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野草から始まる異世界スローライフ  作者: にのまえ
第二章

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第四十一話

「エルバ、行くぞ」

「うん、今行く……ん! サタ様、少し待って」


 近くに見えた、あの赤い勾玉の形はもしや!


 博士、食べられる?


《はい、野生のママンゴーという果物です。 高さ10~20m以上になる常緑高木に実ります》


 ママンゴー、マンゴー! フルーツの王様だ。

 効能は?


《その実を乾燥させますと、美肌効果、腸内環境を整える効果あり》


 おお! タネを頂戴。


《かしこまりました》

 

 博士に、タネを貰って畑に植えた。

 ありがとう、博士。


 これで、いつでもママンゴーが畑で採れるから。

 ママンゴーシャーベット、完熟したママンゴーが食べられる。乾燥させてドライフルーツにしてもいいし、シュワシュワに入れても絶対に美味しいだろう。


 みんなにお礼と、終わったと伝えようとしたけど。ソーロ君とパワー様、サタ様、アール君に囲まれて……ガン見されていた。


「サタナス、エルバとやらは中々面白い能力を持っているな」


 ウンウンと、黒キツネのソーロ君も頷く。


「そうだろう。今見ていたエルバの畑はなかなか良いぞ。エルバがこれまでに見つけた、いろんな種類の薬草、毒草、食物が植えられている」


「その畑から収穫できるんです」


「なんと、そのような能力を見たものは……いまの今までない。エルバ、その能力を大切に使うと良いぞ」


「はい、パワー様」



 ❀



 ソーロ君の案内でコーサックの森の中を歩き、壁に出来た大きな洞窟の前までやってきた。

 

「ここがボクの家です。中に家族がいます」


 案内しますと、中に入っていくソーロ君な後に続いた。

 この洞窟の中は広くキッチン、トイレといった部屋がいくつもあり。奥の広い部屋には家具、ランタン、ベッドが並べて置かれていた。


 そこにソーロ君の家族なのだろう、黒キツネと小狐達がうなされ寝ていた。ベッドの側にあるテーブルの上に水差しと一緒に置かれたカゴ。その中に長さが10センチくらいの大きさで、細長い緑色の幾つもの葉を付けた、茎の部分が紫色と白い薬草が入っていた。


 ――あの紫って、あれよね。


 私が子供の頃、紫色の斑点をつけて家に帰って、ママとパパに怒らる原因となった――コルチじゃない? でも、茎が白く、コルチと似たような薬草もある。


 博士、これって


《エルバ様、紫色の茎の草は毒草のコルチですが。白い茎はフランと言い乾燥させてお茶にしたり、料理の色付けに使われる薬草です》


 2つとも茎の色が違うだけで、似ていた。

 まさか、似ているから間違えて採取してしまった……ありうる。


「ソーロ君、テーブルの上の薬草は何に使っているの?」

「これですが? これはフランと言って、乾燥させてお茶にして飲むんです。体にいいんですよ」


 私は紫色の茎のコルチと、白い茎のフランを手に取った。そしてコルチの方をかじった。


 にがっ……この味だ。


 その行動と体に浮かぶ紫の斑点に、いままで黙っていたサタ様とアール君が気付く。


「エルバ、今食べた草は毒草だな」

「毒草? その紫色の斑点……ママ様に聞いたことがあります。ボクと知り合う前、エルバ様が紫色の斑点をつけて帰ったきたことがあると……まさか、その薬草がそうなのですか?」


 苦さで口が開かず、コクコク頷いた。


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