表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
推しのフィギュアが尊すぎて、推し活できません!  作者: 夜月黎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/45

26.推しの人気投票鑑賞会③―総合人気投票部門―

残すは総合人気投票のみ。


ま、私は奏が一位だって信じてるけどね。


二人で画面を食い入るように見る。


この部門も四位からの発表だ。

つまり、最下位。


「やっぱ、最下位からだね」


「そりゃ、そうでしょう」


私たちは顔を見合わせる。


「「最下位は陽」」


声が合わさる。

それから、大笑い。


「毎度だもんね」


「かわいそうだけどね」


笑って言い合っているうちに、四位が発表される。


予想通り、四位は陽だった。


絶叫をあげる陽。


「やっぱりね……」


でも、コメントはファンの愛が溢れてる。


「『NOCTISの太陽』は秀逸コメントだね」


「ホント」


陽も納得したように、ファンへのコメントを話している。


そして、次……。


『三位は、月城朔』


その発表と共に、今度は葵さんの絶叫が響き渡る。


「ええぇぇぇーーっっっ!!!」


がっくりと肩を落として、床に突っ伏す。


「今年も朔三位かぁーっ」


「まぁまぁ」


私は葵さんの肩に手を乗せながら、なだめる。


画面の中で朔へのコメントが始まると、葵さんはガバッと起き上がり、注視する。


立ち直りも、早い。


朔へのファンコメントをあげる葵さんは、うんうん頷きながら、見ている。


『NOCTISを支える土台』


「もちろん!」


『朔がいなかったら、NOCTISは続かない』


「朔の仕事量なめんな!」


『NOCTISへの愛が一番深い』


「それが朔の存在!」


『他三人を締める時のあの冷たくて冷静な目に萌える』


「あの目が朔の魅力ぅーっ!!あの目で刺されたい!」


少し、うるさいけど……面白い。


「夕莉はわかってくれるよねっ」


ははっと私は苦笑い。


「わかるはわかるけど……」


私は奏一択なので。


画面から、奏の声が聞こえる。


『素直に喜べよ、朔いなかったら、バンド回んねぇの、皆わかってんだから』


奏のひとことで、朔が嬉しそうにしている。

私もちょっと嬉しい。


「やっぱり、朔×奏ぇーっ!!」


さらに絶叫する葵さん。

まだ引っ張るのか、それ。


それから、朔からファンへのコメント。


葵さんは、正座し直して見ている。


朔らしい真面目なコメント。

言ったことは必ず実行するからなぁ、朔は。

きっと、この言葉も着実に実現していくんだろう。


「朔ぅぅーっ」


葵さんは手を胸の前で合わせて、祈るように朔のコメントを聞いていた。


朔が定位置に戻ると、葵さんはようやく落ち着いたようだ。


「やっぱり、今年も順位、変わらずかぁ」


ボソッと葵さんがぼやく。


「まだ、わかんないんじゃない?」


私の言葉に葵さんはピタッと動きを止めて、私を見た。


「……思ってないでしょ、ホントは」


あ、冷たい目。


「そ、そんなこと……ない、けど?」


答えるけど、説得力はない。

そりゃあ、私は奏推しなのでね。

一位は望むからね。


ふっと笑って葵さんは、視線をTVに向けた。


発表は、二位。


二位は……やはり、凪だった。


「やっぱ凪だね」


葵さんが言う。


「……ってことは……」


私は思わず笑顔になる。


「「一位は奏」」


またシンクロする。


私は両手をあげて喜ぶ。


「やっぱり一位じゃん」


葵さんは呆れたように言った。


「九年連続一位っっ!!」


浮かれた私は大声で言った。


「崩れないねぇ、奏人気」


「ふふっ」


ランキング発表は一位に移り、もちろん、結果は。


『NOCTIS人気投票、総合一位は……夜宮奏』


朔が読み上げる。

私の心は飛び跳ねるように高揚する。


私は改めて大声をあげて、歓喜。


「奏おめでとうっっ!!」


パチパチパチ、と申し訳程度の拍手を葵さんがしていた。


しかし、画面の中の奏はあまり嬉しそうには見えなかった。


怠そうにくす玉の紐を引っ張り、呆れたように見ている。


奏は、嬉しくないのかな……?


ファンとしては、複雑だ。

あとで、奏に聞いてみよ……。

私は不意にそんな思考になり、ハッとして首を振った。


あれ?おかしい?


そんな思考が浮かんだ時、画面から聞こえたファンコメント。


『奏の存在に一目惚れした』


心臓が跳ね上がる。

手が、震える。


「あ、あ、葵さん……」


声も震える。


「ん?どした?」


葵さんが不思議そうに振り返る。


「こ、このコメント、私のコメント!!」


「えっ!?」


葵さんも目を丸くして画面を見る。


「きゃぁーーっっ」


私は葵さんに抱きついた。


「奏が私のコメント、聞いてくれてるっ!!」


「すごいっすごいね、夕莉っ!!」


葵さんも興奮している。


私は興奮どころじゃない。


頭に血が登って、舞い上がってる。


奏からのファンへのコメントが始まりそうになり、私はようやく、息を落ち着かせる。



『たくさん投票してくれたノクティアの皆さん、ありがとうごさいます。夜宮奏です』


奏の声が聞こえると、私は黙って画面を見つめる。


『正直、順位とか興味ないけど……』


少しだけ、挑発的な笑み。

ドキッとする。


あ、()()()()奏と同じ顔……。


『一目惚れした、とか、世界が変わるとか言われると……』


ニヤッと笑う奏。

それも、()()()()


『覚悟できるよな?』


ヤバい、ヤバすぎるっ!


めまいがするほどの萌え。

画面越しなのに、顔が真っ赤になるのがわかる。


そして、トドメ。


『俺は生きてる限りステージに立つから、ちゃんとついてこいよ?』


私はにやにやする顔を手で覆った。


もう、顔面崩壊するっ。


葵さんの溜め息が聞こえる。


「相変わらず、奏は気障ね……」


「……そこがいいの……」


私は小声で返す。


ふっと葵さんは笑った。



『それでは、ここまで長い時間、ありがとうございました』


動画は締めに入っている。


最後の挨拶と告知で終了だ。


画面に『NOCTIS』ロゴが移り、エンディングの音楽が流れる。


私と葵さんはしばらく余韻に浸って、その画面を見つめていた。


「今回も充実してた……」


そう言ったのは私だ。


「そりゃ、奏ファンはね」


ふふっと笑って私は返す。


「でも、朔パートも良かったでしょ?」


葵さんは、まんざらでもなさそうに笑った。


「でもさ、夕莉のコメント読まれたの、凄かったね」


「ホント、それ!!」


私たちはもうひと盛り上がりする。

しばらく、二人の楽しい会話が続く。


それから、ふと時計を見た葵さんが、名残惜しそうに溜め息を吐いた。


「もう、こんな時間!明日も仕事だし、帰ろっかな」


私も時計を見て驚く。


推し話は、あっという間。


「ホントは夜通し語りたいんだけどね」


そう言って、葵さんは帰っていく。


私も同じ気持ちではあるけど。


……ちょっと今は、葵さんを泊める訳にはいかない……。


葵さんを見送ってリビングに戻ると、案の定、フィギュアの奏(かなで)が棚から出てきて、テーブルの上に座っていた。


その顔に浮かんでいる笑みが怖い……。


長くなりそう……。

そう思いつつ、私は奏の前に座るのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ