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妖怪と悪魔は山形に任せろー(バリバリ)

 織田からの挨拶もおしまいということで、お互い連絡先だけ交わして次に会う日時についてはスマホでやり取りすることにした。

 この大神、かなり現世ナイズされているというか普通にスマホなんか使いこなしていて相当に瀟洒だ。聞けば現世のテクノロジーは概念領域でも好評らしく、お忍びで受肉しては現世に遊びに行ったりする神も意外といたりするらしい。

 

 長期滞在に向けての手続きとやらのため、一旦概念領域に戻るべく姿を消した織田の連絡先をスマホで確認しつつワームホールを開く。

 概念領域にも電波届くのかな……と思いつつも部屋に戻ると、すぐに胸元に飛び込んでくる小さな塊が一つ。

 アイだ。どうやら起きちゃったみたいで、俺を見るなり鳴きながら羽と尻尾を振っていた。心配させちゃったみたいだな。

 

「きゅう〜! きゅう、きゅう〜!!」

「おおー、よしよし。ごめんなアイ、急に来客があって」

「きゅう〜!!」

 

 赤ん坊ドラゴンゆえに、起きたら親がいないという状況が堪えたみたいだ。とはいえついさっき起きたみたいで、まだ寝ぼけ眼っぽいのが不幸中の幸いか。

 俺にしても精々15分くらいしかお空の上にいなかったしね。それでも不安がらせたことは申しわけなく、ひたすらにその背中を撫でて抱きしめる。

 今日は一日、こうして構ってあげようか。愛らしいミニチュア・ドラゴンを両手で抱えて高い高いをしたりしちゃう。

 

「ほーれほれほれー」

「きゅーうきゅうきゅうー」

「この状態で回っちゃったりなんかしちゃったりしてー!」

「きゅー! きゅうきゅうきゅうきゅうー!」

 

 元から空を飛べるこの子に高い高いとかするのも変な話なんだけど、とにかく俺に構われているのが嬉しくて楽しいみたいだ。何をするにしてもめちゃくちゃ笑って鳴いている。

 そうしていくらか遊んでいると、今この家にいる探査者、すなわちリーベの気配がこっちに近づいてきているのを察する。

 

 あの子も昼寝しに自室に戻っていたわけだけど、俺が空間転移ではるか上空に行ったことでも察知して起きたりしたのかな?

 地味に《気配感知》持ってるしなー、などと考えていると、リーベがいよいよやってきた。失礼しますー、とひと声かけてから襖を開けて、おずおずと愛らしい顔だけ覗き込ませて俺を見てくる。

 明らかな困惑が宿る表情で彼女は尋ねてきた。

 

「あのー、公平さん? もしかして空間転移しました? それもこの家のかなり上空に」

「ああ、したよ。急な来客があって、家に上げるのもまずい手合いだったから上空にてお相手したんだ」

「やっぱりー……起きたら公平さんの気配がはるか空の上ですから、えっ《気配感知》バグった!? なーんて焦っちゃいましたよー」

「悪い悪い。本当アポ無しでいきなり来たもんで、悪いな」

 

 どうやら俺の気配が不自然な場所にあったことについて、まず自分の持つスキルがおかしくなってやしないかと不安になっていたみたいだ。ほっと息を吐いて安堵している。

 織田が来るって事前に分かっていたら最低限、俺のことを気配で把握できるリーベには伝えられたんだけどね……マジでいきなり来たから俺だってビックリってなものですよ。なんなら昼寝してたくらいだし。

 

 さておきリーベにも、今しがたの織田との対話については説明しておかなきゃならないだろう。

 っていうかこの子の場合、織田の存在そのものをまだ話してないしな。盆休み中に空いた時間で話そうかなーって思ってたら化物騒動があったもんですっかり頭から抜け落ちていた。

 てなわけでちょこんと俺の前に座った彼女に、彼が御堂本家に乗り込んできた初遭遇時から遡って説明する。

 

「かくかくしかじかどっこいせーのよいよいよい──ってな感じで、概念存在の中でも大物と協力関係が結べたわけなんだよ」

「なんとまあ……ずいぶん知識欲だけで動く最高神もいたもんですねー。それも地理的には全然無関係な北欧出身だなんて」

「なんかそういう認識のされ方をされてるみたいだぞ。特にこの国だとめちゃくちゃいろんな解釈されてるってボヤいてた」

「あー……」

 

 割とガチめだった織田のぼやきを踏まえて語ると、リーベもこの国のサブカル関係に思い至ってか苦笑いを浮かべる。

 北欧神話の大神オーディン、なんてそれこそ古今東西の創作の題材にされまくっていて、有名所になるとそのイメージさえ変えてしまうほどに存在感があったりするからなあ。

 

 他の神話の神様だって似たようなことになってる神様を挙げたら枚挙に暇がないはずだ。特に地元といえる日本神話の連中なんて、モノによったら魔改造って言われるレベルで原典からかけ離れたイメージを付与されているのだっているだろうし。

 納得して、そしてリーベは俺に問うた。

 

「それで、かの大神にストッパーと情報供給役を担ってもらうわけですかー。神々はどうにかなるでしょうけど、悪魔とか大丈夫ですかねー?」

「カテゴリーが違うからどうだろうな……織田がどこまで動けるかにもよるし、あんまり過度な期待をするのも不健全とは思う。悪魔とはどうせサークル絡みでやり合うんだろうし、そっちはその時に直接探ってみるよ」

 

 すでに動いているらしい悪魔カテゴリーにまで探りを入れてどうにかしろと言うのはさすがにキツいだろう。織田にそこまでさせるのも気が引けるし、何よりじきに接触するだろうしな。

 妖怪同様、悪魔連中には俺が直接あたらせてもらうことも考えている。これは今度織田と話する時、打ち合わせておかないとな。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 読み返して気になったけど、825話でお土産買ってた概念存在の話車の中でしてたような? 「織田かー」みたいな事言ってたし [一言] 最新話までまだまだ遠い( ´›ω‹`) 早く山形・・・…
[一言]  UMAも忘れないで上げて!うむ概念存在が跋扈する世界だから探せばチュパカブラだのツチノコだのも見つかりそうだな不思議発見は山形へ!吸血鬼娘とゾンビ娘とキョンシー娘は何の分類に振ればいいんだ…
[気になる点] 気配感知ってそもそもバグるの?(S~A級で全力疾走しながら瞬間移動や超連続転移でもしてシステム処理越えれば可能性はありそうだけど………それやったらというかできたら生物止めとる)
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