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攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─  作者: てんたくろー
本編

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94/1844

後の宗教法人「救世の光」の始まりである

 バイキング、最高でした。

 用意された料理の大半にトライしては舌鼓を打ち、最終的に俺は、腹がパンパンになるまで美食を堪能して食事を終えた。

 

「ごちそう様でした! 美味しかったですね、望月さん」

「はい! ごちそう様でした、最高でしたね」

 

 サラダ中心だったが望月さんも満足げだ。それもそうか、野菜まで美味しかったしな。

 個人的に野菜まで新鮮で美味しいバイキングって中々、お目にかかれない気がする。さすがは良いとこのホテルだなあ。

 

 食事を終えて途方も無い満足感と余韻の中、ホールを出る。あちこちで似たような様子の人たちがいて、みんな大満足だったんだなって感じる。

 と、そこに見知った顔がいた。俺と望月さんに気付いてやって来る。望月さんの弟子、逢坂さんだ。

 

「公平さん、望月さん。こんにちは、お二人でお食事をされてたんですね」

「ええ、そうなの。とても楽しかったわ」

 

 とてとてと駆けてきた。こらこら運動苦手なんでしょ、転ぶよ?

 見れば他、仲間らしき三人も寄ってきた。男二人女二人。まあスタンダードなパーティって感じな気がする。まあソロ専門の俺からすると、人数って概念がある時点でスタンダードなんですけどね。

 笑顔で応じる望月さんに続いて俺も、にこやかに対応する。

 

「望月さんと一緒だし、美味しい料理がたくさんだったからね。逢坂さんも、組んだ人たちと料理を?」

「はい。こちらの三人と、もう一組、先輩探査者の方々と」

 

 他にもいるのか? 逢坂さんの指差す方を見る。

 ……関口くんじゃ〜ん。たしかに3年目の先輩さんだけどさぁ。

 

「やあ逢坂さん、みんな。それに……望月宥さん! 光栄だなあ、こんなところで会えるなんて。初めまして関口と言います。今年で探査者歴3年目のD級で、一応スキル《勇者》を持ってます」

「はあ。望月です」

「同じD級同士、仲良くしましょう……うん? 山田くんもいたのか」

「山形ですけど」

 

 懐かしいな、このやり取り。いや嬉しくもなんともないが。

 あくまで俺の名前を正しく言うつもりはないみたいだ。こうまで嫌われるのは、さすがにちょっとショックだけど……まあ仕方ない。こっちも別に、大して好きな相手でもないしな。

 

 俺のことは無視して関口くんは色々喋る。曰く、望月さんのことは動画チャンネルでよく見ていた。ダンジョンについて独特の視点から意見や感想を述べる様が興味深いと。

 もっと言えば、一度ぜひダンジョン探査配信に参加したいとまで言っている。なんていうか、美女にお近付きになりたいのと有名配信者にキャリーして人気者になりたいのとで、ダブルで欲目がすごい。

 

 自己顕示欲ヤバぁ……名を売ってチヤホヤされたいんだろうなって感じがするのは、俺が色眼鏡掛けちゃってるんだろうか?

 対して望月さんが無表情に、反応が薄いのが悲しいというか怖い。え、めっちゃ冷たぁ。

 

「どうです、望月さん? ぜひとも一度、この関口を探査配信に参加させてくださいよ」

「あ、お断りしますね。あの動画チャンネルを継続して見ていれば分かるはずですが、あくまで気心の知れた仲間内での配信ですので。急にやって来てそんな要求をしてくる方はちょっと」

 

 それに、と。

 望月さんは俺を見て、花が咲くような笑顔を浮かべた。

 

「もしも外部からゲストを呼ぶとするならば、やはり公平様に来ていただけたらなと思いますもの。御堂さんの救世主チャンネルとのコラボ、想像しただけでもワクワクしちゃいます!」

「えっ……え、いや、はい?」

「御堂さんには既に打診済みですから、近々話がいくと思います。前向きに検討してもらえると嬉しいですね」

「打診済み!? いや、聞いてな、怖ぁ!?」

 

 本人──と言っていいかは分からないが。

 少なくとも例の宗教チャンネルで、配信している動画におけるメイン探査者の俺が、何も知らないままに水面下でコラボ企画が進行している。どういう……ことだ……

 というか望月さん、たしかに最近あなたの動画はだいぶ、香苗さんに影響されてるけれど。本格的にコラボとかしたらもう、後戻りできなくならないですかね?

 

 そもそも今、自分で言ってたけど身内でワイワイやってる動画に、外部から救世主扱いで俺がやって来たってどっちらけ。最悪、炎上することうけあいだ。

 そこんとこどう思ってるのか……疑問を抱く俺に、望月さんは続けて言う。

 

「救世主様について語る動画も段々と人気が出てきています。今こそ公平様にご出演いただければ嬉しいですねっ」

「お、俺が出て何を話せと」

「思うところを好きに語ってくだされれば良いんですよ! それだけで私たち信徒はみんな、救いを得られるんですから!」

「信徒って何!?」

「も、望月さん……?」

 

 本格的に集団化してませんか!?

 関口くんがドン引きして後ずさりしている。気持ちはまあ、分かるよ。

 というか逢坂さん含めた周囲の人たち、なんで苦笑しつつも頷いてるんだ、そういうの止めよう? それとも、もしかして君たちも信徒ってやつだったり?

 怖ぁ……

この話を投稿した時点で

ローファンタジー日間2位、週間、月間1位、四半期3位

総合日間18位、週間10位、月間5位

それぞれ頂戴しております

本当にありがとうございます

また、総合評価が50000pt突破しました

併せてありがとうございます

引き続きブックマーク登録と評価の方よろしくおねがいします

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― 新着の感想 ―
[良い点] サブタイトルの時点で「こわぁ」
[一言] 主人公のことが大嫌いで真っ先に洗脳疑ってかかりそうな関口君ですら、素直にドン引きさせる狂信者たちの圧すごい
[一言] そのうち毒物事件起こしそうなレベルの信仰心だなぁ…(不謹慎)
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