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句読点は使徒と共鳴することでも消えます

「お待たせいたしました〜! さあ、いざダンジョンへと参りましょう〜!」

 

 待つこと10分くらいしてから、アメさんは巫女服にプロテクターやグローブなどの軽装備をつけ、リュックサックを背負って家から出てきた。

 いかにも後衛さん的な初期装備だね。チョコさんやガムちゃんもそれぞれ私服にプロテクターなどをつけている。


 ここから級を上げるにつれてこれらの装備もより高級で、より高品質なものにグレードアップしていくんだろう。

 俺としてはずいぶん懐かしい気持ちになる話だ。いやホント、今ではそういう市販品の装備とはすっかり縁遠くなっちゃったからね……遠くを見ながらつぶやく。

 

「神魔終焉結界──よし、じゃあ行きましょう」

「えっ……!?」

「!?」

「まあ!!」

 

 そういやダンジョンに行くわけだけど、全然私服だし準備なんて一つもしてないわ。というわけで一つ言葉を放ってお手軽にフォームチェンジ。

 もはやすっかり馴染んだ俺専用装備・神魔終焉結界だ。アルマが元々管理していた世界でのお偉方のファッションらしい大陸服に上から着込んだ蒼いコートが、当たり前だけど俺の身体に心地よくフィットする。

 

 この姿については知っていたものの、どういうプロセスで発現するかまでは知らなかったおかし三人娘の顔が一斉に驚きに染まった。

 そーです私が魔法少年だったのです! なんてお馬鹿なことを言って茶化そうか一瞬迷ったけど普通に話そう。陰キャがたまに戯ける時って大概空気が凍りつくんだ。俺は知ってるんだ。

 

「ええと、これも特殊な装備でして。1コールで準備完了っていう素敵な服なんですよ」

「パ、パイセン魔法少年だったんですか……むやみにメタリックブルーなのもそれで、なるほど……」

「普通の探査者少年です。何がなるほどなのかな?」


 たぶん気を遣ってかな、茶化してくるガムちゃんに内心で感謝しつつツッコむ。この子、本質的によく周囲を見て気を利かせられる子だからね。

 さすが覇王忍者は人の心が分かる御方ってところかな。思えばこの三人が当初、連携がシッチャカメッチャカだった時にもこの子だけは一人、冷静に二人の間を取り持ちパーティーとしての体を為させようとしてたもんな。優しい覇王様だよ。


 微妙に硬直した空気が弛緩して、次いでチョコさんもアメさんもコメントを返してきてくれる。

 なんならアメさんなんかどこか既視感のある感動の仕方をしてるし。いやそれ使徒がするやつ!

 

「きゅ、救世主様の奇跡の御業……!! 救世の光チャンネルで毎日配信中の動画、伝道師様によるお言葉第672回目で触れられていた"救世主様の貴きお声に応じて発現する輝ける蒼穹の衣"とはまさにこのことなのですね!!」

「アメさん!?」

「よく勉強していますねさすがです使徒天乃そうこれこそ件の回を皮切りに以後頻繁に言及することとなった救世主様の新たなるそして究極無双空前絶後最強最高最善最大最良の超越装備その名も神魔終焉結界なのですそのお力たるや人間の発想のスケールなど軽く飛び越えてこの世に数多の奇跡をもたらしてくださる救世主様をよく護りよく支えそしてよくお力になっている装備と言えるでしょう何よりもこのデザインこのカラーそして救世主様が身に着けられた時の魅力ぶりは堪りませんどこかエキゾチックな雰囲気も放たれる我らが救世主様のあどけなさと勇ましさカッコよさとかわいさを奇跡のバランスで表現してくれるこの服装は我々救世の光にとってまさしく神器であると言えるでしょう!!」

「香苗さん!?」

 

 共鳴!? 使徒の盛り上がりに呼応して伝道師の句読点が消えた、どういうイベントギミックだよやめてよ!

 ああ、チョコさんが反応に困っている。リーベとガムちゃんなんてお互い顔を見合わせてニヤニヤとこちらに向き直って近づいてきてるし。

 こっちはこっちでなんだよ!?

 

「パイセーン。あんなすごい美女にやたら奉られて嬉しいんじゃないですかー? このこの、憎いねえこのー」

「ガムちゃん、あそこまで行くとどっちかって言うと反応に困るんだよ、普通に」

「公平さん、なんだかんだでミッチーのこと大好きですもんねー? そのミッチーの奇行に理解を示してくれる人が増えて、しかもそれがモッチーもそうですけど年上美人のお姉さん! 正直言ってみてくださいよ、嬉しいんでしょー?」

「お前、その奇行に走る人が音頭取ってる団体のアイドルに、自分がなるんだってことを分かって言ってるのか……?」


 俺への軽口は二人とも毎度のことだ、気にしてないしなんなら空気がコメディチックになるから助かりさえする。いつもありがたいよ。

 でも今回についてはガムちゃんはともかくリーベ、お前ももうそろそろ当事者になるんだぞ。

 

 何しろ近々、この子はあそこで句読点を消し飛ばしている人の傘下で歌って踊って伝道してのアイドルになるんだからな!

 そう言うとそうでしたーてーへーぺーろーなどと抜かしてリーベは舌を出して悪戯に笑った。

 可愛いんだけどこれが今度、多くの普通の人相手に愛と希望とカルト宗教を振りまく狂気のアイドルになるんだと思うと怖ぁ……ってなっちゃうよ。

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― 新着の感想 ―
[一言]  第672回目・・・一日5回ぐらいで20分ぐらいの言葉かな?某宗教の礼拝みたいな、そしてリーベは分かってて実は隠れ狂信者の疑いが・・・アイドルになった途端に一気に布教し始めるとか企んでそう。…
[一言] 伝道師センターで使徒左右の美女ユニットでも十分な破壊力が…w
[一言] ふと思った。 句読点なくしてる狂信者の描写をしている作者さんが一番深淵を除いているのではないかと… これ、望月さんまで出てきて句読点無くなったら読みづらそう(
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