召喚主にドハマりして、ペットとか女児の姿になりました(迫真)
鳴り響くインターホンに、アメさんは一目散に部屋を出て迎えに行ってしまった。後に残されるのは俺とリーベと始原の4体。
微妙な間が流れる。まさかガムちゃんにチョコさんはともかくとして香苗さんまでやってくるとは思わなかったよ……でもアメさん使徒だもんな、呼ぶよねそりゃあ。
認定式の準備はいいのかって感じなんだけど、香苗さんは伝道師だけど何でもそつなくこなす才女でもあるから、その辺は万事抜かりないのだろう。
こちらの事情も概ね御存知だし、そうなると俺からは特に言うことがないんだよね。もしも動物園さながらのこの光景に驚いたなら、まぁまぁ落ち着いてくださいと宥めるってくらいかなー。
「というかせめてサイズを適正な、現世らしいサイズに合わせるとかしないのか、お前ら……」
『できるならしてるよこっちだって。我らの魂の規格が大きすぎるのと、こう言っちゃなんだがアメのレベルが低くてうまく調節が聞かないんだよコマプロ』
「それは分かるが、じゃあせめてムメは鳥種変えろよ。インコでそのサイズは明らかにやばいだろ……」
犬のネムレスと猫のノナメについてはまあギリギリ、1mサイズの犬種や猫種だってあるから納得できなくはないけど。インコのムメ、お前はどう考えてもおかしいんだよね現世的に。
1mのインコってなんだ、怪鳥じゃねーか。普通のインコは割と手のひらサイズなのに、こいつの場合5才児相当くらいのゴンベとほぼトントンの大きさだ。どう考えたって無理があるだろ。
その辺、ゴンベは比較的冷静に客観的に理由を述べてはくれるんだけど……他の三体はもう完全にアメさんに首ったけみたいだ。
いきり立って揃ってゴンベへとワンワンニャーニャー、ピーピーと騒ぎ出していた。
『ゴンベ貴様、我らの召喚主を侮辱するでないわ!』
『アメはこれからの子なのよ! ちょっとくらい我らの制御ができないからって何よ!』
『そうだそうだ! アメを馬鹿にするなよ!! ちなみにインコなのはあの子がこの鳥を好きらしいからだよ!』
『馬鹿にしてない! むしろ尊重しまくって可愛がりまくりたいわ! 最高の召喚主をどうもありがとなコマプロ!!』
「あなた達のソレはどこからの誰から目線なんですかねー」
呆れ返ってリーベがつぶやく。まさか現世の一人間に、ここまでどっぷりのめり込むなんて思いもしなかったんだろう。俺もそうだから分かるよ……
あと俺のことコマプロって呼ぶな、略すな。ワープロ呼ばわりされかねないワールドプロセッサのことも考えて差し上げろ。
ていうかチョコさんガムちゃんがもうすぐ来るんだし、そもそもコマンドプロンプト呼びはやめてくれよと言う話だ。
今の俺は山形公平なんだから、その通りに呼んでくれよと頼む。犬に猫に鳥に5歳女児はそれぞれ、しゃーねーなーみたいなノリで渋々頷くのだった。
「お待たせいたしました先生、リーベさ……ちゃん。そして始原様方。お客人をお連れしました」
「いやあの、俺達も客人なのですが……」
部屋の主がなんでか案内人みたいに言いながらもドアをノックして、室内に入ってきた。客人なのは俺らもです!
次いで入ってくる人達。俺とはそれなりに顔馴染だけど、リーベとはたぶん初対面のはず……なチョコさんとガムちゃん。そして言わずと知れた伝道師、香苗さんのお通りである。
「おっ邪魔っしまーっす! あ、山形さんに始原さん達、こんにちはー!」
「ちわー覇王忍者でーす。パイセーン、うら若き乙女の巣窟に男が一人っすか、相変わらずのハーレムっすねー」
「こんにちは公平くん、リーベちゃん! いつもいつでも伝道師、あなたの町の伝道師、御堂香苗です! 救世主バンザイ!! 今日も今日とて救世主神話伝説に新たな1ページを加えることができそうな、まさしく絶好の伝道日和ですね!!」
「怖ぁ……こ、こんにちはチョコさん、ガムちゃん、香苗さん。その、お元気そうで何よりです、はは、は」
赤い髪を肩口で揃えた、どことなくボーイッシュなチョコさんこと徳島千代子さん。
金髪で小悪魔チックな笑みを浮かべる、ガムちゃんこと新潟花夢さん。
アメさんこと鹿児島天乃さんと併せて3人、通称おかし三人娘。香苗さんは言わずもがなこの3人もそれぞれ個性派すぎて、最初は連携を取ることさえうまくできなかったほどの凸凹トリオだね。
チョコさんが挨拶したことから伺えるけど、すでにおかし三人娘は始原の4体と面識があるみたいだな。
始原達のほうも気軽な様子で、それぞれ前足だの翼だの右手だのを上げてチョコさんガムちゃんへと答えた。
『うむ。息災そうで何よりだイノシシ娘に覇王忍者』
『やっほー、元気そうねチョコ、ガム。それにそっちのは御堂香苗ね……ふんふん、さすがにヤバい強者ね、さすがは伝道師ってとこかしら?』
『おかし三人娘、こないだぶりの集結かぁ』
「…………犬に猫に鳥。事前に聞いていても驚きますね。これがその、始原の4体、ですか」
あの香苗さんでも目の前の光景、巨大な犬猫鳥がそれぞれ日本語を話している姿には驚きを禁じえないようだ。
ひどく目を丸くして、それでも瞬時にメモを取る構えに移行していた。
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