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野草から始まる異世界スローライフ  作者: にのまえ
第一章

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第七話

 よし、コメを炊こう!


 だが、ここで問題。

 コメ草からコメはどう採るのだろう?


 博士、なにか知らない?


《コメ草の実の取り方は袋に実の方をいれ、振れば実から飛びでて殻と分かれます》


 へぇ、前世のお米とは違い。

 もみすり、精米とかいらなくて、振るだけでいいなんて簡単だ。


 ありがとう、博士。


「ママ、使ってもいい袋ない?」


「使ってもいい袋? わかった、コメ草の実を採るのね。待っていて、いま持ってくるわ」


「ありがとう」


 ママが持ってきた袋に、コメ草の実の方をひと束入れて振った。ザラザラと袋の中に殻からコメが飛びでてくる。


 面白い!


「ママ、袋の中にコメがとれて面白い」

「ほんと、楽しいわね。鬼人の人もコメを採りだすとき"楽しいよ!"と、言っていたのはこのことなのね」


 全てのコメが取れたみたいで袋の中を覗いた。

 あ、昔見ていた半透明なお米とは違い、コメ草のコメは真っ白な粒だった。


 その、とれたコメをハカリで測ると全部で450gあった。

 えーっと、450gということはお米だと三合ぶんかな。二合を炊くときは水が400だから、三合の水は600mlかな。


 あと、コメはお米のように研ぐの?

 お水にも浸す?


 私はお米と同じ扱いでいいのか迷っていた。


「エルバは何を悩んでいるの?」

「ママ、コメを水で研いで、浸すか悩んでいるの」


「コメを研ぐ、水に浸す? そうね、今回はなにもせず炊いたらどうかしら? 炊いてみてから色々考えましょう。コメ草はママがもらってくるから」


「うん、そうする」


 


 お米(450グラム)三合を炊く準備を始めた、コメをザルで軽く洗い、鍋に入れて水600mlいれてお母さんに渡した。


「それにしても、コメ草を炊いて食べよだなんて、エルバは面白いことを思いついたわね」


 ……きた、この説明が難しい。


「あのね、ママ。……ママがいないときに少しコメ草をかじったら美味しかったの。だから……食べたくて、いろいろ考えて炊くのはどうかなって」


 なんとも、ベタで、ヘタな説明だ。


「コメ草をかじったの? ……エルバはパパと同じ食いしん坊さんね。今回はエルバの手の届くところに置いておいたママが悪い。――でもエルバ、知らない薬草は勝手に触らず、ママに聞いてからにして欲しいわね」


 私には教えてくれる博士がいて、コメ草が食べられると知っていた――だけど、普通は知らないことだ。

 コメ草が危険な薬草だったら……大変なことになっていたと、ママは言いたいんだ。


「わかった、次からはちゃんとママに聞く」

「いい子ね、エルバ」


 優しい瞳、優しい手で撫でてくれた。

 



 コンロにママが魔法で火をつけて、コメが入った鍋をかけた。

 しばらくして水が沸騰したら、コンロの火を調節して弱火にする。――弱火で九分加熱して火を止め、コンロから下ろして、タオルに包んでコメを十五分蒸す。

 


(そろそろ、十五分かな?)


「ママ、十五分たったよ」

 


 食卓の上でママと、炊けたコメが入ったお鍋を見つめる。


「いい、エルバ、鍋の蓋を開けるわよ」

「うん」


 ドキドキする――匂いはいい、後は味だ。

 

 ママがミトンをはめた手でタオルを外し、お鍋の蓋を開けると炊き立てのお米に似た甘い香りがした。

 みためは……あ、真っ白だったコメの色が半透明になっていた。


(いい香り――炊き立てのお米と同じでふっくら、ツヤツヤ、お米がたってる……これは絶対においしい!)


 ゴクっと喉がなる。


「なんとも言えない、いい香りね。炊く前のコメ草の粒は真っ白だけど……炊くと半透明になって艶が出るのね。エルバ、コレはどうやって食べるの?」


「……えっ、どうやって」

 

 はっ! コメを炊くことばかりに気を取られていて、食べ方を考えていなかった……どうする、炊き立てのご飯にあうお漬物はない、卵かけご飯は醤油がない……ここは、塩おむすびかな。


「ママ、塩おむすびを作ろう!」

「塩おむすび?」

 

「私が先にやってみるからママは見ててね。――まず、ボールに水を汲み両手を濡らして、手のひらに塩を少し多めにまぶして……こうやって、手のひらにコメを乗せた手を三角にして、よっ、ほっ、こう握るの」


「エルバは器用ね、ママもやってみるわ」


 二人で炊いた、コメを全部握った。

 お皿の上でキラキラ輝く、十個の塩おむすび。



 ママと手をあわせて。

 


「「いただきます」」

 


 炊き立てのコメで握った塩おむすびを手に取り、一口かじった。

  

「う……んんっ! 味もみためもお米……甘くて、ホクホク……この、塩おにぎり、おいしい! 何個でも食べれる」

 

「ほんと美味しいわ……初めて食べる味ね」


 エルバの畑でコメ草を一ページ分に増やせば。

 いつでも炊き立てが食べられる、あ~幸せ!

 


《コメ草について内容が更新されました》

 


 内容の更新?

 博士、それは何?


《コメ草の実は腹持ちがよく、美白効果あり》


 腹持ちが良いのはいいとして、美白効果?

 そういえばお米で作られた化粧水とか乳液、クリーム、パックなどがドラッグストアで売っていて、前世の私も愛用していた。


 この、コメ草にも同じ効果があるんだ。

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