閑話 ライブの裏事情
ライブDVD鑑賞会の最中。
NOCTISの渾身のバラード。
少し暗めの照明の中で奏が歌ってる。
バラード歌ってる時も、カッコイイ。
どこまでも伸びる声が心の中に響いて、切なさを残していく。
「この時さ」
隣で奏の声がする。
「ちょっと声裏返りそうになったんだよね」
「え?」
「このサビ終わるとこ」
画面を見ると、確かにちょっと苦笑いしてる奏が映ってる。
「……ホントだ」
「ね?」
ドヤ顔の奏。
更に奏は続ける。
「ライブ夢中になりすぎて、水分取るの忘れてて、ちょっとぶっ倒れそうだったし」
何、その情報?
「ちょっ……」
「それにさ、ステージ上って照明熱いんだよ」
「やめてー!」
焦る私に奏は更に続ける。
「汗すごくてさ、アンコール前にこの衣装脱ぐのも大変だった」
「……ぬ、脱ぐ」
ちょっと想像してしまう。
いやいや。
ダメダメ。
「やめてー!!」
ニヤッとした奏が見てる。
「何想像したの?」
「!?!?!?」
「いやっ、別にっ」
否定はするものの、これはたぶん、見透かされてる……。
「嫌いになった?」
「……なるわけないじゃん」
それだってわかって言ってるでしょ?
灰色の瞳を細めて奏はふふって微笑う。
「知ってるよ?」
この人(?)には叶わない……。




