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闇あるところに光あり、使徒あるところに伝道師あり──

 始原の4体がこうまでやる気を出して、アメさんに力を貸すつもりでいるんなら俺としてもそれに応えるのは吝かではない。

 何しろこのモノ達をアメさんに引き合わせたのが俺である以上、アフターケアとかフォローもバッチリやらなきゃなーって気持ちは当然あるのだ。丸投げ駄目、ゼッタイ。

 

「というわけでアメさんには追加で何かしら、新しいものをお渡ししたいと思うんですが」

「そ、そそそそんな畏れ多いです!? 始原様方をご紹介いただいただけでも身に余ることですのにそんな、さらにお恵みいただくなんて〜!?」

「あの、そういう大袈裟なのはちょっと勘弁してほしいのですが……!」

 

 すっかり畏まっちゃったアメさんを宥める。俺の正体とシステム領域、あとアドミニストレータ計画周りを知ったからか完全にこの人の中で俺が大変な存在になってしまっている。

 怖ぁ……こんな姿チョコさんやガムちゃん、関口くんに見られたら大変なことになってしまうよ。年上キラーどころじゃない、下手するととんでもない鬼か悪魔かみたいに言われかねない。

 

 割と本気で止めてくれと頼み込むと、さすがにアメさんは常識も良識も備えた方だからか素直に受け入れてくれた。

 居住まいを元の違和感ない姿勢に戻しつつ、しかして瞳だけは熱っぽいものを宿して俺とリーベに向けて告げる。

 

「お二方がそう望まれるのであればもちろん、この鹿児島天乃は謹んでいつも通りの振る舞いをいたします……ですが!」

「!?」

「ですが、この心には常に先生、そしてリーベ様はじめシステム領域におわす方々への絶えることない尊崇の念が渦巻いています。それをどうか、覚えていてもらえると嬉しいです!」

「怖ぁ……」

 

 恐るべき信仰の光が彼女の顔にありありと表れている。手遅れですねこれは、どこからどう見ても完全に使徒です本当にありがとうございました。

 周囲ではそんなアレな姿に始原どもがうんうんと後方理解者面を隠すことなく表立たせているし。お前ら、もうなんかすっかり単なるアメさんのファンじゃねーか。

 

 頭痛のしそうな光景をどうにか受け入れつつ、さてと俺は考える。

 鹿児島天乃……スキル《召喚》を軸にして戦うスタイルとなるだろう新米オペレータに送るべき何かしら、そうだなスキルがいいだろうか?


 直接俺から送ったり新規で作って付与したりするとワールドプロセッサに迷惑がかかりかねないし、既存のスキルの中で適したものを見繕い、その習得条件を教えるのが妥当ってところかな。

 それなら実際に獲得できるかはアメさん次第だし、始原達も手伝うだろうから絆とかも深まるだろ、多分、うん。


 となるとアメさんのスタイルをさらに伸ばすためのスキルを見繕わなきゃなわけだけど──

 

「リーベ、どう思う? 召喚系スキルの派生って実は結構あるから、どれを候補にあげるか難しいんだよなあ」

「そうですねー……召喚した概念存在をさらにそれぞれの方向に利用するってスキル、割とたくさんありますもんねー」

「そ、そうなのですか……?」

 

 リーベにも意見を聞いた通りで、実は召喚系スキルって単に概念存在を呼び出すところを基本として、そこから結構派生スキルを用いての応用技術があったりするんだよね。

 喚び出したモノを武器に宿すとか、一時的に合体するとか権能を借り受けるとか。あと本当にレアなスキルだけど《連動召喚》という、喚び出した存在と関連するモノを喚び出すスキルとかもあったはずだ。

 

 そんな具合でいろいろある派生スキルの、どれか適したものを教えたいなーって思うわけだね。

 ふむ……アメさん、おかし三人娘。チョコさん、ガムちゃんまで含めてちょっと深めに考えてみようか。アメさん自身は肉弾戦の経験は皆無で、パーティー内ではサポーター役を担っている。


 もっぱら前に出ての戦いはチョコさん、あと指示役のガムちゃんもたまにってところだ。そんなところでアメさんまで前に出たって無理が多い。

 護身術くらいはゆくゆくは身につけるだろうけど、召喚スキル持ちはそもそも前に出る役割じゃないわけだし。接近戦関係を教えても仕方ないんだよな。

 

「と、なるとここは考え方を変えるか……アメさん」

「は、はい!」

「この話についてはこの後、ガムちゃんが来てからしたいと思います。たぶん、パーティー全体の戦力を大幅に向上しかねないスキルについての話ですから」

「! わ、わかりました。ガムちゃん達はもうそろそろ、この家を訪ねてくる頃合いだと思われます」

「そうなんですか……って、達?」


 いろいろ考えた結果、俺が出した答え。

 それはおかし三人娘というパーティー全体に対して、それなりな影響をもたらしてしまうだろう方向性のスキルを見繕って教えることだった。

 アメさん個人に限った話でなく、ガムちゃんやチョコさん含めたパーティーそのものの運用に関わってくるようなスキルを教える、という方針にしようと考えたわけだね。


 となればできればおかし三人娘のほか二人、最低でもチョコさんガムちゃんのどちらかがいてもらい、みんなで一緒に考えたほうがいいだろう。

 そう思って話をしたところ、どうやら当のガムちゃんがもうじき来るらしいとのことだった。


 達ってのが微妙に気になるけど、なんだ? チョコさんも来るのか?

 首を傾げて尋ねると、アメさんはひどく嬉しそうに笑って言った。

 

「ガムちゃんはもちろんのことチョコちゃんと、それと伝道師御堂さんも来てくださるんですよ!! 我が家についに、あの救世の光の最高指導者がお越しくださるんです、感動です〜!!」

「……………………えぇ?」

 

 まさかのまさか、である。

 伝道師、来るの、この家? ────認識した途端、この家のインターホンが鳴った。

 家の外には複数の探査者の気配。噂をすればなんとやらだこれ!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 伝道者というパワーワード [一言] コミック版も結構早く話がすすんでいますね。 早く救世主伝説を拝めるのか……!!
[一言] 知らないんですか?先生… 伝道師からは逃げられないんですよ… (お目々ぐるぐる信者顔)
[一言] 【悲報】伝道師の鹿児島家への侵略を確認【もう手遅れ、改宗待ったなし】
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