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普段大人しい人ほどキレた時が怖い

 対委員会においての今後の方針としては、おおむねWSOとインターフェイサーが連携し、それぞれが俺の身の回りで活動することをもって対応策とすることが決まった。

 ヴァールとシャーリヒッタ。揃ってシステム領域が誇る大物精霊知能が共同してことにあたるのだ。彼女らの指揮の下で多種多様な実力者達が動いてくれるようなので、こと俺の周辺の安全という点についてはもう、ほとんどなんの心配もいらないと言っていいよね。

 

「とはいえ頼りっぱなしも良くないし、俺もできることはないか探してやっては見るけど。2人も、俺の力が必要ならいつでも言ってくれ。できる限りのことはするからさ」

「リーベちゃんもお手伝いしますよー! 生意気にも公平さんをつけ狙ってる連中がいるなら、矛先はリーベちゃんはおろか山形家のみなさんにも向けられるわけですからねー! 返り討ちにしてやりますよー!!」


 まあ、とはいえ2人が組織ぐるみで動いていてくれるからこれで安泰だ、左団扇だわっはっは……と油断していると足元を掬われかねない不安はある。

 連中は何をしでかしてくるかわからないからね。そんなわけでできることは手伝うよーって言うと、リーベも同調して気炎を吐いてくれた。


 うちの家族や周辺の人達に手を出そうものなら、悪いけど因果操作をフルに駆使して解決させてもらう。

 そうでなくとも平和を護るために戦う人達の手助けを、させてもらえる機会があるならこの力を振るうことに躊躇はないんだ。

 ヴァールもシャーリヒッタもそんな俺達の気持ちが伝わったようで、力強い笑みとともに頷き応えてくれた。


「その言葉だけでも百人力だ、コマンドプロンプト。ただでさえあなたには世話になりっぱなしなのだからここは恩返しとさせてもらいたい。頼るべき時は頼らせてもらうが基本、大船に乗ったつもりで構えていてくれ」

「オレとしても基本、父様の手を煩わせることなく連中を始末できるように努めるぜ! ああ、でもインターフェイサーのメンバーは都度紹介したいと思ってるから、どうか一言二言でもお声掛けしてやってもらえると励みになりますからよろしくです!」

 

 なんとも頼りになるコンビだよ。俺も頷き、いつか来るだろう委員会、概念存在襲来に備えて意識を整えるのだった。

 

 かくして議題の1つ目、委員会への対策についてはそれなりの地点に着地したわけだけれど。まだあと2つ、話すべきことは残っている。

 ダンジョン聖教過激派についてと、サークルについて。両者は組んで動いているっぽいのでひとまとめに話しても良いんだけど。それをするには一点、大きなノイズが過激派の中に混じっていた。

 

 先代聖女アンドヴァリ──本名アレクサンドラ・ハイネン。アンドヴァリという名前は彼女自身が聖女となる際、探査者としての名義として付けたものらしい。

 取り調べの結果、聖女になる前から委員会との繋がりがあることが判明した真っ黒な人である。


 彼女の主張によって過激派はおろか、倶楽部までもが組織されたらしいという驚愕の事実が今回、明るみになった。

 つまりは倶楽部案件における元凶とも言える女性であり、それゆえに単独で議題に挙げなければならないほどの重要性が生まれてしまったのだ。

 

「まさか……という感じではある、正直な。聖女時代のアンドヴァリとはワタシも何度も会合してきたが、委員会と繋がりがあったなどと気づきもしなかった。不覚だ」

「私もアンドヴァリくんとは一度、彼女が聖女になる際に会いましたね。16年前だったかな? あの時はいかにも清廉潔白、純真無垢な聖女様感出てたんですけどハッハッハー、腹の中は真っ黒でしたね」

 

 以前よりアンドヴァリと面識があるというヴァールやエリスさんも、今回発覚した真実には面食らうところがあるようだ。

 俺でさえ驚いてるんだし、当然だよなあ。正直、過激派については目的のために倶楽部やサークルと行動をともにしているだけの、呉越同舟くらいの関係かと思っていたのに。


 蓋を開けてみれば、まず過激派があってそこから倶楽部が生まれました。サークルに至ってはそもそもラインが違う別系統の組織でした──なんて、予想外も良いところだ。

 先々代聖女、すなわちアンドヴァリさんに聖女の称号を継承した当人である神谷さんを見る。一時完全に狼狽して顔を真っ青にしていた彼女だけれど、今はむしろ激昂を抑えるかのように顔を真っ赤にして、怒りの形相を露わにしている。

 

「アンドヴァリ……! よくも聖女を、ダンジョン聖教を隠れ蓑にぬけぬけと今まで……!!」

「怖ぁ……」

「落ち着きなよ神谷、そんな顔真っ赤にして血管切れたらどうすんだい。ファファファ! こないだ血圧気にしてたろうに」

 

 ガチギレしてて怖すぎるんだけど、というかいつもの穏やかな顔つきがなんか鬼みたいになっててビックリする。

 まあ神谷さんっていうかダンジョン聖教がマジでアンドヴァリの真実を知らなかったんなら、こうなるのも分かる話ではある。まるっきり組織ごと利用されてたと言っても過言じゃない状況なわけだからね。

 

 ただそれはそれとしてブチギレ過ぎである。サウダーデさんやベナウィさんまでもがえぇ……? みたいな感じで激怒する神谷さんを遠巻きに見てるし。

 先輩筋にあたるマリーさんが茶目っ気めかして諌め、そこでようやく彼女の怒りが一旦静まりを見せた。ふう、ふうと肩で深く息をして、やがて落ち着いたところで恥じらいを見せつつ笑っていった。

 

「し、失礼しました。つい……怒りのあまり、お見苦しいところをお見せしてしまい」

「久々に見たな、今の激昂ぶり……普段は大人しいお前だが、怒りが一定量を超えると途端に形相が変わるのだったか」

「普段物静かな人ほど、怒った時はヤバいんだよね。いやぶっちゃけ超怖かった、ハッハッハー」

「も、申しわけありません……!」

 

 懐かしむヴァールに面白がるエリスさん。あきらかなからかいに神谷さんも先程とは別の意味で顔が真っ赤だ。

 昔から平時はたおやかに微笑んでるタイプの、いかにも聖女って感じの人だったようだけどひとたび怒るとああなっていたみたいだ。


 いるよね、いつもは大人しいけど一度スイッチが入るとめちゃくちゃ怖くなる人。

 神谷さんはどうやらその手のタイプの人らしかった。

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― 新着の感想 ―
怒りが一定量を超えると形相が変わるって大魔神かな?
[一言] 怒り心頭ってそりゃ自分の生涯を掛けて支え尽くしてきた信仰を足蹴にされたんですもんね。 しかも入信前から邪悪思想の狂信者だったわけだから、アンドヴァリはまさに確信犯として聖教に入ってきて聖女に…
[一言] つまり……鬼麿顔になっていた、ってコト!? え?鬼麿顔が分からない?〝ガッシュ 鬼麿〟で検索すると出るよ
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