第二話
「今は何処にいるかはわからないが……案外、ワタシ達の近くにアウドラムはいるかもな」
「いるかもしれませんね」
日も暮れて冒険は明日にして寝ようと、私達は夕食を終えた後テントに移動した。今日のお風呂は前から入ってみたかった、猫足バスタブを思いっきり想像して成功した。
可愛い見た目のお風呂に満足してベッドに戻ると、サタ様に話があると、ベッドへと呼ばれた。
「話って何?」
それは、さっき外で話した牛――アウドラムの話みたいだ。
「エルバ、アウドラムの姿が大きいのは……その、魔王の時に私が面白がったのと……ワタシを喜ばせようとした、魔法使い、魔女、魔族の研究者達が競い合ったからなんだ」
「そうですね、ドンドン体が大きくなるアウドラムは面白かったです。乳が滝のように流れました」
「乳が滝? へぇ……」
今から300年前はサタ様の魔族国も大きく、10メートル級の大きさの牛――アウドラムも普通に野原を歩いていたそうだ。でも、それは魔王サタナス様がいなくなる前の話。
『『勇者様が魔王サタナスを倒した!!』』
勇者が魔王を倒したと、勢いついた人間達は領土を大きくしようとして、魔族達の次から次と土地を奪っていった。主君の魔王がいなくなった魔族達は住処を変えて、今の場所に魔族の国を移した。
しかし、のんびり寝ていたのだ。
だから、人間によって滅ぼされたり、捕まったりした。
魔族の全ては今の魔族国に移動できないでいた。
(アウドラムも大きさゆえ、移動できなかったのかな?)
残った魔族達が人から逃げる為に洞窟を掘ったり、地下に家を作ったりした。そして、自分を守る魔物を引き寄せ、時を経て、ダンジョンに変わったと言われている。
そして、人間が元からいた魔族、魔物を勝手に恐れ、生贄にし、祭り事をされているドラゴン達も、人の国に取り残されただけだと言ってもいいのだそうだ。
彼らはただ、この土地を住処にしていたに過ぎない。
魔族の大半は争い事を好まないものが多いと、サタ様は話した。




