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漫画の妥協で小説してるんすか?  作者: 清水さささ


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②僕は小説を読まない。



 僕は小説サイトに来て活動してみて、誰にも見向きされなくて、それで何が悪いのかを考えた。



 そして、初めて他人の小説というものを読んだ。



 別に小説を読みたかったわけではない。


 自分と何が違うんだろう。


 自分の何が悪いのかを探す研究の為に。



 特にランキング上位を見た。サイトを開いたらすぐ上に出てきて、サイト自体が優遇してる為ずっと伸び続けている作品群。



 少し読んでみると、序盤から文章だけなのに、情景が脳内にイメージとして浮かんで来る。


 それにタイトルも、あらすじも、なんだろうこれ?


 って気持ちを誘ってくる。




 そこで自作を読み返す。


 あらすじには……




「考えてた構想を小説風に書いてみたので、よかったらよろしくお願いします。」






 なるほど謙虚だ。




 うん、で、誰が読むのそれ?


 内容も語らず、()()()とはいったい?


 無限に近く投稿され続ける、他人、他人、他人の小説サイトの中で

「よろしくお願いします」って、誰になんの義理があって、よろしく言ってんの?



 何をよろしく? ビビって主語ぼかし?


 最低でも読んでくださいだろ?


 他人のよろしく?

 知らんわ、読まんわ。


 って自分にツッコミを入れていた。



 初めてで自信無かったし、謙虚にね。


 よろしくお願いします。って書いたんですよ。

 読んでくださいなんて申し訳なくて。



 そんな読んでもらうのが申し訳ないものが、誰に届くのか。




 大会議室でね、大論争中にも関わらず、手もあげずに、「誰か聞いてくれたら良いなー」って、自分の意見をボソボソと言ってるようなもんですよ。



 そんなの誰にも聞こえない。




 小説サイトに来る前は思ってた。

 なろう系ってタイトルめっちゃ長いよね。

 タイトルで説明終わってるよね。



 違った。


 それは会議で手を上げるに等しい行為。


 自分の投稿の更新が10分後には更新作品一覧の3ページ目くらいまで遡らないと見つけられない。



 そんな荒波の中で戦っている事に気づいていなかった。



 長文タイトルは「俺の作品、ここにあります!」っていう必死の挙手だった。


 試しになろう系の長文タイトルを使ってみたら、一日でPVが40くらいに増えていた。



 半月でPV6が、一日で当社比7倍。



 なるほど、それが小説サイトの王道。


 王道って、人気だから王道なんですよね。


 王道はハッピーエンド。それと同じ。


 定番が定番なのも、テンプレがテンプレなのも、多くの人が研究した結果、それが強いから。強いから定番、強いからテンプレになる。


 電気は照明界の王道。人類が電気を発見して、電球を発明して、普及した。電気こそ照明界の正義。

 今更王道を外して、ろうそくで明かりを取るのがいいんですよ。風流なんですよ。

 僕がろうそくを素晴らしいと思っていれば、誰かが気づいてくれて、ろうそくが普及する!



 そんな訳がない。


 でも、それこそが自分が今までやってた事だと気づく。



 そうして小説サイトのタイトルの重要性に、ようやく気付いたわけです。



 そしてPVを貰ってみて次の壁に当たる。




 反応が、無い。



 今まで色々なSNSで活動しました。


 ニコニコ動画、pixiv、TwitterもといX……



 絵とか物語とか投稿してて反応貰ってフォロワー増えて。


 でも、そこで小説を投稿しても、客層違うしなあ、と思って小説サイトに来たのだけれど、ここまで反応無いのは初めてでした。



 もしかして小説サイトって、評価しない風習があります?



 そう思った。



 新着一覧にある、作者も内容も知らない作品を適当に開いてみる。


 ランキング上位作品とかでは無い。更新一覧の新作などだ。それでも差はあれどリアクション、ブクマ、評価は付いている。



 なるほど、という事は?


 自作に反応が無い理由は至極単純だった。

 タイトルで踏まれても、評価の所までスクロールする前にブラウザバックされている。


 だから評価もリアクションもつかない。



 そういう事なんだろう。



 では僕が考えた、僕にとっての面白い物語は、何故最後まで読まれないのか。


 読み返してみると、それは面白い以前に小説と言うよりも、景色、説明、セリフのラリー。



 それだけで綴られた、小説と言うよりは、むしろ脚本。



 自分の中では完全に映像化が出来ている。どんな景色で、キャラクターがどんな表情してセリフを吐いているのかハッキリと分かっている。どこに面白さを表現してるのかも分かってる。



 自分が考えた、自分の中では。


 でもそれは、文字では伝わらない。



 僕は漫画を描こうとしていた。


 見せる思考は完全に漫画ベースだった。


 絵を見せて、セリフが付いている。それだ。



 漫画が大変だから、小説を公開してみようと思ったんだけど、これなら遅筆でも、絵が下手でも、漫画やってた方がまだマシなのでは?



 そう思った。



 半月の間、小説を続けた。


 でもそれは漫画でやろうとしていた事を、小説という媒体でやろうとしていただけだ。




 じゃあ、ここに居る人達は……?




 同じだ。


 同じでなければ、次へなんて押して、スクロールしてこんな所まで来ない。



 目標、なりたいものがフワッとでもあって、それでいて迷ってる人がここに居る人達だ。



 僕は自作漫画だ。



 目標は誤差。



 他は、漫画原作になりたいかもしれない。アニメ化したいのかもしれない。映画化かもしれない。チヤホヤされる事かもしれない。書籍化して印税が欲しいのかもしれない。



 恐らく目標があって、その手段として小説をやっている人たちだ。



 それは同じって事だ。


 小説好きすぎて、書いてるだけで無限に楽しいんです!!

 って人がここまで読むエッセイではない。



 自分は小説を書いて、漫画家の人に描いて貰いたい訳では無い。


 漫画という長大な時間を使う作業をするにあたって、自分の作品が面白いという確証が欲しい。



 それが小説投稿の理由なんだ。


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