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野草から始まる異世界スローライフ  作者: にのまえ
第二章

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第九話

 サタ様はお乳まみれの私を笑った。

 だったら、サタ様も絞ってみなさいよと、マジックバックからお鍋を取り出して、彼の前に差し出した。


 そんな、私から鍋を受け取ったサタ様はフッと笑い。


「乳搾りか、懐かしいな。アウドラムのママさん、失礼する」


[うんまぁ~! サタナス様に縛ってもらえるなんて幸せですぅ~]


 ママさんは少女の様に頬を赤らめて嬉しそうだ。

 だが! サタ様も私のように乳搾りで失敗して、ママさんのお乳まみれにな~れ。


 私の邪心な思惑を読んだのか。


「なんだ、エルバはワタシを乳まみれにしたいのか? フフ、エルバの思惑通りにはいかんよ」


 と、フッと笑った。

 

「へえ?」


 乳搾りのため執事姿になったアール君とは違い、もこ鳥の姿のまま、サタ様は可憐に乳搾りをはじめた。その姿の側にいつのまにか猫の姿に戻ったアール君がいて、サタ様を褒めている。


「悔しいですが、僕は猫のままでお乳は搾れない! さすがです、サタ様!」

 

「アール、あたりまえだ!」


 な、なんとサタ様はママさんのお乳を一滴も無駄にせず、お鍋いっぱいに搾った。側で、驚く私の手からコップからを奪い、残りのミルクを飲み干したのだ。


「あ、私のお乳!」

「ククッ、呆けているエルバが悪い。アウドラムのママさんの乳は相変わらず美味いな」


[んまぁ、ありがとうございますぅ~あなた、サタナス様にお乳を喜んでもらえたわ~]


[良かったな、子供達もお前の乳で元気いっぱいだ!]


[[母ちゃんのお乳は最高!]]


 なんでだろう?

 サタ様は可愛いモコ鳥なのに、カッコいい。




 たくさんお乳を貰ったお礼にと、アウドラムのパパさん、ママさん子供達に。エルバの畑からエダマメマメ、トーモロコシを、これでもかとたくさん採取して食べてもらっている。


[[美味い!!]]


「欲しかったら言ってください」


[ありがとう、おかわりをお願いします]


「ええ! もう食べたの?」


 モリモリ、バクバク喜んでエダマメマメとトーモロコシを食べる、アウドラム家族の姿を見ながら。サタ様に風魔法で乾かしてもらい、アール君にクリーンの魔法をかけてもらった。


 ――お乳って栄養が高いから雑菌が発生しやすくて、乾くと臭くなるんだよね。アウドラムのママさんのお乳はさらに栄養が高そうだもの。


「私達もお昼ご飯にしよう!」

 

 アイテムボックスからテーブル、コンロをから取り出して、コーブラのお肉を焼きはじめる。分厚く切るのかと思った、コーブラのお肉はタンのように薄く切ってあった。


「エルバ、塩コショウとレンモンをくれ」

「わかった」


 畑を開きレンモンを採取して渡すと、豪快に焼き上がったお肉にかけた。


「さぁ、食べてみてくれ」


「「いただきまーす!!」」


 初めてのコーブラ……蛇のお肉。美味しそうだけど、頭を見てしまったので少し躊躇した。隣のアール君は「レンモンで、サッパリと食べれます」美味しいと食べている。


(私が迷っている間に食べてしまいそう)


 なくなる前に、一切れ恐る恐る口に運んだ。


「う、ううん⁉︎ コーブラのお肉って鳥の胸肉に似てる︎? 臭みがなくて美味しい!」


「そうであろう」


 鶏胸肉に似た身は塩コショウとレンモンが合う、これはコメではなくパンが欲しくなる。パンにマヨネーズをぬってコーブラのお肉と、レタススを挟めば高級なサンドイッチになる!


 それに、これだけコーブラのお肉がしっかりしていたら、サラダチキンならぬ、サラダコーブラも作れる。


「やっぱり、パンが欲しいかな?」

「そうだな、コメよりパンに挟みたいなぁ」


「マサンの冒険者ギルドにクエストの報告に行ったついでに、パン屋に寄りましょう!」


「うん、寄ろう!」


 アウドラムも含め、私達の食欲は今日もおさまらない!

 

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