ゲームだったら移動可能範囲に"システム領域"が追加されそうなイベント
「ヌツェンについてはともかくとして。インターフェイサーなる組織は我々WSOとともに連携してことにあたると、そういう認識で良いのだなシャーリヒッタ」
「ああ、それで構わねえぜ。たださっきも言ったがまだメンバー集めの段階だ、悪いけどサークルだの過激派だのとやり合うのには間に合うか分からねえ。オレが受肉した都合、父様の周辺の護衛には多少役立てると思うけどな」
ヴァールの確認に、シャーリヒッタは頭を掻いて申しわけなさそうに言った。インターフェイサーが発足した場合、WSOとは事実上、協力関係を結ぶみたいだ。
まあどちらの組織もトップが精霊知能、それも姉妹ってくらい近しい存在だからな。現世秩序を護るという目的も一致しているのだから、連携しない理由もなかなか見つからないだろう。
ただ、とはいえ一朝一夕でそんな組織、出来上がるはずがないわけなのでやはり時間はかかると言う。できて俺の周囲を警戒し、何かあれば対応するくらいだ、とも。
返答を受けてヴァールは気にするなと答えた。次いで、俺達みんなに向かって告げる。
「聞いての通りで、直近こそ影響は少ないが……システム領域も本格的にこちらに加勢してくれる。首都圏での戦いはともかく山形公平の身の回りの護衛については、現時点でもある程度頼りにはなるだろう。それだけでも助かる話だ」
「未だ姿も形も見せぬ敵が、あるいは今も公平殿の周囲を探り、その安寧を乱そうとしているかもしれない。それを考えると、身の回りの警戒をしてくれる者は多ければ多いほど良いのでしょうね」
「おうよ、サウダーデ・風間! さすがに分かってんじゃねえか。今もうすでにスカウトしてる精霊知能達は、この地域一帯に監視の目を張り始めてるぜ!」
「ファファファ、仕事が早いねえ」
ワールドプロセッサの補佐役として500年、バリバリやってきた手腕ということだろうか。
インターフェイサー発足に向けてスカウトしたメンバーをすでに監視任務に就かせているなど、とにかく行動が早いシャーリヒッタに、マリーさんが愉快そうに笑みをこぼした。
俺が天罰とやらの対象にされてるかもしれない以上、連中は何をしてくるかも分からない。俺に直接仕掛けるのは無理筋と認識して、あるいは俺の周囲、家族や友人知人に手を向けるかもしれないからね。
WSOが全力でそのへんをカバーしてくれるみたいでとても心強かったけど、そこに加えてシステム側までもが目を光らせてくれるのだ。ありがたいったらないよ。
──と、ステータス更新だ。
称号変化だな、ワールドプロセッサからのお気持ち表明かぁ。
小声でステータスとつぶやき、俺は新着メッセージを確認した。
名前 山形公平 レベル967
称号 試練ならざる理不尽を、糺すは理の担い手達なり
スキル
名称 風さえ吹かない荒野を行くよ
名称 救いを求める魂よ、光と共に風は来た
名称 誰もが安らげる世界のために
名称 風浄祓魔/邪業断滅
名称 ALWAYS CLEAR/澄み渡る空の下で
名称 よみがえる風と大地の上で
名称 目に見えずとも、たしかにそこにあるもの
名称 清けき熱の涼やかに、照らす光の影法師
名称 あまねく命の明日のために
名称 風よ、遥かなる大地に吼えよ/PROTO CALLING
名称 神魔終焉結界─天地開闢ノ陣─
称号 試練ならざる理不尽を、糺すは理の担い手達なり
解説 理を乱す災害は、理の手によって裁かれるであろう
効果 なし
《称号『試練ならざる理不尽を、糺すは理の担い手達なり』の世界初獲得を確認しました》
《初獲得ボーナス付与承認。すべての基礎能力に一段階の引き上げが行われます》
《……これに伴い私からも話があります。次なる戦いへ赴く前に、一度、あなたが本来座すべき処へとお戻りください》
ふむ……まさかの一旦帰ってこいメールとは。ワールドプロセッサ直々の言葉に、俺は少しばかり目を細めて考えた。
本来座すべき処、すなわちシステム領域への帰還。こないだ称号効果で正規通行手形とも言うべきものを授かってはいたから、そのうち一度帰省しないとなーとは思っていたんだけど……どうものんびりした話ばかりとはいかなさそうな気配がするな。
口ぶりからしてインターフェイサー発足の話にも絡んでそうな感じはする。つまりはやらかしている概念存在、すなわち委員会周りに関係しているかもしれないってことだ。
そうでなくとも隠しごと、というか一人で案件抱え込みがちなワールドプロセッサだったけど、再三そういうのやめろって! と言われていよいよ周りを頼るようになってきたのかもしれないな。
俺は挙手をしてみんなに、特にシャーリヒッタに報告するように今しがたの称号変化、そしてワールドプロセッサからのメッセージについて話した。
そもそもそんな頻繁に称号が変化してるんだ!? とエリスさんや葵さんは盛大に驚いていたわけだけど、ある程度分かっていた我らが伝道師さんはムフーッと鼻息荒くしてドヤ顔しながら悦に浸っているね。怖ぁ……
「我らが救世主様はまさしく理そのものとも言うべき御方。世界維持機構たるワールドプロセッサとも頻繁に交信しているのですね! どうです信仰したくなってきたでしょう、みなさん!」
「オレはとっくに使徒、いやその前に娘だけどなー……にしてもワールドプロセッサ、父様になんの話なんだろう? オレにも予想つかねえけど、あの方の隠しごとは今に始まったことじゃねえしな」
「むしろ率先して明かす気になったあたり、進歩が見て取れますねー。ワールドプロセッサも意思を持てば成長するってことなんでしょー、感激、感激!」
何よりワールドプロセッサが自分から他者を頼ろうとしてるっぽい気配を出していることに、若干しみじみしている様子のシャーリヒッタとリーベ。
どんだけだよ……精霊知能にここまで心配されていた事実をあいつはやはり、受け止めたほうがいいと思うね。
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