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実際問題、あちこちに武器が転がってたって邪魔っけなだけではないだろうか

 今からアメさんに覚えてもらう新スキル《武装化顕現》。これは《召喚》を覚えてからでなければ修得できない派生スキルであり、召喚系スキルのご多分に漏れずいくつかの特殊ルールが存在している。

 一度に呼び出せる武器の数だとか、あと武器の力を引き出す基準だとかね。その辺を俺は、一同に話していった。

 

「《武装化顕現》によって一度武器化できたモノについては、《召喚》のように毎回呼び出したいモノの条件を参照する必要はありません。条件の数や内容を問わず、いつでもどこでも呼び出せます」

「そこは元のスキルよりも便利なのですね。とはいえそもそも武器化に漕ぎ着けるのが至難の業なのでしたか」

『武器として使われるだけなど、普通の概念存在であれば拒む話であるからな。逆に言えば、武器化されても良いと一度でも認めたならば以後も協力するのが概念存在だがな』

 

 香苗さんのつぶやきにネムレスが答えた。そう、そもそも武器化に成功するってのが相当ハードルが高いからね。

 こればかりは条件を満たせばできるとかでなく、概念存在の協力を仰ぐことができるか否かにかかっているのだ。そしてプライドの高い概念存在が自らを単なる道具に成り下がらせることなど、よほどでない限りはあり得る話ではない。

 

 だからこそ逆に、一度でも武器化に成功できたならば以後は大した制限もなく呼び出すことができるのだ。

 毎回大変な労力をかけて呼び出してたんじゃ、本気でなんの役にも立たないスキルだからね。最初の壁、特大のハードルを一つ乗り越えれば後は使い勝手がいいという、ほどほどのハードルが毎回用意されている《召喚》とはまた異なるタイプのスキル。

 それが《武装化顕現》と言えた。

 

「一度に呼び出せる武器の数は使用者のレベルを参照します。概ね10レベルごとに1つ、追加で呼び出せることになりますね」

「今、私のレベルは16ですから……ええと、2つ? 同時に呼び出せるということでしょうか、先生」

「そうなりますね。初期状態、最低可能呼び出し数の1つに加え、レベルが10を超えているのでもう一つと」

「……今はともかく今後、アメ姉のレベルが上がっていったらすごいことになりますよね、それ」

 

 呼び出せる武器の数も、一個で固定というわけでなく探査者のレベルに応じて一つ、また一つと増えていく。

 ガムちゃんが思わず顔を引きつらせたけど、言う通りでこのスキル、うまいことやればゆくゆくはものすごい数の武器を大量召喚できちゃうんだよね。


 もっともそれだけの数、概念存在達の許しを得なければならないわけなので言うほど派手なことができる保証なんてないけど、と補足する。

 それでも秘めたポテンシャル自体は輝かしいものに聞こえたようで、ガムちゃんは瞳を煌めかせて笑っていた。

 

「無数の武器を同時発現……!! アニメとか漫画によくあるアレをアメ姉も再現できる可能性があるってことですね!!」

「えっ。あー、まあ、なくはないかもだけど……別にアメさんの意志で自由に動くとかではないから、あたり一面に武器が放り捨てられてるだけの、散らかった光景が出来上がると思うよ」

「せめて辺り一面に無数の武器が刺さってるとかって光景になりませんか!? こう、覇王忍者として派手な演出を求めたいんですけど!」

「そう言われましても……邪魔だし、そんなの……」

『使いもしない武器があちこちにぶっ刺さってたって、ねー』

 

 何やら中二心を盛大にくすぐられたのか盛り上がってる様子の彼女には悪いけど、仮にたくさん武器を呼び出したとしてもそれを使う人がいないならむしろ邪魔なだけではある。

 使用者の思念に応じて自在に動けば良かったかもだけど、そういうのは《念動力》の領分だ。つまりエリスさんやランレイさんなら成長後のアメさんと相性がいい可能性もあるけど、あの二人はあの二人ですでに相方がいるからなあ。

 

 ムメと俺とで頭をかきながらガムちゃんに現実的なところを述べる。ロマンというか邪気眼派な少女は、やがてそっと項垂れ心底からガッカリだと肩を落としていた。

 ちょっぴり気の毒だと思いながらも、話を続ける。

 

「ま、量についてはゆくゆくの可能性って程度の話で。今はむしろ質……呼び出した武器の強さについてが重要でしょう」

「たしか、元となる存在の魂の格によって決まるんですよね? だから始原さん達の武器は、滅茶苦茶強いことになるとか?」

「ですね。強さや能力についてはともかくこいつらは、魂だけなら最高神以上の格がありますから。それを元にして生まれる武器なんかもう、最強インチキ超絶チートですよ」

『えっ』

『そ、そこまでハードルを上げられても困るんだが……』

 

 チョコさんの確認に答えつつ説明する俺の言葉に、ネムレスとゴンベが戸惑いの声を上げた。急にハードルを上げてきた俺にビックリしてるみたいだが、逆にこの程度で怖じけるくせに《武装化顕現》を提案したのか? って話なんだが俺からすると。

 別に不安がる必要もないくらい、《武装化顕現》で発現できる武器の中では最強のものが出来上がると思うんだけどなあ。魂の格、質ってのは誤魔化しようがないところだし、そこは間違いないと自信を持っていいんだが。

 

 ま、武器の強さについてはアメさん側の問題もあるからいきなりチート装備でチョコさんツエーとはならないんだけどね。

 アメさんへと告げる。

 

「ただ、強力な武器ですが今はまだ真価を発揮できません」

「私のレベルが低いから、ですね……」

「ええ。ですがだからこそ、始原の4体はそんなあなた達に力を貸す気になったとも言える。ま、その辺はゆっくり強くなっていけばいいと思いますよ」

 

 少しずつ強くなっていくあなた達と、ともに歩んでいくことを始原の4体は望んでいるんだろうから。

 そう言うと、かのモノ達は鷹揚に頷くのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言]  『使いもしない武器があちこちにぶっ刺さってたって、ねー』 ぶっちゃけヘタな剣術より大量に投げつけられる方が対処できなくて危険、それで言うなら店先の看板も植木鉢も猫除けの水入りペットボトル…
[一言] 投擲武器だらけにして投げまくって再召喚すれば圧倒的火力が…
[一言] に、ニンジャさん?その光景は『小高い丘に無数の剣が刺さり、薄暗い夕焼けの空に錆びた歯車が浮かぶ』風景になりませんよね? (黒い肌に白い短髪、赤い聖骸布を纏った英霊の背を思い浮かべつつ・・・)…
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