 何も書いてない行間を入れれば、読みやすくなるかなと思いました
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