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野草から始まる異世界スローライフ  作者: にのまえ
第二章

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第十四話

「「うわぁ! 突風だぁ!!」」


 ワイルドポポーに怯えていた冒険者パーティーは、いきなり吹いた風に3人とも腰を抜かしていた。


「な、なに? 今の突風は?」

「わかんないよ! ……や、やっぱり他の冒険者が言う通り、この森……呪われているんだよ」

「そうよ、冒険者ギルドの受付が言っていたじゃない……このチリの森にいたS級のモンスターコーブラとアウドラムが……忽然こつぜんと消えたって」


「そ、そ、そうだな……だから水辺に生息するはずの、こんなバカでかい……希少種のポポーがチリの森にいるのか!」


「「ヒィー!!」」


 彼らは震えながら、アウドラムのママくらいの大きさの、ワイルドポポーを見上げた。


 いま、突風が吹いたって?

 まさか、アール君いつの間にか姿消してる?


 彼は咄嗟に姿消しの魔法を使い、冒険者パーティーに姿を見せないようにして……猫パンチを繰り出しているが。


 微動だにしないワイルドポポー。


[クッ、ここで会ったが100年以上目! ワイルドポポーの"ゲンさん"のお肉を頂戴します!]

[ふふ、いつぞやの小僧か……甘いなぁ! そう簡単にワシの肉は食わせん!]


 アール君にゲンさんと呼ばれたワイルドポポーは、アール君の姿が見えているらしく。再度、飛びかかってきた彼に体当たりをした。


 ドゴーーン!


[おお――!! ゲンさん強すぎま~す!]

[あ、アール君⁉︎]


 彼は星になった……じゃなくて、チリの森のどこかへと綺麗に飛ばされていった。


[大丈夫? アール君!]

[エルバ様、ボクは大丈夫です。……ふうっ、ゲンさんにまた……負けてしまいました]


[うん、見事な完敗だね]

[はい、見事な完敗です]


 フワフワと、肩を落とし飛んで戻ってきた。

 いきなり動いたワイルドポポーに、震え上がっていた冒険者パーティーは逃げたらしく、姿が見えなくなっていた。


 ――冒険者ギルドに報告に行ったのかな?


 アール君をじっくり見て、ワイルドポポーは笑った。

 

[ハハ、なんだ。度胸がある冒険者だと思ったが……サタナス魔王の側近のメガネ小僧じゃないか!]


[メガネ小僧、ゲンさん……ボクはサタナス様の執事ですよ。何度言ったらおぼえるんですか?]


 アール君は立ち上がり、猫の姿のままメガネを直すフリをした。


[ガハハハ、どっちも同じじゃないか! それで、その執事がなんで、こんなところにいるんだ? もしや、コーブラとアウドラムが消えた理由を知っているのか?]


 アール君は頷き。


[えぇ、知っておりますよ。しかし、ここではなんですから原っぱに移動しますか? エルバ様]


[そうだね。いま逃げていった冒険者がギルドに伝えたら、ここに冒険者が来るかもしれないからね]


 アール君の転移魔法で原っぱまで移動した――けど、アール君はサタ様より転移魔法が苦手らしい。突然、空中に現れ、可憐に着地したアール君とゲンさん……私はバランスを崩して地面に尻餅を打った。


「イテテ、お尻が……」

 

「エルバ様、すみません」

「大丈夫だよ……ゲンさんにコーブラとアウドラムの話と、サタ様の話をしよう」


「はい」


 私は姿消しのローブを羽織り、アール君に姿消しの魔法を使ってもらい、ゲンさんの姿を他の人には見えなくしてもらった。

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