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野草から始まる異世界スローライフ  作者: にのまえ
第二章

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第四十八話

「ユール殿、拙者をここまで送ってくださり、ありがとうでござった。拙者の住処はユール殿の家として使ってくだされ」


 ピィ――!!!


「寂しいか――ユール殿、これでさらばではござらぬ。また会いに行くか、拙者のところへ会いに来てくだされ」


 ピピー!


 ラッテさんはみんなの前に降りて、乗ってきた大鷹に抱きつきお礼を言った。大鷹――ユールも挨拶をして飛び去っていった。


「城主、アール殿、寝床で旅立つ準備をしてきたでござる」


 そう言ったラッテさんは背中に、小さな肩掛けカバンを背負っていた。


「よく来たな、今から飯を食べようと思っている。ラッテも一緒に食べよう」


「ありがたき幸せ。ぬぬぬ⁉︎ これはパワー殿、アビス姫ではござらぬか? お懐かしいですな」


 そこにアビス君の家を片付けてきた、パワー様とアビス君もちょうど戻ってきた。サタ様とアール君のそばにいる、ラッテさんを見つけて近寄った。

 

「おお、ラッテじゃないか! 相変わらずだな。いや、会わないうちに……また強くなった。ところで相方のユキはいないのか?」


「これはパワー殿、お久しぶりでございます。ユキは100年前に旅に出たきりでござる」


「そうか……ユキなら、この大地のどこかで楽しくやっているな」


 パワー様の言葉にラッテさんは「はい」頷いた。

 

「そう、だと思うけど。アビはユキにも会いたかった」

「これはアビス姫。焦らなくてもいつか、ユキに会えると思うでござる」


「うん、そうだね」

 

 今、ここに――サタ様、アール君、パワー様、アビス君とラッテさんと、私がいる。


 うーん、この人数だと3合のコメじゃたらないかな?

 そうだ、コメ2合が炊けるメスティンでも、炊いたほうがいいかも。その前に出来上がった料理を、アイテムボックスから取り出したテーブルに並べた。


「カマドの鍋にスープで、こっちのメスティンにコメが炊けていますので、このシェラカップによそって食べてください。数が足りなかったら、このお皿も使ってください!」


「「ありがとう!」」


「コメとは初めて聞く食べ物でござるな。拙者はこの茶碗によそうでござる」


「美味しそう! アビはこのお皿で食べる」

「いい香りだ、どのような味か楽しみだ」


 パワー様はシェラカップを取り、アビス君は自分のお花の模様のお皿? で、ラッテさんは持ってきた小さなカバンを漁り、自分よりも大きな陶器の茶碗を取り出した。

 おお、そのラッテさんのカバンはマジックバッグだ……見た目は小さいカバンだけ容量は大きそう。


 もしかすると、アビス君のお花の手提げカバンもマジックバッグだったりして……どうりで手荷物が少ないと思った。


「なくても美味しいと思うけど……焼きたての焼き魚と干物焼きたに、ダイダイコンのおろしにムラサキをかけて食べてみてください」


 みんなが「わかった!」食べ始めたのを見て、私はコメ草を収穫した。さてと袋にコメを取り出して炊こう、足りなくなったら次は鍋かな?


「エルバ、ワタシも手伝おう」

「ありがとう、サタ様」


 サタ様がきて、2人になったのでもう少しコメ草を収穫して。メスティンはポケットストーブでほったらかし炊飯、鍋はカマドにかけた。みんながいるテーブルに向かい、焼きたての干物を一口食べる。


 おお!


 味は前世とは違うけど、久しぶりのお魚は最高! 干してあるからか、うま味が凝縮していてこのままでも美味しい。塩焼きは油が乗っていて美味しい!


 干物を初めて食べるみんなはと見ると、骨から身を外さず手づかみで、頭から骨ごとバリバリ音を立てて食べていた。


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