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チー牛(仮2)2024/08/20 02:48

俺が生まれたのは1982年。バブル期前夜。昔話。公務員と専業主婦の息子。取り柄なんかない。

タッパもない。運動神経も悪い。その他大勢の一人。

 こんな俺でも愛してくれた女は片手で数え切れるくらいはいた。彼女たちが俺のどこに魅力を感じたのかは謎だ。

「エヌくんのどこどこが好き」

なんてことはもちろん言われたこともない。きっと暇だったんだろう。

 そして時は経ち、いま俺のことを分かってくれている奴は6歳の息子しかいなくなった。まあ、いい。誰もいないより、数倍もマシだから。

 俺は深夜の2時半に、大枚をはたいて買ったマックブックでパタパタとこの駄文を連ねている。ローテーブルの隣にはスイッチとアイパッドを並べてカップヘッドを器用にプレイしながらマイクラの実況動画を見ている息子がいる。いったい俺たちは何をしているんだろう?

 

 下らない打ち明け話だが、ついこの前まで俺にも美人の彼女がいた。普段は明るい子だったが、仕事のプレッシャーを感じると俺のことを軽蔑した目で見て罵倒してきた。俺はセックスのためだけにその理不尽さに耐えて付き合っていたが、ある日どうでも良くなって唐突に彼女のラインをブロックした。一週間ほどしてブロックは解除したが、連絡はもちろんこない。

 息子を見ていて、これから彼は恋をして幾らかの女の子を愛したり、たまには愛されたりするんだろうなと思う。一方、俺は誰からも愛されないんだろうなと思う。後何年生きるかは分からないが、何十年も一人ぼっちで生きていかなければならないと思うと、寂しくも悲しくもないが、40年かけて濁った目にさらに煌めきがなくなっていくのを感じる。

 金持ちになることくらいしか解決策が見当たらない俺は想像力に欠いているんだろう。

女のためにエイティーエムになるしか脳の無い男。俺も俺のことを愛せなくなっているんだろう。

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