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野草から始まる異世界スローライフ  作者: にのまえ
第一章

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第五十三話

 ライト草とツーン草の効能がわかった、二日後。


「エルバ、サタ様、アール君、パパ、おみやげ」


 ママは新作のアンズンのシュワシュワゼリーと、ナゾの白い粉を袋に入れて持って帰ってきた。


「シュワシュワのゼリー?」

 

「そう、新作のシュワシュワのゼリーよ。冷やし庫で冷やして、夕飯の後にみんなで食べましょう」


 ママが持ってきた新作のシュワシュワゼリーは冷やし庫の中へ。白い粉の正体はなんとジャロ芋から作ったデンプン粉とは片栗粉だ。今まではコムギンを使用してお団子、ゼリー、羊羹ようかんなどを作っていた。


 魔法都市の研究者達は揚げればフライドポテト、ポテチ、炒めればジャーマンポテトになるジャロ芋のデンプンに目をつけて、色々と実験をかさねて作りあげた。


 作り方はまずジャロ芋をすりおろして布にいれ、水を入れたボールの中で布に入ったジャロ芋をもむ。もみ終わったら絞って、ボールの水はデンプンを沈殿させるためにしばらく放置。


 茶色く濁った水を捨てて、新しい水を入れてしばらく置く放置をあと2回繰り返して一時間放置。うわずみを捨てて、乾燥させて作ったデンプン粉。


 そのデンプン粉を使ってプリン、わらび餅のお菓子が作れるかも。今日の夕飯にコロ鳥の唐揚げをデンプン粉で作り、みじん切りにしたショウガロン、ニンニククとムラサキでタレを、揚げたばかりの唐揚げにかけた。


「コロ肉のから揚げ 香味ソースかけ出来たよ!」


 大皿に出来立ての唐揚げを、ドーンと食卓の上に置いた。ひとつ食べた、みんなの箸が止まらない。

 

「「おいしい!!」」


「これはコメが進む! ママ、エルバ美味い」

「パパの為にママとサタ様、アール君でたくさん作ったからたくさん食べて」


「アール、唐揚げはエールに似合うな」

「はい、合いますね」


 コップに注いだエールを嘴で突っつくように飲むサタ様と、ペロペロ舐めるアール君。


「「唐揚げ最高!」」


 新しい唐揚げの食べ方に、みんなの食欲は収まらない。

 ママのお土産、アンズンのシュワシュワゼリーはおいしかった。

 



 サタ様とアール君を連れて、エルブ原っぱ、ソーマの森を駆けまわり。新たに薬草ウウメ、野生のブドウーウ、ブブベリーの果物を見つけ博士に効能を聞き、タネをもらいエルバの畑に植えた。


 ウメメは殺菌力と疲労回復。

 ブドウーウは貧血、疲労を軽減。

 ブブベリーは若返りのビタミン、目の疲労を軽減する。


 このウメメを漬けてウメメ干しが作れたら、ウメメおにぎり、ウメメ干しのお茶漬けと気持ちが逸るけど、肝心の漬け方を知らない。たまにスーパーの漬物コーナーで買うだけだった。


 梅干しって、酸っぱいから塩で漬けるのかな? 

 タネはエルバの畑に植えたから、色々実験すればいいっか。


《ウメメについて補足。ウメメは採ったすぐ生で食べず、完熟してから食べてください》


 そうなの?


《採ったウメメには毒成分があり、完熟すれば毒素が分解されます》


 危なかった……知らずにみんなに勧めていたかも。

 博士、教えてくれてありがとう。

 ウメメ干しを作ろうと、サタ様とアール君で実験を重ねているとき。


 鬼人の方がウメメ干しを作ることに成功した。


 クッ、秘密裏ひみつりで実験していたのに外に漏れた……ママかパパだな。パパが楽しそうに『ウメメ干しは出来たのか?』って聞いていたから『うちのエルバがウメメ干しを作ろうとしてるんです』と話したのかも。

 

 何はともあれ、梅干しが食べれるのでオールオッケー!


 


 ❀

 



 それは夏が過ぎ、秋の手前だった。

 人里から戻った鬼人の人が一週間ほど前に、王都近くの街で魔物を運ぶ檻に、大きな魔物の犬が捕まっていたと門番のパパに話した。


 その話をパパがくわしく聞くと。その魔物は生徒の魔法訓練用に、王都の学園へ運ぶと門番に話していたそうだ。

 檻が門を通るとき、捕まった魔物の犬が『おれっちは魔王サタナス様の部下、四天王の魔犬ヌヌだ!』と鳴いたと話した。

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