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推しのフィギュアが尊すぎて、推し活できません!  作者: 夜月黎


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閑話 NOCTISのメンバー

「なぁ、夕莉って俺以外に"推し"いねぇの?」


急に奏が聞いてきた。


……わかってるくせに……。


ちょっとだけ、奏を睨む。


「……いないよ」


ふふって微笑う奏はやっぱりわかってて聞いてるんだと思う。


「じゃあさ、俺以外のNOCTISのメンバー、どう思ってる?」


「えー?」


奏以外……。

奏以外は、みんな普通に好きかな?

カッコイイなとは、思うけど。


やっぱり奏が一番だし。


「奏以外は平等に好き」


「へぇー?」


あれ?この流れ……やばい?


「箱推しってヤツじゃないの?」


「箱推しだけどっ……奏は……特別……」


何言わされてんの、これ?

またいつものやつ?


にやっと笑う奏。


「ふぅーん?」


あれ、ちょっと嬉しそう?

珍し。


「凪とか、どう?あいつ、人気あるよ?」


凪――天音凪(あまねなぎ)は、NOCTISのギターで、すごく綺麗なビジュアルをしている。

中性的な雰囲気で、金に近い茶髪を束ねた姿はまるで天使のようだ。

最年少で26歳。


「凪は綺麗だよね、天使みたいで」


ちょっとライブ中の雰囲気を思い出して見る。

衣装も中性的な物が多いし、化粧映えもするし、なんか……王子様みたいな?


「きらきらしすぎて、眩しい……」


そう言うと、奏は軽く吹き出した。


「確かに」


それからつけ足す。


「天然すぎるけどな」


ははっと苦笑い。

色々……あったんだろうか……。


「じゃあ、朔は?」


月城朔――NOCTISのベース。

すらっとした長身で、真っ黒な髪、真面目そうな顔立ち。

無口だけど、バンドに絶対必要なタイプ。

奏の高校の先輩で、一歳年上の29歳。


「朔……は、うーん?真面目だよね。NOCTISまとめてくれる存在?バンドの良心?」


奏はまたも苦笑いしてる。


「そうだな、朔いなかったら、好き勝手やって崩壊してただろうな」


「それは、ファンからしたら困るなぁ」


私も苦笑いする。


「陽は?」


朝霧陽(あさぎりひなた)はドラムで、名前に間違いのない明るい性格だ。

人懐っこくて、誰とでも仲良くなれるムードメーカー。

思いっきり笑った顔はお日様のようだ。

奏と同じ、28歳。


「陽は、お日様みたいな人だよね」


「あいつ、うるさいけどな」


「空気ぶち壊すし」


苦笑いしながら、奏は頭を掻いた。


それから、少し間があって。


「……で?」


ん?

奏が何を言いたいのかよくわからなかった。


「で?って?」


つい聞き返す。


奏はちょっといじけたように、目をそらして唇を尖らせた。


「……ボーカルは……?」


「ぼーかる……?」


口にしてから、意味に気づく。


「奏のこと?」


奏は顔をそらしたまま頷いた。


「奏は……」


そう言いかけて、考える。


整った顔立ち、細長の瞳は灰色(グレー)でミステリアスだ。

さらっとした艶のある髪は、歌ってる時、無造作に散らばって、カッコいい。左側の一箇所、アッシュグレーになっているのが、奏の雰囲気をよく表している。

少し高めのボイスは、バラードにもロックにもよく伸びる。

歌っている姿は――この世界に魂の叫びを届けるかのようで……。


ぱっと顔が赤くなる。


奏の瞳が見ている。


不意に息が詰まって、時が止まったかのようだった。


「奏は?」


首を傾げた奏が追撃してくる。


ゔゔゔぅー。

嘘なんかつけない……。


「奏は、私の一番!!」


クッションに顔を伏せながら叫ぶ。


奏の顔、見れないっ!!


くすくすって笑う奏の声が聞こえる。


それ、言わせたかっただけでしょ!奏は!

もう、この推しは〜!!


「夕莉っぽい」


何がそんなにおもしろいのってくらい、奏は笑ってる。


「もうっ!」


私はクッションを抱えてジタバタした。


奏は何も言わなかったけど、いつまでも笑っていた。

何となく、機嫌良さそうに。







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