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推しのフィギュアが尊すぎて、推し活できません!  作者: 夜月黎


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15.推しの家具選び

「夕莉?」


窓辺のソファから、奏が見下ろす。


「ん?」


私はチラッと奏を見上げる。


「このソファさ」


「うん」


「硬くて座りにくい」


「えっ……?」


私は驚いてしまった。

だって奏はいつもそこに座ってるから、気に入ってるものなんだと思ってた。


「気に入ってると思ってたんだけど……」


苦そうに笑って奏は答える。


「場所は気に入ってんだけどね」


なるほど。

うーん……。


ちょっと悩んだけど。

推しのためなら仕方ない。


「じゃあ、どんなのがいいの?」


私がそう言うと、奏は思いっきり破顔した。


どストレートな笑顔に一瞬、めまいがっ。

眩しい……っ。


出窓から飛び降りて、テーブルに来た奏は私のスマホの前で止まった。


「座り心地いいヤツ」


「で、寝転がりたい」


楽しそうにスマホを覗き込む。


「もう……っ」


わがまま言ってる……。


私はいつも使ってるショッピングサイトを開く。


『ソファ ミニチュア』で検索をかける。


ずらーっと並ぶ検索結果。


「いっぱいあるね」


私はスマホの画面を指差す。

可愛いソファがたくさん。

小さい頃、人形用に持っていた小さな家具たちを思い出す。


奏はちょっと楽しそうにページをめくってる。


「これ、いいんじゃない?」


私が指差すのは、手頃な値段の物だ。

すると奏は少し眉をひそめて、


「嫌」


とひとことだけ言った。


「えー、可愛いじゃん?」


私が反論すると、


「……趣味の悪い花柄……」


と、またひとことだけ言った。


うーん、わがままだなぁ。


「じゃあ、これは?」


別のを提示する。


「うーん?」


また不満そうな奏。


「何がダメなの?」


首を傾げて奏は私を見上げた。


「硬そう」


なるほど。

って、人形用だからなぁ。

座り心地なんか考えられてないんじゃないだろうか。


そう思いつつ、口には出さないけど。


次に少しだけ値段をあげた物を指差す。


「これは?」


奏はスマホを覗き込み、うーん?と唸ってる。


「寝転がれない」


む、難しいっ。



しばらく、あーでもないこーでもないと言いながらサイトを眺め続け、私はもうぐったりしていた。


「これがいい」


そう言って奏が示したのは、本格的なドール用の立派なソファだった。


「に、27000円!?!?」


私は驚いて、大声を出した。

奏は、にこっと笑って私を見てる。


……そんな顔されたら、ダメって言えないじゃん。


最後は私が根負けしたと言ってもいい。

しかも、ついでにとか言って、クッションやサイドテーブルなどの小物まで追加されてしまった。


「夕莉、ありがとな」


珍しく奏は上機嫌でうきうきしていたが、裏腹に私はがっくりしていた。


「わ、私の推し活資金が……」


すると奏はきょとんとした顔で、


「これも推し活だろ?」


と。


……ある意味、そうなのか。


なんか、うまく言いくるめられてる感がしないでもないけど……ま、良いか。


奏、喜んでるし。


私はそっとスマホの画面を閉じた。




後日。

届いた家具類を奏の言う通りに窓辺に置いた。

楽しそうにソファで寛いでいる奏を見て、私もちょっと嬉しくなる。


ま、奮発して良かったかな。


相変わらず、奏は毎日窓辺のソファで外を眺めている。







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