表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
野草から始まる異世界スローライフ  作者: にのまえ
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/171

第二十話

 早朝、庭でアール君とホウキに乗る訓練を始めた。


「アール君、見ていて」

「エルバ様、お気を付けて」


 ママに乗り方を習って、竹ぼうきに乗る練習を始めてから、一ヶ月は経っている。


 はじめのうちは魔力のコントロールが上手くいかず。雲よりも高く飛び、ほうきだけ飛ぶ、などのハプニングもあったけど。


(どうにか、さまになってきたんじゃないかな?)


 もう少し上手く魔力を操れる様になれば、ホウキでエルブ原っぱまで、五分もかからずに飛んで行ける。そして、いつの日かアール君と旅に出て、外の世界を見てまわりたい。


 まあ、パパとママが許してくれたらだけど。

 


「アール君、どう? ホウキに乗れてる?」

 


 庭でバランスをとりながら、ホウキに乗りフワフワ浮いていた。


「そうですね。まだ、僕の補助が必要ですが。はじめの頃よりは魔力が安定してきましたね。いまなら魔法を使っても前の様に暴発しないでしょう……しかし、エルバ様の気持ち次第で、魔法の威力が変わるかもしれませんが」


「気持ち次第……そうだよね」


(私がホウキに乗る、魔法を使うときは、常にアール君の補助付き、彼に助けてもらっている)


 どうしても魔法を使うときに興奮、緊張と焦りがでてしまい、魔法を暴発させてしまう。……いまから、私が魔法を使うぞ! と思うだけで気分があがる。


 それを抑えれば、なんとかなのだけど。

 まだ、気持ちの高ぶりの方が勝つ。


「……ハァ、訓練がまだまだ必要だね」


 魔力をけし、ホウキから降りる。


「でしたら、エルバ様が魔法を使わなくてもいいよう、僕が頑張ります」


「えーそれは助かるけど……私も魔法を使いたい」

 

「なら、訓練あるのみです」

「わかった、がんばる!」


 アール君にみてもらいながら、そのあともほうきに乗った。しばらくして、魔力はきれていないけど……私の集中力がきれ、ホウキが安定しなくなる。


 それの様子を見て、アール君に止められた。


「エルバ様、集中力が切れて魔力が乱れています。ストップしてください」


 と、アール君の声の後に、ホウキと一緒にストンと庭に尻餅をついた。魔力切れならぬ、集中力切れ……お尻を叩きながら、立ち上がり深呼吸した。

 

「ふうっ……疲れた。アール君、訓練前に冷やし庫に冷やしておいた、シュワシュワ飲みに行こう!」

 

「ええ、行きましょう。ママ様が作った甘イチゴンのジャムをいれた、シュワシュワが飲みたいです」

 

「イチゴンのジャム入りシュワシュワかぁ、いいね」

 

 イチゴンのジャムを入れると――シュワシュワがほんのり赤く染まり、甘くて美味しくなる。このイチゴンもママが温室で栽培したものだから、博士からタネは貰えていない。

 

 好物のミカン、桃、ブドウなどの果物を見つけたい。








 

「ねぇ、アール君、午後は書庫で本を読む?」

「いいですね、そうしましょう」


 ホウキを庭の魔導具入れに片付けて、休憩をしにアール君と家に戻ると、ママが調合室から血相を変えて玄関まで飛んできた。


「ママ、何かあったの?」

 

「エルバ、アール君、悪いのだけど……キリ草をエルブの原っぱから、採ってきて欲しいの」


(キリ草?)


 確か、魔法水と混ぜれば傷薬になる薬草だ。ママのこの慌てようは、ただことではない。


「ママ、キリ草はどれくらい、いるの?」


「今、他の人にも頼んでいるのだけど……なかなか集まらないの。エルブ原っぱに生えているだけ欲しいわ」


(原っぱに生えているだけ?)


「わかった、出来るだけたくさんのキリ草がいるんだね」


 キリ草は発見済みだから、エルブの原っぱに行かなくても採取できる……でも、エルバの畑から採取すれば『きっと』ママとアール君は驚くだろう。


(どうする?)


「2人とも気をつけて行くのよ。アール君、エルバをお願いね」


「かしこまりました。さあ、エルバ様、向かいましょう」


「…………」


 たくさんのキリ草がいるということは、怪我人が大勢でたんだ。


(迷ってなんかいられない!)


「ママ、アール君、エルブ原っぱに行かなくても大丈夫だよ。いまから、キリ草をだすね!『【エルバの畑オープン】』」


「え? エルバの畑?」

「エルバ様の畑?」


 目の前に自分だけが見える、エルバの畑の画面をだして、キリ草を何度かタップした。すると一束にまとまった、キリ草が目の前に"ポフッ"と現れる。

 

「これで一束か……ママ、あと、どれくらいのキリ草がいるの?」


「……あと、二十束もあれば助かるわ」


 二十束か……その数だと少し時間がかかる。

 博士、畑いっぱいにキリ草を生やしたいのだけど、どうすればいい?


《空いている畑にキリ草のタネを植え。キリ草をタップしたままスライドしてください》

 

 空いている畑、スライド? わかった。

 キリ草のタネを頂戴。


《かしこまりました。エルバ様、キリ草のタネです》


 博士から種をもらい。教えてくれたと通り新しいページまでめくり、貰った畑にキリ草のタネを植えて、タップしたままスライドさせた。


 畑にポンポン、キリ草の新芽が生える。


(おお畑一面にキリ草が生えた! この数なら、一気にキリ草を集められる)


 博士ありがとう。


 エルバの畑に生えたキリ草を、つぎつき画面を押して採取した。私の前に採取された、キリ草がポンポンと束になって現れる。

 

その様子をみていたママ、アール君。


「エルバ様、凄い」

「エルバ、あなた……」


「ママ、説明は後――このキリ草を使って、手伝えることがあれば手伝うから」


 エルバの畑で採れた、二十束のキリ草をママに渡した。


「あ、ありがとう……エルバは調合室で空いている水瓶に水魔法で魔法水を出して、その間に私はキリ草をすり潰すわ」


「ママ様。キリ草をすり潰す、手伝いを致します」

「アール君、ありがとう。エルバ、頼んだわよ」


「まかせて!」


 私達は調合室に向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ