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なお実際の使徒の序列については諸説分かれます(時系列が入り組んでいるため)

 いけしゃあしゃあと自分を棚に上げるどこぞの邪悪なる思念さんは華麗にスルーして、俺達は全員で別室、ミーティングルームに移動した。

 時刻は12時前。つまりはもうそろそろお昼ご飯時なんだけど、どうも郷田さんのほうでお弁当を用意してくださっているらしく、それをいただいてから取り調べについての話し合いを行うことになったのだ。

 

 そんなわけで広々とした部屋、机と椅子が整然と並べられている好きなところに各々座り、ひとまず昼食と洒落込む。

 海苔弁っぽい中身のご飯やらおかずやらにぱくついてペットボトルのお茶を呑んだりしていると、香苗さんやエリスさんが食事の傍ら、折を見て俺に話しかけてきてくれた。

 

「まったく赦し難い──我らが救世主にして世界の理そのものとも言える山形公平様にあろうことか天罰を差し向けようなどと断じて認められるものではありませんそもそも客観的に見ても罰を下されるべきはどう考えても犯罪行為を多数働いている委員会側でありそれを慈悲深くも止めて人々の安寧世界の秩序真実の正義と愛を守り抜いてくださっている御方に矛先を向けるなどとまさしく逆上と言うしかありません嘆かわしいのはそんな輩どもにダンジョン聖教先代聖女アンドヴァリはじめ少なくない数の人間が与しているということこれはもはや我らが救世の光の教えをもってかの聖女とその一派を伝道し改心に至らしめよりグローバル規模に救世主様のお考え教えお導きを広めるしかないのでしょうダンジョン聖教の教えも人を救うためのものであることは認めますがそれをもってなお救えぬ者がいるならばそれは我々の伝道をもって手を差し伸べるべきだということなのでしょうどうお考えですか初代聖女さん」

「えっ……は、はあ……えーと、ハッハッハー?」

「えぇ……?」

 

 句読点を飛ばしながら俺に話しかけたかと思いきや最終的にはエリスさんに質問を差し向けている! いきなりすぎて対応できてないよ初代聖女様! 怖ぁ……

 そして言ってる内容もよくよく過激というか、事実上ダンジョン聖教のシェア奪うね宣言のように取れなくもない。それをよくエリスさんと神谷さんの前で言えたなと心胆が寒くなる思いなんだけど、まあエリスさんのほうはダンジョン聖教とは直接的な関係は薄いからかなぁ。

 香苗さんの発言を咀嚼して理解して、やがて明朗快活に応えていった。

 

「ハッハッハー、過激派やアンドヴァリくんを伝道したいって言うならしてくれても良いんじゃないかなーってエリスさん、個人的には思うよー」

「えっ」

「し、初代様……それはさすがに……」


 まさかの発言。初代さん自ら先代さんの宗旨変えを認めるような向きに、当然ながら神谷さんが反応した。

 ダンジョン聖教は歴代聖女が神のように崇める初代聖女がそんなことを言うなんて、ある種の裏切りと言うか寝耳に水も良いところなんだろうな。


 俺としてもさすがに笑ってごまかすかな? くらいに考えてたもんだから、この反応は予想外だったよ。

 他の、弁当を突いている仲間達も思わず興味深げにエリスさんを見つめる。当の本人は至ってあっけらかんと、肩をすくめてシニカルに笑って言った。


「ダンジョン聖教にいて悪事を働くんじゃ仕方ないしね。心に拠り所を持つことは良いことだけど、それで他所様に迷惑をかけるんだったらその拠り所がその人には合ってないってことかもしれないし。選択肢としてはアリなんじゃないかなーってね」

「で……ですがさすがにアンドヴァリは……聖女経験者がそのような振る舞いをするというのは、そのぅ」

「それを言うなら何を隠そう、このエリスさんだって香苗さん的には救世の光の使徒さんだよ。えーと何号だっけ?」

「5番目ですね! 古い方から順に使徒宥、使徒リーベ、使徒ヴァール、使徒天乃ときて使徒エリスです! 使徒シャーリヒッタや使徒ヌツェンなど、そこから後も随時追加されていますのでよろしくお願いいたします!」

「怖ぁ……」

 

 何をどうよろしくお願いされると言うんだ。伝道キメちゃった人達リストみたいなもんじゃないか。

 なんならヴァール、お前は何をしたり顔でエリスさんを見てる。お前も使徒か心強いぞ、みたいな顔してんじゃないよ。

 

「ワタシにエリスとくれば……マリアベールはどうなのだ?」

「ファファファ! 私ゃ公平ちゃんを神聖視なんざしませんよ……というかノリノリですねぇ、ヴァールさん」

「…………いや、別に。そこの自称娘のほうがよほど乗り気に思えるが?」

「オレも使徒かぁ。最初はどうかと思ったが救世主の娘にして使徒、ってのもなんだ、特別感あって良いかもなあ? 父様の偉大さを人々に伝えるってのも悪くはねぇし」

 

 そっぽを向いてシャーリヒッタを揶揄するヴァールだけど正直説得力はない。しれっとマリーさんまで使徒扱いさせようとしたりと、どう考えてもそこそこノリノリだ。

 意外と茶目っ気強いんだよねこの子……そのへん、おしとやかだけど遊び心の強いソフィアさんの影響を多分に受けている気もするな。

 

 そしてシャーリヒッタちゃん。君はもはやすごいね、なんか。娘の上に使徒まで冠するとかあと一個、何かしらの肩書を獲得したら三冠王じゃん。

 というか百歩譲って使徒は良いにしても、頼むから娘がどうのは吹聴しないでほしい。あくまで身内ノリに近いものであって、お外に出したら大問題になっちゃうから!

 この身空で社会的に終わりたくないよ、怖ぁ……

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― 新着の感想 ―
[一言] 娘、使徒……嫁?もしくは愛人? 1号とか2号とかも愛人の序列なのかも。 そうなると号数付かなかった香苗さんが正妻か。 って、てっきり取調室なんだからカツ丼が出てくると期待してたのに
[一言] 倶楽部関連のあれそれが終わったら、救世の光がグローバル教団になっている可能性があるのか……怖ぁ
[一言] 社会的な死?……手遅れじゃないですかね? あと山形君、のんびり構えてるけどこの後娘を連れて家に帰ることになるの忘れてないですかね? 帰る時に誰か知り合いに会った時点で拡散待ったなしなの忘れて…
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